- 仮想通貨規制とブロックチェーン普及に関する米CFTC会議
- 米商品先物取引委員会CFTCの「技術諮問委員会」は28日、仮想通貨規制とブロックチェーン普及に関する会議を開催した。複数の業界との意思疎通が目的で、規制による発展の阻害およびサポートが議題となる。
仮想通貨規制とブロックチェーン普及に関する米CFTC会議
米商品先物取引委員会CFTCの「技術諮問委員会」は28日、仮想通貨規制とブロックチェーン普及に関する会議を開いた。
同会議を主催したコミッショナーBrian Quintenz氏は、会議の前に、「同会議では、CFTCの規制がどのようにブロックチェーン・DLTなどの分野の発展・普及を妨げているか、どのようにサポートできるかに関して探求する」と、その趣旨を明確にした。
なお、今回の会議には金融自主規制団体FINRA、仮想通貨業界団体やIBM、R3、銀行などが参加し、様々意見や意見を提起したが、本記事では最も関心度の高いプレゼンについてまとめている。
推進団体CoinCenterがイーサリアムPoSに問題提起
米首都DCで活躍する仮想通貨・ブロックチェーン推進団体「CoinCenter(コイン・センター)」のリサーチ責任者を務めるPeter Van Valkenburgh氏は、仮想通貨におけるコンセンサスのメカニズムに関して、イーサリアムが目論んでいるコンセンサス=「PoS」という、仮想通貨をステーキングし、ネットワークの健全性を保ちながら報酬をもらう仕組みと、既存のPoWに関して、問題点を指摘した。
イーサリアム財団は電力の消費を減らすために、将来PoSへ移行すると計画しているが、PoSというメカニズムへの移行は、市場参加者および規制当局にも、問題視される可能性は考えられる。
例えば、PoWまたはPoSをどのように悪用し、ブロックチェーンの台帳を損なうことに注目すべきだろう。
このような問題は、CFTCが現在仮想通貨デリバティブ市場に関する意見・情報を募集する上で、極めて重要な議題となるだろう。
2017年に始めてビットコイン先物を承認したCFTCは現在、イーサリアム基軸の先物に関する「意見・コメント」を募集しているが、米ナスダックやフィデリティ等の巨大金融機関から出資を受けた仮想通貨取引所ErisXは先月、CFTCに対して、「イーサリアム先物取引が規則に準拠し運用されることで、市場の成長や健全性にポジティブな効果を与え得る」と、前向きに提唱した。
なお、イーサリアムがいつPoSを含むアップグレード「セレニティ」を実装するか、未だ目処は立っていない。
HSBC銀のDLT「提案」
同会議では、世界有数の大手銀行HSBCのシニアVPを務めるJesse Drennanは、CFTCに向けて、企業がブロックチェーン・DLT技術を採用するように、同分野に対して「より積極的な動きを見せた方がいい」と要請している。
Drennan氏は、「CFTCがブロックチェーン・DLTに関する推進的な発言をすれば、より多くの企業が採用を検討するだろう。現在DLTの普及が阻害されている訳ではないが、多くの企業は規制当局の立場を見た上で、実利用を判断する。」と説明し、以下のように提唱している。
よって、CFTCが同技術に対して、ポジティブな意見や立場を見せると、採用を検討している企業は、それに関する『デューディリジェンス』を行い、より安心にブロックチェーン技術を応用することができるだろう。技術の普及を推進する動きとなる。
HSBC銀は、2018年の外国為替取引において、ブロックチェーン技術を利用し、2500億ドル(約27兆円)に相当する300万件以上の取引を処理したと報じられた。
なお、同銀がスタンダード・チャータード、中国農業銀行を含む10社以上の銀行と共同で「ブロックチェーン基軸の貿易金融プラットフォーム」を開発し、昨年11月に香港にて開始したことから、積極的にブロックチェーンの実利用を取り入れる姿勢を見せている。
今回の発言は、銀行界のみならず、金融界全体や別業界も代表した発言と言えるだろう。
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