WebX完全ガイド
TOP 新着一覧 取引所 WebX
CoinPostで今最も読まれています

中央銀行のデジタル通貨開発の素顔=専門誌調査

画像はShutterstockのライセンス許諾により使用

期待が現実を上回るか、CBDC

中央銀行関連の情報に特化した専門誌「Central Banking」は、同誌初となる中央銀行デジタル通貨(CBDC)に関する調査結果を発表した。

世界46ヵ国(注1)の中央銀行から得た回答から浮かび上がってきたのは、CBDCの研究が盛んになる一方で、CBDCの発行が実現に至るまでには多くの課題があること、また、中央集権的な管理が不可欠との立場から、ブロックチェーン技術応用の可能性は限定的であるという。

注1:アジア・オセアニア地域7ヵ国、中東3ヵ国、欧州19ヵ国、アメリカ・カリブ海地域10ヵ国、アフリカ7ヵ国

CBDCの研究は盛んに

この調査では、今後5年以内で具体的なCBDCの発行を計画している中央銀行はほとんどないことが明らかになる一方で、回答した65%に上る中銀が、既にCBDCの調査研究を行っていることがわかった。

ここ数年で、テクノロジー企業の台頭によって、グローバルな決済環境が激変し、従来の銀行にチャレンジするような存在になりつつあることや、フェイスブックのリブラプロジェクトなど、民間のデジタル通貨が中央銀行の存在すらも脅かす可能性が指摘されるなど、中央銀行にとってCBDC研究は、ますます重要性を増してきているようだ。

実際、イングランド銀行をはじめ、多数の中央銀行が積極的にCBDCを評価し、金融安定性や金融市場のインフラ、マクロ経済への影響に関する課題についての詳細なレポートを発表している。

例えば、オランダ銀行は、先月、スマートコントラクト等の技術側面にも言及し、CBDCの設計モデルにまで踏み込んだレポートを発表。日銀は、今年1月、スウェーデン、カナダ、スイス、イギリスの中央銀行と欧州中央銀行、そして国際決済銀行(BIS)とともにCBDCの評価及び研究を共有するワーキンググループを新設している。

研究の段階

CBDC研究を行っている中銀のうち、その大半(57%)が初期の調査段階にあるようだ。

23%は研究を概念実証(PoC)の段階まで進めている。例えば欧州中央銀行(ECB)は、昨年末、R3の分散型台帳プラットフォーム「Corda」上で実現可能なPoCを開発している。

一部の中銀(13%)は、さらに一歩進んで、プロジェクトのパイロット段階に入っている事も明らかになった。カリブ海のバハマ中央銀行は、民間企業との提携によりブロックチェーンベースのCBDC「Sand Dollar」を開発。今年1月から一地区で試験運用を開始し、今年後半には別の地区にも拡大する予定だという。

また、2017年からデジタル通貨「e-krona」の研究を開始したスウェーデン国立銀行は、大手コンサルタント会社のアクセンチュアと提携し、2月からパイロットプログラムを開始しており、1年間試験運用を実施すると報道されている。

実現には多くの課題

CBDCの研究や試験運用が広がる一方で、中期的に見た実際の発行の可能性については、ほとんどの中銀がその計画はないと回答している。

CBDC発行の障壁となるのが自国の法的枠組みで、多くの国で現行の法律では中央銀行が銀行券と硬貨以外の法定通貨を発行できない仕組みになっている。CBDCの発行には法の改正が必要になる場合が多いようだ。調査では回答者の16%強が、CBDCの発行に法的な障害があると答えている。

さらに規制の面や新興技術への信頼の欠如、またデータのプライバシーに関するコンプライアンス、サイバーセキュリティへの不安なども、障壁となると考えられている。

DLTは利用するが、ブロックチェーン利用の可能性は低い

調査では71%の回答者が分散台帳技術(DLT)の使用を検討すると答えた一方で、ブロックチェーン・ネットワークを利用すると答えたのは、一行に留まったという。セキュリティとスケーラビリティの問題が解決した場合に、利用を検討するとした中銀も一行のみだった。

DLTを検討しないと答えた中銀(29%)は、その理由として、集中型データベースが好ましい選択肢であることをあげた。中央銀行が複数の当事者に取引データを管理させることは、プライバシーとセキュリティに関する懸念もあり、集中型発行モデルを利用している中銀にとっては、ブロックチェーンの利点はそれほど重要ではないと結論づけている。

この考え方を裏付けるように、イングランド銀行は、CBDCがDLTを使用して構築されなければならない理由はないとしており、従来の中央集権型技術を使用しての構築も可能だと指摘。同時に、DLTには潜在的に有用な革新技術が含まれていると評価し、CBDCの設計を検討する際にはそれを分析すべきだとした。

最終的にどのような技術をCBDC開発に導入するかを決定するには時期尚早だとし、回答者の多くは、質問への回答を避けているようだ。あるヨーロッパの中央銀行は「現時点では、どの技術がCBDCの発行に最も適しているかに関する合意はない」と述べたという。

