はじめての仮想通貨
TOP 新着一覧 チャート 学習-運用 WebX
CoinPostで今最も読まれています

トークンの実用化に必要なソリューションとは?国内外におけるトークンの現状と進展についてLiquidが解説

画像はShutterstockのライセンス許諾により使用

グローバルな流動性を実現するために米国進出を進めている仮想通貨取引所LiquidのCEO栢森氏にインタビューを行なった。未来の経済でトークンがどのような役割を果たすのか、トークン開発の現状や今後の展開についてインタビュー内容を紹介。

国内におけるトークンの現状をどのように捉えていますか?

トークンの開発で大事なこと、それは「流動性」です。そこで重要となってくるのが、まずはトークンの発行体として、そのトークンがより多くの取引所にリスティングされることで、これが流動性につながります。一方、専売的にトークンを販売することが業界の発展に良いかどうかは判断が難しいところです。

ただ、私はリスティングが難しくなってしまうことに対して心配しています。日本で行われるICOやSTOが東証で上場するレベルと同様の扱いになると、資金調達手段としてのこれらの長所が失われる可能性があるからです。このICO、STO、IEOの素晴らしいところは、今までIPOなどにアクセスできなかったベンチャー企業や中小企業が資金の調達を可能にしている点ですが、その魅力が損なわれてしまうことになるかもしれません。

また、その利用が東証上場のような規制の強化によってあまりにも難しくなってしまい、資金を調達することに見合わないコストがかかるようになると、市場の発展は鈍化していってしまうでしょう。リスティングに関する情報や資料がとても多くなり、手続きが煩雑化することも懸念されます。

そうなると、やはり資本が大きいところだけがICOやSTOをできるというような状況になってしまい、他の資本市場と何も変わらなくなってしまいます。こういった専売的な動きは、顧客保護の視点が重視されている側面もあるのですが、やりすぎてしまうと却って厳しい状況になるので調整が大事になってきます。一方、ネットをよくわかっている方は海外に行ってしまうので、そのバランスを考える必要もあります。

顧客保護と資金調達のバランスが進んでいる国はどのあたりでしょうか?

グローバルに見ても、ICOやIEOは停滞しているのが現状です。進展はこれからでしょう。ちなみに、発行体が発行しやすい国としては現在、シンガポールスイスが挙げられます。

一方、米国では、SEC(証券取引委員会)がベンチャーや資金力が少ない企業向けの厳しくない資金調達法に則った形でICOを認めた事例として、直近ではロックサックの件があります。ただ、かかった期間、コスト、揃えた資料の多さなどはおそらく相当大変だったのではないでしょうか。あのような事例がたくさん出てきて、今後コストが削減されていくと良いと思います。

トークンは今後どのような進展を見せるでしょうか?

トークンは通貨のデジタル化の一つとして、今後ユーティリティなのか、法定通貨にペグされたステーブルコインなのか、債券型なのか、証券型なのか、いろいろな形になってくると思います。2年後、5年後、10年後は世の中がデジタル化していくことは紛れもない事実で、価値、お金、証券など金融周りのものがトークン化されていくことは自然の流れです。

取引所でも今後さまざまなトークンが出てくるでしょうから、それらを幅広く扱えて、且つお客様が興味を持ったトークンを当社やパートナーのところで買えるようになるとおもしろいでしょう。若い世代はデジタルネイティブと呼ばれていますが、その方達のためのサービスが出てくればよいと思います。

トークンの流動性の向上につながる事例について紹介してください

トークンの流動性を向上させる新たな試みとして、取引所とトークンの発行体であるdAppsのような企業が繋がる展開が考えられます。発行体のトークンが、dApps企業のアプリケーション内で流通することもそうですが、取引所を含めた外での流通も促進されることにより、いっそうトークンが身近に感じれるようになることに期待しています。

また、彼らのトークンが取引所で取り扱われるだけではなく、自身のウェブサイトでも取引できるようにしたいというニーズもあります。さらには我々がグローバルに展開しているクイックエクスチェンジというdAppsのサイト内で簡単に交換できるようなサービスをやろうという動きもあるので、トークンの広がりはおもしろいことになっていくと思います。

