
財団売却続くも3,000ドルへ接近
イーサリアム財団が7月11日、保有する1,210 ETHを約349万6000(5億円相当)のUSDCで売却した。エンバーCNの追跡によると、売却価格は1ETHあたり2,889.5ドルだった。同財団は過去1カ月間で合計2万1,000ETHを複数のアドレスに移転しており、今回の売却はその一部に当たる。
売却に至る資金移転の流れは複雑で、財団はまず2万1,000 ETHを「0xc06」で始まるアドレスに移転した。6日前に同アドレスから7,000ETHが「0x247」アドレスに送金され、さらに今回1,210 ETHが「0x340」アドレスに移されて売却が実行されたという。売却で得られたUSDCは「0x247」アドレスに戻されており、計画的な資金管理の一環とみられる。
イーサリアム財団は6月4日に新しい財務管理方針を発表していた。従来の長期保有戦略から転換し、ステーキングやDeFi運用を通じて財務の持続可能性を強化する方針を示した。安全性とセキュリティを重視しながら、イーサリアムの基本原則に沿った運用を行うとしている。
新方針では3カ月ごとに売却の是非と規模を決定し、年間を通じて定期的な財務計算を実施する。現在はwETHによるレンディングプラットフォームへの供給も行っており、DeFiエコシステムの成熟に合わせてトークン化された現実資産の組み込みも計画している。売却は主に法定通貨建てやオンチェーンスワップで実行される。
今回の売却は新財務管理方針の初の実行例となり、財団の資金運用戦略の変化を示している。イーサリアム市場への影響は限定的とみられるが、財団の定期的な売却が今後の価格動向に与える影響に注目が集まる。DeFi市場の発展に伴い、財団の運用手法もさらに多様化するだろう。
なお、ETH価格はビットコインATH更新を背景に続伸し3,000ドルへ接近しつつある。
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