- 仮想通貨市場
- トランプ大統領の仮想通貨批判や国内取引所の不正流出事件でもデッドラインを死守した仮想通貨ビットコイン(BTC)、昨年のハッキング事件から反騰理由を探る。リップル(XRP)やイーサリアム(ETH)など主要アルトコインも買われた。
仮想通貨ビットコイン(BTC)市況
本日の仮想通貨(暗号資産)市場は、朝から大きめのネガティブサプライズが相次ぎ、投資家心理が悪化した。
まず日本時間9時過ぎに、これまで仮想通貨について沈黙を守っていた米トランプ大統領が、Twitetr上でビットコイン(BTC)とフェイスブック主導のリブラプロジェクトに対して痛烈批判を展開。大きな注目を浴びた。
I am not a fan of Bitcoin and other Cryptocurrencies, which are not money, and whose value is highly volatile and based on thin air. Unregulated Crypto Assets can facilitate unlawful behavior, including drug trade and other illegal activity….
— Donald J. Trump (@realDonaldTrump) 2019年7月12日
規制面の問題や、違法行為を助長する恐れがあるとして懸念を表明、米ドルだけが”本物の通貨”だとした。
また本日昼過ぎには、国内大手仮想通貨取引所ビットポイントで、ホットウォレットで運用していたビットコイン(BTC)など35億円相当の仮想通貨の不正流出が発覚。
昨年1月にコインチェックが、同年9月にZaifがハッキングされて以来、日本市場では金融庁主導で規制面に注力しており、2019年以降は前向きな動きも見られていた矢先の出来事に。これにより、せっかく再始動したばかりの国内情勢が再び停滞する懸念が生じており、金融庁の認可対応なども後手に回らざるを得ないことから、まさに”冷や水を浴びせられた”格好となった。
このようにネガティブサプライズが相次いだことで下げが加速することも懸念されたが、11日時点で最大2000ドル(約22万円)大暴落していたこともあり、(短期的には)売られすぎ水準にあったことが幸いしたか。アルトコインも急落が続いた反動で一時的に買いが入っており、これもアク抜け状態のビットコイン(BTC)価格を下支えしているように見受けられる。
ハッキング事件の様相を呈する仮想通貨取引所「ビットポイント」に関する目下の関心ごとは、つい先日に金融庁の業務改善命令が解かれた中で、セキュリティや経営・管理体制に大きな欠陥があってそこを突かれたのか、それとも内部犯によるものなのか、という点にもある。
前者であれば金融庁の顔に泥を塗る印象が強まり、規制の限界を露呈するなど悪影響の長期化は必至であるが、仮に万全の対策を期した上で後者の事情が主因であれば、必然と市場の受け取り方や今後の対策など、ある程度議論の焦点も変わるだろう。当然ながら、バイナンスハッキング騒動のように、対応スピードや補償内容によっても、今後の展開や市場の反応が変わってくると思われるため、重要な局面にあることは間違いない。
大衆心理も一つの要因で、株式市場でも下目線が強まる中で悪材料出尽くしによる反騰はままあるが、仮想通貨市場では過去にも、国内の仮想通貨ハッキング事件で”売りポジション”を踏み上げたことがある。
2018年9月明朝、2017年には国内三大取引所として隆盛を誇った仮想通貨交換業者Zaifがハッキングされ、市場に衝撃をもたらした。被害総額は67億円相当だった。
2018年9月のBTCチャート
2時59分(オレンジライン):Zaifのハッキング被害告知
4時00分(青ライン):bitFlyerメンテナンス明け
4時45分(紫ライン):CboeのSQ日時
日本時間の深夜帯に発表された予期せぬハッキング報道により、下落に傾いたビットコイン(BTC)市場。bitFlyerでは71万円から68.8万円まで-3.8%ほど急落するなど狼狽売りが入ったが、海外取引所Bitfinexの強い買いが先行する形で、ショートカバーで$200(22,000円)ほど急騰。
深夜帯に出たニュースで当事国である日本人の活動時間帯でなかったために反応が限定的だったことに加え、2018年の重要サポートラインである65〜70万円ラインに接触したことで、リバウンドに弾みがついた格好だ。
ビットコインテクニカル分析
暴落後のビットコイン(BTC)価格は、底割れを試しながらも、昨日の市況でも解説した118〜120万円ラインを節目に反発。今月上旬のペナント形成時にも何度も機能していたラインであり、4h雲は特に意識されやすい。
1hMACDが+30,000から一時-30,000まで転落するなど短期的には売られすぎ水準にあり、12日に弾き返された「1h200EMA」と128〜130万円付近にある強めのレジスタンスラインを明確に抜けることができれば、悪材料出尽くしで130万円台回復も視野に入るが、10日の大陰線を機に短期トレンドが下向きに転じたため、戻り売り圧力は無視できない。
直近の悪材料がいずれも今後の市況に響きやすい重さであることも事実であり、このまま素直に上昇し続けるシナリオも考えにくい。反発が一時的な上昇に留まり「中期的な下落トレンド」に移行する可能性も十分あり得る。情勢次第で、今後の数ヶ月スパンの値動きを決定付けるターニングポイントに位置していると言えそうだ。
11日21:20時点で、世界最大のデリバティブ取引所である「BitMEX」ランカーのLS比率は、ロング29.4%に対し、ショートが70.6%にまで急増しており、12日にかけてポジションを持ち替えているかどうかも注目される。
海外アナリストの市況感
仮想通貨トレーダーであり、投資家でもあるJosh Rager氏がビットコイン市場の今後の見通しを語っている。
BTCは弱含みで、11,000ドル(約120万)半ばを推移している。
日足のサポートラインの最低価格は10,979ドルで、さらなる急落が迫っているようにも見えるが、次に大きな動きを見せる前の値幅調整には十分注意しなければならない。今のところ、価格はニュートラルな均衡状態だ。
退屈な市場であり、みんながトランプ大統領の発言について話をしているのも頷ける。
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— CoinPost -仮想通貨情報サイト- (@coin_post) 2019年7月1日
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