はじめての仮想通貨
TOP 新着一覧 チャート 学習-運用 WebX
CoinPostで今最も読まれています

G20、仮想通貨の技術革新とリスク保護の両立へ|財務大臣・中央銀行総裁会議が閉幕

画像はShutterstockのライセンス許諾により使用

G20財務大臣・中央銀行総裁会議
6月8日から9日にかけて開催されたG20財務大臣・中央銀行総裁会議にて仮想通貨規制に関する具体的な議論が展開された。今後も技術革新とリスク保護の両立を可能にする規制策定に努めていく方針となった。

G20財務大臣・中央銀行総裁会議

今月末に大阪で開催されるG20サミットを控え、初めて「仮想通貨の国際規制について具体的な議論」が行われるとして注目を集めていたG20財務大臣・中央銀行総裁会議が、6月8日から9日にかけて福岡で開催された。出席した国際通貨基金(IMF)の専務理事クリスティーヌ・ラガルド氏がフィンテックの加速が引き起こすリスクに警戒を促した一方、仮想通貨についても「G20加盟国間でさえ、規制上の合意がない」と本格的な国際規制案に着手する意向を示した。

フィンテックの金融包括と発展を促進する可能性を伸ばすのであれば、暗号資産、非銀行系の金融仲介業者、およびデータの管理に対する各国のさまざまなアプローチを統合することは不可欠だ。

また「金融の安定性および完全性を維持し、消費者を保護する一方で、金融リテラシーを高める方法を見つける必要がある」と、今後のフィンテック分野への取り組み方についても提案した。

このような発言が見られたほか、仮想通貨界隈でも主要開発者として定評のあるBlockstream社のCEO、アダム・バック氏が登壇した同サミットでは、最終的に以下のような会議声明を公表した。

暗号資産の基礎となるものを含む技術革新は、金融システム及びより広く経済に重要な便益をもたらし得る。

暗号資産は、現時点でグローバル金融システムの安定に脅威をもたらしていないが、我々は、消費者及び投資家保護、マネーロンダリング及びテロ資金供与への対策に関するものを含め、リスクに引き続き警戒を続ける。

我々は、マネーロンダリング及びテロ資金供与への対策のため、最近改訂された、仮想資産や関連業者に対する金融活動作業部会(FATF)基準を適用するというコミットメントを再確認する。

我々は、FATFが今月の会合にて、解釈ノート及びガイダンスを採択することを期待する。我々は、消費者及び投資家保護や市場の健全性に関し、暗号資産取引プラットフォームについてのIOSCOの報告書を歓迎する。

我々は、FSBの暗号資産当局者台帳や、暗号資産における現在の取組、規制アプローチ、及び潜在的なギャップに関する報告書を歓迎する。

我々は、FSBと基準設定主体に対して、リスクを監視し、必要に応じ追加的な多国間での対応にかかる作業を検討することを要請する。

我々はまた、分散型金融技術、それが金融安定性や規制、ガバナンスにもたらす潜在的な影響、及び当局が広範なステークホルダーとの対話をどのように強化できるかについてのFSBの報告書を歓迎する。

我々は、サイバーの強靭性を高める努力を強化し続けるとともに、サイバー攻撃への対応や復旧のための効果的な取組を明らかにするFSBのイニシアティブの進捗を歓迎する。

G20、法整備を進めるスタンスを維持

これまでにもG20は、暗号資産(仮想通貨)が金融システムにもたらすリスクを監視すると同時に、法整備を進めるスタンスを維持してきた。

昨年11月30日~12月1日にブエノスアイレスで開催されたG20首脳会議では、「FATF(金融活動作業部会)の基準に従い、マネーロンダリングおよびテロ資金調達の防止に向け暗号資産を規制し、必要に応じてその他の対応を検討する」との合意書に、各国が署名を行った。

