VC活動の現状
米暗号資産(仮想通貨)金融大手ギャラクシーデジタルは25日に発表したレポートで、2025年第3四半期(Q3)の仮想通貨ベンチャーキャピタル(VC)の現状について、市場心理は改善し活動も増加しているものの、以前の強気相場の水準には大きく及ばないと指摘した。
レポートによると、2017年と2021年の強気相場では、VC活動と仮想通貨価格には高い相関が見られたが、この2年間、価格が上昇しているにもかかわらず、VC活動は低調な推移を見せている。しかし、2021年〜2022年の強気相場水準を下回っているものの、ベンチャー活動自体は全体的に「活発で健全」だとギャラクシーは評価している。
Q3の仮想通貨およびブロックチェーンに特化したスタートアップへの投資は、46億5,000万ドル(7,266億円)で前四半期比290%増となった。投資案件数は415件(前四半期比9%増)で、そのうち7件が同四半期に調達された資金の半分を占めた。

出典:ギャラクシー・デジタル
投資先上位は、フィンテック企業Revolut(10億ドル)、仮想通貨取引所Kraken(5億ドル)、仮想通貨に特化した銀行Erebor(2億5,000万ドル)となっている。
VC支援を受けた仮想通貨企業の評価額は2025年に上昇し、Q1は2021年の最高値を上回り、Q3はほぼ最高値に匹敵する水準となった。1件あたりの投資額の中央値は、今四半期に過去最高を記録する450万ドルとなった。
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仮想通貨市場が成熟
企業のステージ別に見ると、Q3には資金の57%が後期ステージ企業に投資され、43%が初期ステージ企業に投資された。2025年の3四半期間では、初期ステージ企業よりも後期ステージ企業への投資額が増加していることから、市場全体の成熟度の高まりを反映しているとの判断を示した。また、業界全体の成熟に伴い、プレシード(超初期)案件数の割合は一貫して減少傾向にあると指摘した。
伝統的な大手企業による仮想通貨の採用が進むとともに、多くのベンチャーに支援を受けた企業がすでに市場適合性を確立したことで、プレシード段階の仮想通貨投資の“黄金期”は過ぎ去った可能性が高まっている。
カテゴリー別に見ると、Q3で最も多くの資金を調達したのは「取引/取引所/投資/レンディング」分野の企業だった。Revolut(10億ドル)とKraken(5億ドル)が牽引し、分野全体では合計20億ドル超を調達した。この分野は仮想通貨で最も定着したビジネスモデルであり、これまでもVC投資最大の割合を占めてきた。
投資件数で見ると「Web3/NFT/DAO/メタバース/ゲーム」分野が依然として注目を集めていることが伺えるが、投資額はピーク時から減少傾向にある。この分野の企業が依然と比べてさらに初期段階にあり、1件あたりの投資規模が小さくなっているためだ。
そのほか、注目されるカテゴリーとして、インフラ(ステーキングやブロックチェーン接続の基盤)、AI、DeFi、トークン化、決済/報酬(ステーブルコインの普及)が挙げられた。
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VC投資を抑制する要素
レポートは、現物型ETPや仮想通貨トレジャリー企業(DAT)が、ファンドやスタートアップに対して圧力となっている可能性があると指摘した。
米国では、年金基金や大学基金、ヘッジファンドなどの機関投資家が、ビットコイン現物ETFに大規模な投資を行っている。レポートによると、これらの大口投資家が初期段階のVC投資ではなく流動性の高いETPを通じて、仮想通貨へのエクスポージャーを得る方向にシフトしている可能性がある。
また、直近2四半期では、イーサリアム現物ETFへの関心も高まっており、この傾向が続けば、DeFiやWeb3領域へのエクスポージャー需要が、VCではなくETPに流れてしまう可能性があると指摘。さらに、2025年に台頭したDATも、仮想通貨分野への投資をめぐりVCと競合する可能性がある。
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米国の優位性
米国は、仮想通貨スタートアップへの投資で圧倒的な優位性を維持しており、Q3の投資資金の47%は米国拠点の企業に投入された。次いで英国が28%、シンガポールが3.8%、オランダが3.3%となった。
件数では、米国が40%でトップを占め、シンガポールが7.3%、英国が6.8%、香港が3.6%と続いた。
トランプ政権以前の敵対的な規制体制下においても、米国企業や米国拠点のプロジェクトが投資額及び件数において、その大半を占めてきた。ギャラクシーは、すでにジーニアス法が成立し規制環境が好転した今、デジタル資産市場明確化法案が可決成立すると、米国の伝統的な大手金融機関が、本格的にこの分野に参入するきっかけとなるため、米国の仮想通貨市場での支配力はさらに強まると予想している。
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