- 米摩擦で高まるイランのビットコイン需要
- 米国からの経済制裁や国内の政治不和による影響で経済不振が続くイラン。法定通貨もインフレで機能しないことから、避難通貨としてビットコインの需要が急増している。
米国との摩擦で高まるイランのビットコイン需要
現在、米国との対立を深めるイランにおいて、ビットコインの需要が急激に増している。
イランが米国と対立を深める発端には、数年前に発覚したイランの核開発計画にある。その発覚を受け、2015年7月に米英仏独中ロの六カ国がイランの核保有阻止のため「イラン核合意」を締結。
しかし、トランプ大統領はこの合意は不当なものであるとし、昨年に合意離脱。さらにイラン産原油の輸入を禁止するなどの経済制裁を加えている。
4日前には、イラクの首都バグダッドにある米大使館付近にミサイルが撃ち込まれたが、イランが後援していると噂されるシーア派民兵組織による犯行とする見方が強まっている。
これを受けたトランプ大統領が以下のようなツイートを投稿して緊迫感が増している。
仮にイランが戦争をすれば、イランは終焉を迎えることになる。二度とアメリカを脅迫するな。
If Iran wants to fight, that will be the official end of Iran. Never threaten the United States again!
— Donald J. Trump (@realDonaldTrump) May 19, 2019
悪化するイラン経済
前述した国家間対立及び経済制裁などの影響はイランの経済に多大な影響をもたらし、イラン統計センター(ISC)の公表によれば、同国のインフレ率は今年4月に50%以上高まっている。
こうした同国の法定通貨リヤルへの不安感への広がりから、避難通貨先としてビットコインが選択される傾向が強まっており、先週には、248ヵ国に展開する仮想通貨取引所「LocalBitcoins」だけで、450億リヤル(約1億4800万円)の価値に及ぶビットコイン取引が確認されている。
これは仮想通貨市場が高騰していた昨年1月以来の高水準の出来高となっており、今後もイランにおける厳しい経済状況が続けば、同国におけるビットコインの需要が伸び続ける可能性が考えられるだろう。