ビットコインは、次世代の送金手段として注目を集めたデジタル通貨でしたが、最近では資産形成として金と比較されるようになりました。このような形で注目を集めているのは、ビットコインの資産クラスに対する認識の変化を表した、素晴らしい兆候だと思います。

最初は支払い、決済として出現しましたが、その後価値が上昇。既存の金融商品と相関のない点、支払い周りでいうとステーブルコインが出現したりしたことは進化です。最初に出てきた用途と違う形になって進化していくことは、おもしろい流れだと感じています。

トークンが実用化される上で今後重要になる取り組みについて教えてください

仮想通貨は”怖い”といわれていますが、それはボラティリティの高さよりもセキュリティ面を指すことがほとんどです。販売所、取引所、ウォレット事業者はどの方も気をつけてはいますが、継続的に起きる流出のような問題を、安心できるところまで持っていかなければならないでしょう。

ただ、それはオンラインセキュリティと同じでいたちごっこであって、常にハックの脅威に晒されていても盗まれないような仕組みの開発も必要です。別の方法として、ユーザーが自分で仮想通貨を管理するという手段もありますがスケールしないでしょう。そのあたりのバランスをわかっている取引所が安心安全に利用できるところとなります。

また、お客様が自身でリサーチして、安心安全なところに預けていくこと、一つのところだけではなく分散して預けることでリスクを下げることも大事です。それが機関投資家の話となった場合、カストディサービスという保険を利用することにもなるでしょう。

カストディにはFXや証券のような信託会社が出てくることも考えられ、ケースバイケースになるかもしれません。ですから、今後はお客様がセキュリティサービスを選んでいく形になると思っています。ただし、セキュリティは永遠の課題であり、今後もなくなるということはないでしょう。

日本では金商法が執行されますが、国内の仮想通貨業界はどう変わっていくでしょうか?

金商法によって、ベンチャーが簡単に取引所や販売所を始めることができる状況ではなくなってくると思います。それを良しとするのかしないのかは見解が分かれるでしょう。

新しい市場においては、スピード感や柔軟性などを考えると、ベンチャーは仮想通貨業界の方がいろいろやっていけると思いますが、顧客保護や規制の問題から取引所や販売所を運営していくのは難しいと思います。また、金商法の執行により、デリバティブ領域も整備されていくでしょう。

現在注目されているトークンは?

この業界では、自分が保有しているトークンがどのような経済圏を作っているのか興味を持つ人や、今後も投資していきたいという人がたくさんいます。

一方、世の中には様々なブロックチェーンがありますが、企業ではどうやってdAppsやアプリ開発者などを集めてくるかという点でファンドを作ったり、補助金を出したりなど苦労しています。開発者からしてみると、開発した後はどのように集客するのか、収益化はできるのかということが重要となってきます。

最後に一言、お願いします

国内でも、発行体企業が国外でリスティングやIEOを行いたいというニーズが存在しています。ただホワイトペーパーを英語で魅力のあるものに仕上げる必要があるなど、実行の難易度は高いでしょう。

