- 世界的マイニング会社Bitfury:新ツール「Crystal」における2つの活用事例
- 一つ目は、不正なビットコイン取引の追跡。二つ目は金融機関のためのコンプライアンス対策、及びリスク管理です。
- ビットコインのブロックチェーン非匿名化による影響
- リスクスコアリングを自動化することで、セキュリティを重視する仮想通貨の魅力を一層引き立てる可能性について解説しています。
ビットコインマイニング会社として世界トップクラスのシェアを誇る「Bitfury」は、2011年創業。多国籍ブロックチェーン研究グループへと成長を遂げました。
そんな「Bitfury」が、新たに開発したツール(Crystal)の実装とともに、法執行分野への進出を開始しました。
Crystalツールは、主に二つのユースケースを想定してデザインされています。
ユースケース1
一つ目は、「法執行」のためであり、犯罪行為と関係した不正なビットコイン取引を追跡することです。
ビットコインは、度々ランサムウェア攻撃(ユーザーのデータを強制的にエンクリプト(暗号化)し、それをデクリプト(復号化)するための身代金を払わせるように強要すること)に悪用されてしまいます。
ワーム型ランサムウェアとして悪名高い「WannaCry」は、2年間に$2,500万ドル(約27.5億円)に相当するビットコインを不当に奪い取りました。
WannaCryの製作者は、その被害規模の大きさ(約4,400億円)にも関わらず、未だ逮捕されていません。
Crystalチームによると、攻撃自体は「3時間の内に追跡できた」と主張、仮想通貨取引所に対し、「疑惑のウォレットアドレスに関する取引の一時停止を命じることができる」との見解を示しています。
ユースケース2
二つ目のユースケースは、金融機関のための「コンプライアンス対策」と「リスク管理ツール」です。
Crystalのケーススタディとしては、ビットコインベースのベンチャーキャピタルを医療部門向けに利用することが挙げられます。
ここでのツールの目的は、国家による制裁、テロの資金供与、マネーロンダリングに対する規則とのコンプライアンスを正しく証明することです。
資金の出所、および送信先における透明性の高い報告を行うことにより、国内法とのコンプライアンスを証明できるのです。
このことで、ベンチャーキャピタルファンド及び、その基本財産に対する訴訟リスクを未然に防ぐことが可能になります。
さらにCrystalは、マイニング作業がポンジ・スキームでないことを確かめ、自由投票で選ばれた役人による汚職(ビットコインを通した賄賂)を予防するための「監査能力」もアピールしています。
新開発ではない
Crystalツールは、BitFuryグループによるブロックチェーンの非匿名化を目標とした、継続的な取り組みの一環です。
2018年初頭の時点で、BitFuryグループは関連するウォレットをまとめる新たなメソッドの進展を発表しました。
また、「ギャンブル、マイニングプール、麻薬取引」との関連アドレスを見極めるため、オフチェーンデータを用いて検査する、確率モデルを解説した、詳細なホワイトペーパーを発行しています。
1ヶ月ほど前に発行されたこのホワイトペーパーは、すでにブロックチェーンの約15%を「非匿名化」することに成功したとされています。
マーケティング資料によると、すでに実利用が始まっており、いくつかのプロファイル調査に影響を与えた可能性が高いとのこと。
Crystalで最も意義深い開発は「自動化されたリスクスコアリング」であり、近い将来メジャーな取引所によって実装される可能性が示唆されています。
非匿名化がもたらす影響
Bitfuryによる、ビットコインのブロックチェーン非匿名化への開発は、セキュリティを重視する仮想通貨の魅力を一層引き立てる可能性を秘めています。
我々は、悪意を持った「マルチウェアの開発者」が取引所に資金移動させる際、ビットコインから追跡困難な仮想通貨(Moneroなど)に乗り換えるケースを、散々目の当たりにしてきました。
Crystalを使用することで、多くのランサムウェア開発者は、仮想通貨取引所によるリアルタイムの取引停止措置を避けるために他通貨による決済を目論み、最終的にドルに戻さざるを得なくなるのではと考えています。
BitFury Launches Blockchain Investigation Tool to Fight Bitcoin Crime
Fev. 4, 2018 by Jake Sylvestre
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