Block.oneに集団訴訟問題が発生
昨年9月末、仮想通貨EOS(イオス)の未登録ICO問題で、2400万ドルの罰金の支払いにより米証券取引委員会(SEC)と和解したブロックチェーン企業、「Block.one」が、新たな訴訟問題に直面している。
5月18日、ニューヨーク連邦地方裁判所に提出された訴状によると、この訴訟は、2017年6月26日から現在に至るまでの間、EOSを購入または取得したすべての個人または事業体を代表して提訴されており、4月3日にすでに同裁判所に提出されたBlock.oneに対する集団訴訟(原告:Williamsおよびその他)に次ぐ2件目の集団訴訟となる。
原告(Crypto Assets Opportunity Fund LLC並びにJohnny Hong)はBlock.Oneが、米国証券法に違反し、SECへのEOSの証券登録の義務を怠り、かつEOSに関連した大々的な広告を行うとともに、投資家の誤解を招くような情報を提供することで、投資家に多大なる不利益を与えたと主張。「仮想通貨をめぐる世界的な熱狂と、歯止めが利かない人間の貪欲さによって煽られた詐欺的な計画に起因する」、とした。
巨額の資金調達に成功したEOS
香港と米バージニア州に拠点を置くBlock.oneは2017年に設立され、同社が開発する仮想通貨EOSを、2017年6月から約1年間にわたり実施されたICOで販売し、史上最高額となる41億ドル相当(約4400億円)の資金調達に成功した。
ICOに際して、Block.Oneは、EOSへの投資は、ビットコインやイーサリアムブロックチェーンより優れた、新たなオープンソースのプラットフォームへの資金提供をするものだと主張。ホワイトペーパーや、ブロックチェーン会議、数々のミートアップでBlock.One幹部によるプレゼンテーションを通して、積極的なマーケティングを行った。さらに、仮想通貨に特化したオンラインニュースや投資家向けのサイトに加え、ニューヨーク、タイムズスクエアのビルボード広告など、大きな注目をひくプロモーションが行われている。
この間、Block.oneは、SECに有価証券登録をせず、またその登録免除の申請も行なっていないという。
SECはBlock.oneが未登録の有価証券トークンを米国在住の投資家に販売し、連邦証券法に違反したとして、昨年9月30日、2400万ドルの罰金の支払いを命じたが、Block.oneは、SECの調査結果を否定することなく和解請求に同意し、罰金の支払いに応じ和解に至っている。
原告の主張
訴状では、Block.oneが、投資家保護のために義務付けられた証券取引に関する規制を故意に回避したため、ICO投資家が、Block.oneの財務履歴、運営状況や予算、役員報酬やリスク要因、また法律で規定された情報の開示を要求する機会を奪われたと申し立てている。
また、Block.oneは、EOSのプレセールの売買契約書に、SECへの対応策として、米国の投資家には資金調達ラウンドに参加しないように求める文言を含めてはいたが、米国の投資家を排除するのには十分な措置をとってはおらず、実際ICOには多くの米国在住の投資家が参加したことが判明している。
原告側弁護団の一人によると、米国の投資家の損失を2億ドルと見積もっているという。
弁護団は、Block.oneのSECとの和解金2400万ドルは、同社がICOで調達した40億ドルの0.6%に過ぎないことに注目しているという。また、SECは、罰金の支払いのみで、EOSトークンの再登録や投資家への払い戻し、Block.oneによる今後の有価証券を発行資格を制限するような措置は要求していないことを指摘した。
訴状では、ICOはBlock.oneに巨額の利益をもたらした一方で、投資家はBlock.oneの当初の主張とは対照的に、EOSブロックチェーンが「高度に中央集権化」され、「他のブロックチェーンよりも優れていない」ことを発見することになり、「事実上、ほぼ無価値となった規制されていない資産」がその手元に残ったと訴えている。
強力な弁護団
今回の訴訟の弁護団には、投資家サイドからの訴訟に精通した法律事務所や、ブロックチェーン・仮想通貨訴訟の専門家、投資家擁護専門家などが参加しているが、この訴訟は、「すべての仮想通貨詐欺で最大のもの」とも言えるICOで、Bolck.oneに世界の投資家を騙した責任取らせるための努力だと、主張している。
「仮想通貨を信じているからこそ、仮想通貨を利用して、あからさまに個人的な利益を得ようとする者には責任を取らせなくてはならない」と弁護団の一人で、証券弁護士のJames Koutoulas氏は述べている。
出典:訴状