- 金融規制当局に信託会社として登録申請したことと保管管理機能を強化することをBakktが発表。
- ニューヨーク金融規制当局に信託会社としての登録申請に加え、暗号資産カストディ企業買収でCFTCが懸念する保管管理機能を強化するとBakktが公式発表した。
Bakktの最高執行責任者Adam White氏は、ニューヨーク証券取引所等を運営する親会社ICE(インターコンチネンタル・エクスチェンジ)を通してカストディ企業Digital Asset Custody Company(DACC)の買収、BNYメロンとの提携を行なったことを公式ブログを通して発表した。また、ニューヨーク州金融サービス局に信託会社として登録申請を行ったとしており、NY州への認可が降りればビットコイン先物の提供に繋がる可能性が高いとみられている。
これは、Bakktがニューヨーク金融サービス局によって信託企業として承認されると、CFTCの管轄下で(州政府の事業ライセンスの認可も行なっているため)デジタル資産のカストディアンとしてお墨付きを得ることになる。今現物先渡しの懸念点として挙げられる問題を払拭することができるためである。
Bakktはこれまで、政府閉鎖やCFTC長官の交代など、複数の要因が重なりビットコイン先物の提供が延期していたが、4月18日に現物先渡し取引を行う上で必要なカストディ機関のライセンス取得が先物の提供に必要な条件として示されたことが判明。本格的なサービス提供への道筋が見えていた状況にあった。
今回の報道は、今年最大のファンダメンタルズ要因となり得るBakktがサービス開始に向けた「最終局面」に移行したことを示す動きであり、仮想通貨市場における重要な発表となる。
なお、提携を行なったBNYメロンは、資産運用会社などを含めた機関投資家の資産を管理・保管してきた伝統的なカストディ機関であり、DACCの買収と合わせてカストディ関連で大きな動きがあったことが示された。
Bakktの取り組み
White氏は、Bakktが取り組んでいる機関投資家向けの「デジタル資産インフラの将来を構築する」という目的達成のため、不可欠なのは、デジタル資産保管のための強固なインフラとセキュリティ重視の姿勢であり、「カストディこそが、我々の(ビジネスの)中核」とその重要性を強調。
Bakktの目指す動きとして、規制された環境下で、ビットコイン先物取引きの全てのプロセスを、親会社であるICEとともに提供し、機関投資家へビットコイン投資への門戸を開くことを挙げている。
Bakktがライセンスを取得した場合の先物取引
今回説明された現物先渡しビットコイン先物取引のシステムは以下のようになる。ICE Futures US(IFUS)でビットコイン先物を取引したのと同時に、CFTCの認可を受けたクリアリングハウスであるICE Clear US(ICUS)で決済。決済時に引き渡されたビットコインはBakktによって保管・管理される。
そのため、Bakktで取引を行う投資家は、世界で最も流動的な先物市場と同等の、高性能で高速な取引所および決済インフラへのアクセスできるようになると説明した。
Bakktは、過去2年間、このようなエンドツーエンドのサービスを提供するため、カストディ問題の解決を図る次のようなプロダクト開発を行って来たという。
- ウォレット
- セキュリティ
- 物理的な保護
- サイバーセキュリティ
- 運営管理
コールドウォレット(オフライン)とホットウォレット(オンライン)を使用 資産の大部分はコールドウォレットに保管され、大手保険会社により1億ドルの保障契約 でカバーされる
ホットウォレットはFIPS 140–2 レベル 3 か、それ以上のハードウェアモジュールを使用 コールドウォレットの秘密鍵は暗号化かつ分割され、地理的にも分散される
暗号システムは、24時間365日の物理的セキュリティで保護されている銀行並みの金庫室及びデータセンターで保護ヘッジファンド、資産運用会社、ブローカーディーラーなどの機関投資家の資産を保管管理してきた長年の経験を持つBNY Mellon社と連携し、地理的に分散された秘密鍵の保管を行う
ニューヨーク証券取引所と同じセキュリティプログラムを導入 グローバルなセキュリティチームにより監視され、規制当局とも連携
厳格な顧客の資産保管と管理手順を徹底 システムおよびマニュアルで検証
ビットコイン以外の通貨サポートを示唆
なお、White氏の発表では、DACC社の買収はBakktと「セキュリティ第一」という理念を共有できたほかに、複数のブロックチェーンを統合している点や、最先端のコンセンサスの仕組みを構築してきたことが大きく評価されるという。DACCはこれまで13のブロックチェーンと100以上の仮想通貨をサポートしてきたが、この経験がBakktのサポートするデジタル資産のカストディを拡大する際に役立つと考えている点に触れ、ビットコイン以外のサポートの可能性を示唆した。
カストディ強化を図るBakktの方針が、CFTC認可に向けて吉と出るか、今後の進展が注目される。