各国でCBDCの研究開発がますます活発になる一方で、実際の発行には、まだ長い道のりを辿らなくてはならないようだ。

出典:Central Banking

Google Newsでフォロー
CoinPost App DL
厳選・注目記事
注目・速報 市況・解説 動画解説 新着一覧
10/31 土曜日
14:02
仮想通貨犯罪追跡大手チェイナリシス、不正アクセス被害に
仮想通貨分析大手チェイナリシスが30日、顧客のユーザーIDや氏名などへの不正アクセスを公表した。10月には日本の佐川急便や米国のオラクル・ヘルスを含む数百件の個人情報漏えいも確認されている。
13:45
米クラリティー法案が再び焦点に、バイナンス被害で資産凍結の法的保護めぐり論争広がる
仮想通貨取引所バイナンスで約63億ドル(1兆円超)の被害が出たハッキングを受け、ルミス上院議員は、クラリティー法案が成立していれば不審な取引を凍結できたと主張した。これに反論も出ており、業界団体は取引所の連邦監督を議会に求めている。
13:10
テザー社、USDT準備金の超過分が1兆円超えに回復 6月末から約2倍に
ステーブルコインUSDTを提供するテザー社は、7~9月期の準備金保証報告書を公表した。9月末の超過準備金は79.5億ドルで6月末から約2倍になっている。
11:02
ハイパーリキッドの収益源多角化、USDC準備金利回りなどの割合増加=レポート
グレースケールによると、ハイパーリキッドのコア取引手数料は9割超から約6割に低下し、HIP3や準備金利回りなど様々な部門からの収益が前年から倍増している。
10:20
東証上場イオレ、保有151.21ビットコインを全量売却へ AIデータセンター投資に充当
東証上場のイオレは30日、ビットコイン151.21BTCの全量売却を決議した。売却見込額は18億3,100万円、売却損は約2億5,400万円の見込みで、代金はAIデータセンター事業関連投資に先行して充てる。
09:20
北朝鮮ハッカー、バイナンス1兆円窃盗の大半をわずか約20分で実行 秘密鍵に頼らず署名悪用
バイナンスで1兆円相当の資産が流出し、大半が約20分に集中したことが判明。分析会社は秘密鍵の盗難・漏洩ではなく署名の仕組みへの侵害と指摘し、EIP-7702が悪用された手口を踏まえ、承認ルールの独立判定などの対策を挙げた。
07:32
米CFTC委員長、バイナンス被害めぐり仮想通貨取引所が選べる伝統金融並みの保護を提案
米商品先物取引委員会(CFTC)のセリグ委員長は30日、バイナンスで29日に起きたハッキングを受け、仮想通貨取引所が任意で連邦登録できる選択肢を設ける考えを示した。米国のデリバティブ市場と同じサイバー対策などが適用される。
07:05
米仮想通貨関連株が全面安、1兆円規模のハッキングも市場全体への脅威は限定的とアナリストが見解
30日の米国株式市場ではバイナンスの1兆円不正流出事件を受けて、コインベースが10.62%、サークルが9.3%下落した。ウォール街の3社は市場全体の脅威になる根拠は乏しいとみている。
06:20
トランプ大統領、バイナンス1兆円被害めぐり北朝鮮関与の可能性を調査中
トランプ大統領は30日、仮想通貨取引所バイナンスのハッキングに北朝鮮のハッカー集団が関与したか調べていると話した。チェイナリシスは1兆円近くのハッキングは北朝鮮によるものだと強く確信している。
06:05
バイナンス、ハッキング被害の補償に約1兆円を確保
バイナンスは31日、ハッキング被害の補償に自社資金63億4000万ドル超を確保したと明らかにした。被害額の約80%分は流出と同じトークンで保有しており、残りも買い付けを進めている。
10/30 金曜日
21:25
SBI VCトレードとビットバンク、バイナンスの暗号資産流出で顧客資産に影響なし
SBIホールディングスが30日、バイナンスの暗号資産不正流出事案について、子会社各社のバイナンスに対するエクスポージャーは現時点で限定的で、連結業績への影響はないと発表した。SBI VCトレードとビットバンクの顧客資産への影響もない。
19:10
バイナンス、ハッキング調査で複数の侵入箇所が判明
バイナンスは30日夕方、仮想通貨の流出事件で他の侵害箇所が見つかったと公表した。出金サービスは45時間後の再開に向けて予定通りに進んでいるという。
17:29
レジャーに続きトレザーでも不正部品の報告 東南アジア販売店経由
ハードウェアウォレット大手トレザーは30日、東南アジアの販売店クリプトビリスが売ったSafe 5に不正部品が組み込まれていたとの報告を公表。同店で3月以降に購入した利用者に新しいリカバリーフレーズでの資金移動を求めた。レジャーの改ざん事件に続く報告。
16:45
フランス上院、仮想通貨の税務報告枠組み「CARF」合意の法案可決
フランス上院は、仮想通貨の税務情報を各国当局と交換する枠組み「CARF」を承認する法案を可決した。次は国民議会で審議され、成立すれば2027年に交換が始まる見込みだ。
16:44
金融庁、海外8地域の金融制度調査を公表 ステーブルコイン規制も整理
金融庁は30日、米欧中など8カ国・地域の金融制度に関する委託調査を公表した。暗号資産交換業者を扱う節では、米ジーニアス法やMiCA規則、中国が2月に出したRWA禁止の新通知まで、各地の暗号資産・ステーブルコイン規制を整理している。
今から始める仮想通貨特集
通貨データ
重要指標
一覧
新着指標
一覧