クラリティ法案の争点3つ
暗号資産(仮想通貨)に詳しいジェイク・チャビンスキー弁護氏は5日、米国で仮想通貨市場構造を定める「クラリティ法案」の迅速な進展は難しいだろうと状況を分析した。
この法案は、どのトークンが証券に該当しないか、取引所など中央集権型プラットフォームがどのように規制されるかなどを明確にするもの。規制の上での米証券取引委員会(SEC)と商品先物取引委員会(CFTC)の権限も明確にし、仮想通貨業界の事業環境を整えることが期待されている。
下院はすでに7月、この法案を可決した。その後上院では、銀行委員会が法案の半分(証券法の分野)、農業委員会が残りの半分(商品法の分野)に取り組み、それぞれ草案を発表している。
法案が前進するには、両委員会が修正案の採決を行う必要がある。これは、上院本会議での採決にかけるかどうかを決定するものだ。チャビンスキー氏は、両委員会とも、草案が可決できると確信できるまで、この手続きに進むつもりはないだろうと指摘した。
チャビンスキー氏は、現在可決のハードルとなっている3つの争点があるとして、以下を挙げた。
- ステーブルコインの利回り
- 利益相反
- DeFi(分散型金融)
DeFi(分散型金融)とは
ブロックチェーンを活用し、中央管理者不在の状態で行われる金融サービス、またはそのシステムを指す。「Decentralized Finance」の略。DeFiで行われる金融サービスには、ステーブルコインの発行や通貨の貸出、仮想通貨取引所などがある。イーサリアムのブロックチェーンを利用しているプラットフォームが多い。
まず、ステーブルコインの利回りについては、銀行業界が、仮想通貨取引所などがステーブルコインを保有するユーザーに間接的に利回りを付与することの禁止を求めている。
先に成立した「ジーニアス法」ではステーブルコイン発行者が直接的に保有者に利回りを付与することは禁止されている。一方で、間接的な利回りについては規定がなく、これが争点になっている格好だ。民主党議員12名も9月、これを禁ずることを求めている。
次に、利益相反については、一部の民主党議員が、ドナルド・トランプ大統領一族が仮想通貨事業から利益を得ることを制限するような内容を法案に盛り込むことを要求しているところだ。
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最後にチェビンスキー氏は、DeFiが最も重要な争点だと意見した。
クラリティ法案はユーザーの資金を保有する中央集権型プラットフォームのみを規制すべきだと主張。DeFiに関しては、ソフトウェア開発者が仲介業者として扱われないようにしてDeFiを保護するべきだとしている。
その上で、一部の従来型金融会社が、議会に対して、開発者、バリデーター、その他のDeFi関係者も規制対象の仲介業者として分類するよう働きかけていると指摘した。
DeFiは取引所などのように直接的にユーザーデータを管理する主体がないため、既存の規制を当てはめることでその運営に支障がでるのではないかという懸念は以前より業界から上がっている。
チャビンスキー氏は、以上の問題の複雑さと、年末年始までの短い期間を考えると、1月になってもまだクラリティ法案の検討作業が続いていることは充分に考えられると述べた。また、開発者保護が法案には必須であり、正しく進めることが重要だと結論している。
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