また、海外から日本のプロジェクトがどうなっているのかという声もたくさんあります。

こういった反響に対して、暗号資産業界に多い若者が次々と海外に進出していけるように、私たちも橋渡しできるように尽力していきたいと考えています。

CoinPost App DL
厳選・注目記事
注目・速報 市況・解説 動画解説 新着一覧
11/20 木曜日
16:51
NVIDIA決算好調、米株上昇と仮想通貨相場回復の連鎖起点に
11月19日NVIDIA決算発表後、Nasdaq総合指数0.6%高。マイニング企業株(IREN10%高など)がAIシフト恩恵で買われ、BTCは89,000ドル安値から91,000ドル回復。専門家は電力供給の重要性を指摘、関連投資機会を分析した。
16:44
米民主党議員がトランプ一族関与のワールドリバティに調査要請 国家安全保障への懸念示す
エリザベス・ウォーレン上院議員らが、トランプ大統領一族が関与するDeFiプロジェクト「ワールドリバティ・フィナンシャル」に対する調査を要請した。北朝鮮・ロシア関連団体へのガバナンストークン販売が国家安全保障リスクになると指摘し、利益相反の懸念も表明した。
16:00
米大手取引所クラーケン、SECにIPO申請を提出 評価額3.1兆円
米仮想通貨取引所クラーケンが米SECにIPO申請を提出。評価額は200億ドル(約3.1兆円)で、2026年第1四半期の上場を目指す。トランプ政権の友好姿勢を背景に、仮想通貨企業の上場ラッシュが続く。
14:09
ビットワイズのXRP ETFが米国で上場へ カナリーに次ぐ2つ目の現物型商品
ビットワイズのXRP現物ETFがNYSEに上場へ。欧州GXRPに続く2本目のXRP商品で、米国では初提供。XRPCの初日取引高90億円超など、アルトETF市場が急拡大している。
12:35
ビットコイン9万ドル回復、エヌビディア好決算で投資家心理改善 マイナー売り圧に変化の兆しも
仮想通貨市況 暗号資産(仮想通貨)市場では、ビットコイン(BTC)は前日比+3.4%の1BTC=92,331ドルに。 20日にかけて、88,000ドル付近から92,000ドル超…
11:59
ブロック社が強気の財務見通し、3年で粗利益2.5兆円目指す  自社株買いも発表
ジャック・ドーシー率いるブロック社が今後3年の財務見通しを発表。粗利益の年間15億ドル増加を予想し、株価が7.6%上昇した。AI・仮想通貨事業も強化している。
10:36
米大手仮想通貨取引所コインベース、予測市場・株式取引機能を導入か
米コインベースが12月17日に「新時代」を発表予定。リーク情報から予測市場・株式取引機能の実装が示唆され、カルシとの提携深化やブロックチェーン株式取引の展開が期待される。
10:14
仮想通貨XRP、ステーキングを導入する案が浮上
RippleXのエンジニアリング部門のトップは、仮想通貨XRPへのステーキング機能導入を考察していると説明。ステーキングは報酬が発生する仕組みであり、投資家からも注目を集めている。
09:41
「銀行の仮想通貨保有について、基準見直す必要性がある」バーゼル委員会議長
バーゼル委員会議長がステーブルコインの台頭を背景に、銀行の仮想通貨保有規制の見直しが必要だと発言した。現行の厳格な資本要件の緩和が焦点となっている。
06:48
「ビットコインとはサービスである」Bitwiseが価値の本質を指摘
仮想通貨運用企業Bitwiseの最高投資責任者は、ビットコインはサービスであるとの見方を示した。マイクロソフトと比較しながら、価値の本質を説明している。
11/19 水曜日
18:44
ストラテジーのセイラー会長、ウォール街参入による「ビットコイン弱体化」論を否定 
ストラテジーのセイラー会長がフォックス・ビジネスで、機関投資家の参入によりビットコインのボラティリティが大幅に低下していると発言した。2020年の約80%から現在50%まで縮小し、今後はS&P500の1.5倍程度に収束すると予測している。
18:25
アーク・インベスト、コインベースとサークル株を買い増し
ARK投資のキャシー・ウッド氏、コインベースとサークル株を計720万ドル購入。ステーブルコイン市場の成長を見据え、仮想通貨関連株への投資を拡大。
13:55
ブラジル、仮想通貨のクロスボーダー決済に課税検討 規制強化で抜け穴封じ=報道
ブラジル政府が仮想通貨を利用したクロスボーダー決済への課税を検討している。中央銀行は2026年2月から新規制を施行し、ステーブルコインを含む国際送金を外為取引として扱う方針だが、税収漏れ対策として金融取引税(IOF)の対象とする案が浮上している。
13:35
サークルが「xリザーブ」発表、USDC担保型ステーブルコインを展開可能に
サークルがブロックチェーン間でUSDC担保型ステーブルコインを展開可能にする相互運用インフラ「xリザーブ」を発表した。
13:15
米SEC、2026年度検査で仮想通貨監視を重点項目から削除 規制緩和加速
米SECが2026年度の検査優先事項から仮想通貨監視を除外。トランプ政権下で規制姿勢が執行重視から対話重視に転換。コインベースやリップルとの訴訟解決など、業界への軟化姿勢が鮮明に。
通貨データ
グローバル情報
一覧
プロジェクト
アナウンス
上場/ペア
重要指標
一覧
新着指標
一覧