- ゴールドをデジタル資産へ
- ステーブルコイン発行企業Paxosが、ゴールドにペッグした仮想通貨をローンチした。ゴールドの重さという問題を解決して利便性のある資産を提供し、従来のゴールド投資家を仮想通貨領域へ呼び込むことも目的とする。
ゴールドにペッグした仮想通貨
ビットライセンス取得するステーブルコイン発行企業Paxosが、金本位のステーブルコインを発行する。ブロックチェーン上で金(ゴールド)を発行できれば、その最も有名で貴重な金属「金」を支持する人々もデジタル資産に興味を持つきっかけになると主張した。
仮想通貨貸付サービスの有名企業らもこのプロジェクトに賛同しているという。
ニューヨークを拠点にするPaxosは9月5日に、ゴールドに裏付けられたデジタル資産「PAX Gold(PAXG)」のローンチを発表した。PaxosのCEO Charles Cascarilla氏は、PAXGは金1オンスと1:1の割合でペッグされると説明。ニューヨーク州金融当局(NYDFS)の認可を取得済みで、Paxosの取引所「itBit」にて、ドル建てで購入できるようになる。今後は他の取引ペアも上場を予定するという。
Paxosでは、様々な商品や世界中の金融資産をトークン化するという目的を持っており、ゴールドのトークン化もその目標までのプロセスと見られる。
PAXGは、資産としてゴールドが抱える最も大きな問題の1つである「重さ」を解決できる糸口になると説明する。「ゴールドは重くて運ぶのが困難なため、その価格に注目している投資家でも、直接ゴールドをトレードをしたり所有するより、他のデリバティブ商品を選択する」とCascarilla氏は語った。
PAXGの活用方法
Paxosは、イーサリアムブロックチェーンを活用することによって、PAXGがトレードに適した本物のゴールドとして扱われることを望んでいるという。
PAXGの取引がより活性化することは、投資家のポートフォリオに多様性を提供できるほか、仮想通貨市場内にリスクヘッジ手段が多様化することにも繋がる。出来高が低く、ボラティリティの高い仮想通貨市場では、金融市場のリスクオフムードで、仮想通貨市場外へ資金が逃げる傾向にあったが、市場内でゴールドと同等の価値をもつ資産への資金逃避ができる可能性がある。
Paxosは、NYDFSの取得を得ているため、ニューヨーク住民もPAXGの売買や所有が許可されている。
PAXGの可能性
PAXGには、仮想通貨貸付サービスの大手企業であるGenesis Global TradingとSALT Lendingが興味を示した。SALT Lendingは担保の1つの選択肢としてPAXGを採用する予定で、Genesis Global Tradingは貸付の保証金として利用する予定だという。
Genesis Global Capitalのビジネス開発部のトップ Matthew Ballensweig氏は、「PAXGを活用すれば、流動性と新たな金融サービスを機関投資家に提供できる。従来のゴールドの投資家もPAXGを所有することによって利益を得ることを望むと信じている。PAXGを担保にして現金を借りる人も出てくるだろう」と語った。
SALT Lendingの幹部Cascarilla氏とRob Odell氏は、PAXGを利用してゴールドに投資したり、ゴールドを所有することによる利便性は、仮想通貨とゴールド両方の投資家を引きつけることができると考えているという。
Odell氏は、「ビットコン(BTC)をデジタルゴールドと呼ぶ人も多いが、PAXGの誕生によって、投資家はデジタルと形あるゴールドの両方を所有できるようになった。そして、ビットコインと同様の効率的な方法でゴールドを管理できるようにもなっている」とコメント。「PAXGはゴールドの活用方法を根本から変える。ゴールドの歴史における目覚ましい発展だと思っている」と金融市場と仮想通貨市場の互恵関係を語った。
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