また、2020年を目途に最終報告書を作成し、「経済のデジタル化が国際税制に与える影響に対処するための、合意に基づく解決策を模索する」方針を明らかにした。

さらに資金洗浄およびテロリストへの資金援助を撲滅する目的で設立された政府間機関であるFATFはG7諸国を含む36の加盟国と2つの地域組織で構成されている。2018年初旬から暗号通貨の国際規制の制定について審議を開始し、新たな国際規制に暗号通貨市場を適合させるよう、既存の規制の修正も検討していた。

今回の会議でも、仮想通貨の基盤となるブロックチェーン技術の経済効果に期待をかける一方、仮想通貨が市場の健全性への影響を懸念するというG20のスタンスに変化はない。

「イノベーション促進と同時にリスク管理の探索を提案

ほかにもラガルド氏はアジア圏を「デジタル決済と検証システムの革新が最初に主流となった地域」とし、「消費者保護への懸念とプライバシーへの懸念が表面化している」と指摘した。またアジア圏に限らず、世界中で「イノベーションを犠牲にすることなく、フィンテックのリスクを管理する方法」と「消費者と投資家を保護しながら、急速な技術革新に追いつく方法」を探索することの必要性を主張した。

IMFと世界銀行は昨年10月に加盟国からの要請の下に「Bali Fintech Agenda」を作成、各国や他の国際機関が最先端の分野で焦点を当てるべき12の優先事項を特定していた。

これらの要素には、「フィンテックの恩恵を受け入れる」「オープンで自由、そして競争可能な市場への競争とコミットメントの強化」などフィンテック技術の促進を支持すると同時に、「金融システムの秩序ある発展と安定性のための規制の枠組みおよび監督慣行の適応」といった、規制環境の整備を含んでいる。

また上記の優先事項に関して世界96カ国に調査を行った結果、80%近くがサイバーセキュリティを、約60%がマネーロンダリング防止の法的および規制の枠組みを、40%が国境を越えた支払いシステムを、取り組むべき最も重要な優先事項として挙げた。この「最も重要な優先事項」に仮想通貨が含まれていることはいうまでもない。

さらにラガルド氏は「大手ITが膨大な顧客データを利用して、ビッグデータやAI(人工知能)を基盤とする金融商品を提供する可能性」についても言及。今後このような金融商品が市場に提供された際の市場集中や消費者のプライバシー侵害、またそれに付随する金融システムの脆弱化に対して懸念感を示した。

今回の会議を通し、過去数回にわたりG20の議題に盛り込まれてきた仮想通貨の国際規制案に対する共通認識が高まったと言えるだろう。また上述した会議声明ではFSB(金融安定理事会)の暗号通貨や分散型金融技術などに関する「報告書を歓迎する」と明記する文章が複数にわたり散見された。

金融市場だけではなく仮想通貨市場に大きな影響をあたえる可能性が考慮される今月末のG20サミットの議論と共に、金融安定理事会から発表が予定される報告書も重要な動きと捉えていいだろう。今後の動きから目が離せない。

