メインネットローンチから2年経過
2020年6月、オントロジーはメインネットローンチから2周年を迎えた。
メインネットとは、ブロックチェーンが一般に公開されることを意味する用語で、取引の記録がブロックチェーンに記録されるだけでなく、様々なdAppsでも利用できる状態。一方、開発者や一部の利用者だけが取引できる状態をテストネットという。
メインネットローンチ以降、オントロジーはアメリカ、南米、ヨーロッパ、アジアと世界中でユースケース開発、提携先の開拓、コミュニティの拡充などをしてきた。
オントロジーはメインネットローンチ2周年を記念し、特集記事の公開やオンラインイベントを実施。オントロジーのこれまでの軌跡を振り返った。
Ontologyの軌跡
オントロジーは独自のブロックチェーン技術をもとに、企業が抱える問題へのソリューションを提供。オントロジーのブロックチェーンではクロスチェーン取引も可能なため、異なるブロックチェーン同士でもデータや価値のやりとりが可能。つまり、企業ごとに異なるブロックチェーン技術を採用していたとしても、オントロジーを利用すれば企業間コラボレーションが円滑に行えるのだ。
メインネットローンチ後の主なアップデートは以下の通り。
1. 19年10月 マルチVM ローンチ
2. 20年1月 ONTFS リリース
3. 20年2月 SaaSフレームワークアルファ版 リリース
4. 20年4月 Wasm-JIT リリース
5. 20年5月 レイヤー2 リリース
6. 20年6月 ・ONT ID 2.0 アップグレード ・ONTO新バージョン リリース ・DDXF 2.0 リリース ・Ontology 2.0 ローンチ
マルチVM(仮想マシーン)ローンチ
マルチ仮想マシンがローンチされ、多様な開発言語が利用可能に。開発者が新しい言語を覚える必要がなくなり、様々なシステム間での連携がより容易になった。
オントロジーファイルストレージ(ONTFS)リリース
ネットワーク上のデータのストレージが分散型になり、全体に共有されるものとなった。そのため、様々なデータの用途に対応可能。
ブロックチェーンSaaSフレームワーク(アドオンストア)アルファ版 リリース
SDKをモジュール単位でダウンロードできるなどの特徴を持つアドオンストアのアルファ版が公開されたことは、ブロックチェーンに詳しくない開発者でもブロックチェーン開発しやすい環境が整ったといえる。
Wasm-JIT リリース
高性能でストレージにかかるコストが少ないWasm-JITにより、ブロックチェーンの処理能力を高め、5300TPS近くもの処理能力を実現。
Ontology レイヤー2リリース
オントロジーパブリックチェーンの高速化が実現可能に。計算処理の効率が改善し、手数料も低くなった。
ONT ID 2.0 アップグレード
オントロジーが開発した分散型IDフレームワークであるONT ID。このアップグレードにより広いユースケースへ対応可能となり、個人のアイデンティティ管理がより柔軟に行える基盤を構築した。
ONTO新バージョン リリース
ONTOはOntologyの公式アプリで、ユーザーが自身のアイデンティティを一元管理できるツール。新バージョンのアプリでは、ONT IDを利用した資産の素早い移動や、デジタル認証による安全な個人情報などの取得が可能になった。
DDXF(分散型データ取引所) 2.0 リリース
ユーザーが作り出すデータを中央管理者が一元管理するのではなく、ユーザー自身が自分のデータを売買を含む取引が可能なプラットフォーム。今後リリースされる予定の分散型マーケットプレイス「SAGA」との併用により、ユーザーのデータ取引のセキュリティを確保しつつユーザー間のデータのやり取りを活発にする狙いだ。
Ontology 2.0 ローンチ
Ontology2.0は、Wasm-JITやMulti-VM、レイヤー2、ONT ID2.0などの重要な新機能を登載したブロックチェーン技術。これにより、多様な開発言語やクロスチェーンでのオペレーションが可能であることからより多くのユーザーに利用可能なプラットフォームとなった。
今後注力する3分野
2周年を記念するイベントの中で、オントロジーは短中期的に次の3分野に注力、発表やアップデートをしていくと語った。
アドオンストア
ブロックチェーンや分散台帳技術に詳しくない開発者であっても、ブロックチェーンを利用してビジネス上の問題解決が可能に。アドオンストアで提供されるアドオンは、開発者がカスタムすることも可能。
SAGA
分散型マーケットプレイスSAGAは、ユーザーの個人情報を安全に転送・保管したり、企業などが個人情報を利用した見返りに個人が報酬を得られるプラットフォーム。このプラットフォームは、企業などが個人からデータを取得するだけでなく、個々人がそのデータを提供することを通じてマネタイズできるようになることを目標としている。
ガバナンスモデルとステーキングモデルの再構築
ステーキング参加に必要なONTの最低保有量を1ONTに引き下げ。ユーザーがOntologyのエコシステムへ容易に参加できるようになり、参加障壁が下がった。
また、取引速度(TPS)を改善するため、取引1回ごとの手数料を0.05ONGに引き上げた。これはノードが受け取る手数料を増やすことで、オントロジーブロックチェーンへのデータ格納・検証を促す狙いがあるものと思われる。
オンロトジーは「信用の再定義」をミッションに掲げている。
現状、インターネットの中央管理者がユーザーのデータを許可なく流用、マーケティング活動に利用し収益を上げているケースもある。オントロジーがブロックチェーン技術を通じて実現を目指すのは、個人情報のセキュリティを保ちつつ、個人が自分のデータを管理、必要に応じて報酬に変える手段を提供することだ。
2020年を重要な節目としているオントロジー。残り5ヶ月に発表するとしているアップデートに、今後も期待が寄せられている。