FATF、仮想通貨送金に係る「新国際ルール」対応状況レビューと全体会議の概要発表

金融活動作業部会が全体会議を完了

国際的な金融規制タスクフォースである金融活動作業部会(FATF)は1日、6月24日に行った全体会議の概要を発表した。

この会議は、FATFが昨年6月に発表した「トラベル・ルール」への各国や企業の対応状況の検証が行われるとして注目されていたものだ。

トラベル・ルールとは、資金洗浄等防止のため国際的な電信送金に関するルールで、仮想資産サービス・プロバイダー(VASP)には取引の際、送金者と受取人の情報を収集・交換し、その情報の正確性を保証することも求められる。

このルールに法的拘束力はないものの、加盟国に対しハイリスク・非協力国リストを公開するため、世界の金融ネットワークに対し大きな影響力を持つことになる。

トラベルルール準拠状況についてのレビュー報告

詳細な議事録はまだ公開されていないものの、今回の会議報告によると、FATFは公的部門と民間部門の両方が、全体的にFATFの新基準、特に「トラベルルール」の実装を可能にする技術ソリューションの開発において、進歩を遂げていることを見出したという。

FATFが現時点で仮想通貨やVASPに関しての新基準を修正することは不要としつつ、新基準を完全には履行していないメンバーが必要なプロセスを実施できるよう、仮想通貨やVASPについて更なるガイダンスの必要性があるとした。

一年後の2021年6月までに再度、12か月間のルール順守状況のレビューを行い、FATF基準のさらなる更新が必要かどうかを検討するという。

その間、FATFは民間部門と協力し、2021年10月までにレッドフラグ指標やケーススタディの公開を含め、仮想通貨とVASPの資金洗浄 / テロ資金調達(ML / TF)リスクの理解を促進していく。

今期の過去12カ月レビューは、今月中にFATFのウェブサイトで公開される見通しだ。

ステーブルコインについて

ステーブルコインについては、FATF基準はすでにステーブルコインについても適用されるものになっているため、現時点では基準のさらなる修正は必要ないとした。

ただし、ステーブルコインは急速に進化している領域であり、匿名のピアツーピアトランザクションを含む、ML / TFリスクを引き続き注意深く監視することが不可欠であるこという。この議題に関する詳しいレポートも後日発行される予定である。

トラベルルール準拠対応が加速

FATFが認めているように、「トラベルルール」への準拠対応は関連団体で急速に進められているところだ。

最近では、オランダを本拠とするING銀行がルールへ準拠するためのプロトコルを発表。

ING銀行は、それ以前に「事業者間メッセージング規格のためのジョイントワーキンググループ(IVMS)」が開発した、取引時に送受信者の情報データも送信できる新規格「IVMS101」を一部使用している。

こうした統一規格を採用することによって、関連企業は開発コストを削減することが可能になる。

また、仮想通貨業界の監視が後回しになっていたパラグアイのような国でも、FATFのガイダンス発表後、業界の監視が強化された。各国でも同様に、監視や規制を整備する圧力となっている。

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仮想通貨取引所も、準拠対応を急いでいる。大手仮想通貨取引所バイナンスは、FATFの規制を遵守するために、データソリューション企業Shyft Networkとの提携を発表した。

韓国の大手仮想通貨取引所4社(Bithumb、Upbit、Coinone、Korbit)も、FATFの基準に対応するため韓国国内の銀行の登録情報更新が必要となった。

仮想通貨テゾス(XTZ)とアルゴランド(ALGO)は、それぞれ新しくコンプライアンス・システムを導入、トラベルルールの幾つかの要件を満たし、セキュリティ管理上の前進となる。

関連団体の準拠のための技術開発は活発で、テクノロジー企業にとってはチャンスともなっている。FATFの今回の会議でも、こうした取り組みの数々が認識されたということだろう。


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