- スイス拠点のスタートアップ企業:多額の資金調達成功
- 9月27日にSEBA Crypto AG社は1億ドル(約113億円)を超える資金調達に成功したと発表。仮想通貨投資サービスなどの法定通貨と仮想通貨の取引の提供や、ブロックチェーン及び仮想通貨関連企業向けの銀行サービス提供を計画している。同社のプロジェクトマネージャーは「既存銀行と新しい仮想通貨分野とのギャップを埋める存在になりたい」と発言。
仮想通貨企業の壁:銀行サービスの利用
最近の仮想通貨業界では、仮想通貨関連企業が既存の銀行サービスを受けにくい状態が続いています。
その例としてブラジルやフランスでの事例が挙げられます。
ブラジルでは同国の大手銀行が仮想通貨関連企業の既存の銀行サービス利用を拒否したことに関して、 その行為が独占的競争に当たる可能性として、ブラジル規制当局は同国内の銀行Banco do Brasil SA、Banco Bradesco SA、Itau Unibanco Holding SA、 Banco Santander Brasil SAなどに調査を実施しています。
以前のコインポストの記事にもある通り、仮想通貨関連企業が既存の銀行サービスを利用しづらいという現状を打破するため、フランスでは新たなICOの枠組みを取り決め、フランスの金融市場規制当局(AMF) がICOを行うとする企業(投資家に具体的な保証を提供するプロジェクトのみ) に認可を発行する権限を与えるということが決められています。
これにより、既存の銀行サービスにアクセスしやすくなり、仮想通貨の投資家により良いサービスの提供が可能になると見込まれています。
スタートアップ企業SEBA Crypto AG:多額の資金調達に成功
こうした一連の流れを受け、 スイスの投資銀行UBSの前経営者によって設立されたスタートアップ企業SEBA Crypto AGは、ブロックチェーン及び仮想通貨関連スタートアップに、仮想通貨と既存の銀行のサービスの両方を提供する銀行の設立に向け、資金調達をしていました。
そして、9月27日に同社は1億ドル(約113億円)を超える資金調達に成功したと 発表しました。
同社はクリプトバレーと呼ばれるスイスのツークに拠点を置き、仮想通貨投資サービスなどの法定通貨と仮想通貨の取引の提供、ブロックチェーン及び仮想通貨関連企業向けの銀行サービス提供を計画しています。
また、コーポレート・ファイナンスの提供やICOに関するアドバイス、その他銀行サービスの提供も予定しています。
同社は銀行業と有価証券仲介業の許可をスイス金融市場監査局(FINMA)に申請しており、FINMAとSEBA Crypto AGは現在許可申請に関して議論の最中だということです。
このSEBA Crypto AGのプロジェクトマネージャーの一人Guido Buehler氏は、
SEBAは既存銀行と新しい仮想通貨分野とのギャップを埋める存在になりたい。また既存の金融と仮想通貨の経済を合わせ、市場を牽引するリーダーになりたい。
と述べています。
また同氏の発言によると、調達した資金のうち一部は銀行設立のために利用し、残りは投資保護を提供するため資本金とするとしています。
同社はまたFINMAから申請の承諾を得た際には、シンガポールやヨーロッパ各地への事業拡大や、さらなる資金調達を計画しています。
また同プロジェクトのプロジェクトマネージャーAndreas Amschwand氏は、スイスがブロックチェーンや仮想通貨アセットに対してしっかりとした理解の上で規制を整えようとしている点に関して、「新たな金融サービスを立ち上げる理想の場所だ。」と発言しています。
既存の大手銀行は規制が不明瞭な仮想通貨分野をリスクとして参入などに難色を示す中、それが逆にSEBA Crypto AGのようなフィンテック関連のスタートアップにとってビジネスチャンスとなっています。
もし仮に銀行業の許可が承諾されると、同社は仮想通貨やブロックチェーン業界の求める需要を満たすことが可能となり、既存の銀行と新たなデジタル資産エコノミーとの統合への新たな一歩となるかもしれません。