CoinPost App DL
厳選・注目記事
注目・速報 市況・解説 動画解説 新着一覧
13:10
サークルとコインベース、ステーブルコイン規制「ジーニアス法」施行で重要な提言
サークル社とコインベースが米財務省にジーニアス法施行に関する提言を提出した。ステーブルコインの公平な競争条件の確保や利回りをめぐる過剰規制の回避などを求めている。
13:01
日本3メガバンク共同でステーブルコイン発行へ、金融庁が「FinTech実証実験ハブ・決済高度化プロジェクト」を支援 
金融庁が決済分野に特化したプロジェクトを新設し、みずほ・三菱UFJ・三井住友の3メガバンクによる共同ステーブルコイン発行を初の支援案件として承認した。信託型の枠組みで100万円の送金上限が撤廃され、円建てに加え米ドル建ても視野に。片山財務相も支援を表明し、国を挙げた金融イノベーション推進が本格始動する。
11:41
仮想通貨市場の投資家心理は最低水準、10万ドル節目の攻防続く
ビットコインが6月以来初めて10万ドルを割り込み、10月高値から20%超の急落。長期保有者による416億ドルの大量売却と、ETFからの9億ドル流出で市場は動揺している。個人投資家のセンチメントは過去最悪レベルに落ち込む一方、Bitwise幹部は機関投資家の投資意欲は旺盛で、年末の最高値更新もあり得ると指摘した。
11:05
テザー、新たな提携でトークン化証券市場を加速
ステーブルコイン大手テザーが資産運用会社クレインシェアーズ、ビットフィネックス・セキュリティーズと戦略提携。トークン化証券市場は2030年に約1500兆円規模へ急拡大の見込み。
10:50
時価総額トップ100の仮想通貨の内の72銘柄、最高値から50%超下落
ギャラクシーのリサーチ部門は、時価総額トップ100の仮想通貨の内72銘柄の価格が過去最高値から50%以上下落していると報告。今後の相場の見通しに注目が集まっている。
10:25
「ビットコイン市場は脆弱な均衡状態に」Glassnodeが鍵となる価格水準を分析
Glassnodeが最新市場分析を発表。仮想通貨ビットコインは軽度の弱気相場にあると指摘した。ビットコインの持続的な回復あるいは下落に必要な水準を分析している。
10:05
JPモルガンのダイモンCEOがステーブルコイン事業参入を表明、他行との共同構築も検討
JPモルガン・チェースのジェイミー・ダイモンCEOがステーブルコインの将来は不透明としながらも事業参入を表明した。他の銀行との共同構築も検討している。
08:35
アイルランド中銀がコインベース欧州法人に約36億円の罰金、3000万件超の取引監視を怠ったと指摘
アイルランド中央銀行がコインベース欧州法人にマネーロンダリング対策違反で約38億円の罰金を科した。取引監視システムの設定ミスで総額31兆円相当の取引が未監視だった。
07:45
年間10兆ドル超のステーブルコイン取引を扱う7団体、決済標準化コンソーシアムを設立
ファイアブロックスやソラナ財団など7団体がブロックチェーン・ペイメンツ・コンソーシアムを設立した。クロスチェーンのステーブルコイン取引を標準化し、従来の決済と同様の利便性を図る。
07:05
SBIデジタルマーケット、チェーンリンクと提携
SBIデジタルマーケットは、チェーンリンクと戦略的パートナーシップを締結。これからチェーンリンクの技術を活用して、TradFiとDeFiの橋渡しをすると説明している。
06:45
グーグル・ファイナンスが予測市場データなどを統合、金融情報機能を大幅強化
グーグルが金融情報検索にカルシとポリマーケットのデータを統合し、将来の市場イベントに関する質問に回答できるようになった。
06:25
トム・リーのビットマインが210億円相当のイーサリアムを追加購入、2600億円の含み損抱えるも買い増し継続
ビットマインが6日にも約1.4億ドル相当のイーサリアムを追加購入。17億ドルの含み損を抱えながらも下落局面での買い増しを継続。
05:50
JPモルガン、ビットコイン価格予測を17万ドルに引き上げ その条件は=The Block
JPモルガンのアナリストがビットコインの今後6カ月から12カ月の価格予測を17万ドルに引き上げた。レバレッジ調整の進展と金に対する相対的な魅力の向上が理由だという。
05:30
アークのキャシー・ウッドCEO、2030年のビットコイン価格予測を大幅下方修正 150万ドルから120万ドルに
アークインベストのキャシー・ウッド氏が2030年のビットコイン強気予測を150万ドルから120万ドルに引き下げた。ステーブルコインの急速な普及が理由だという。
11/06 木曜日
16:25
ソラナ特化型戦略企業「SOLプラネット」が設立される
ソラナブロックチェーンに特化した戦略企業「株式会社SOLプラネット」が2025年11月4日に設立。外資系金融出身の野坂幸司氏がCEOを務め、企業向けにコンサルティングからインフラ構築まで一貫したサービスを提供する。

通貨データ

グローバル情報
一覧
プロジェクト
アナウンス
上場/ペア
重要指標
一覧
新着指標
一覧