香港初のライセンス付与
香港証券取引委員会(SFC)が、香港証券取引所に上場するデジタルメディア企業Branding China Group Limited傘下の「OSL取引所」に対し、仮想通貨関連事業者に適用するライセンスを発行した。香港初の事例となる。
公式発表によると、ライセンスの取得により、プラットフォームローンチ後にビットコイン、イーサリアムを含む暗号資産(仮想通貨)およびデジタル証券トークン(STO)の取引提供が可能になる。顧客の本人認証(KYC)やアンチマネーロンダリングの対策を強化し、取引監視システムも導入しているという。
OSLの親企業は今年、米大手金融企業フィデリティから出資を受けたことが判明した。機関投資家、及び適格投資家のみにサービスを提供するOSLは、香港以外にシンガポールでもデジタル資産の関連事業者ライセンスを申請している。
個人の場合は最低800万ドル(1億円)のポートフォリオを有する、などの条件を満たす必要があり、機関投資家の場合は、最低800万ドル(1億円)のポートフォリオ、または総資産が4000万ドル(5億円)以上の資産を有するなどの諸条件を満たす必要があるとしている。
香港のライセンス事情
香港では、日本やシンガポール、米NY州と異なり、仮想通貨事業者に特化したライセンス制度は設けられていない。OSL取引所が取得したのは、厳密では仮想通貨の事業ライセンスではなく、「第一類証券取引」および「第七類自動化取引サービス」のライセンスだ。
背景には、SFCが19年11月に新たな規制ルールを発表したことがある。仮にデジタル資産取引所が最低1つの有価証券トークンの取引を提供する場合、SFCの管轄範囲に該当し、上述した「第一類証券取引」と「第七類自動化取引サービス」のライセンスを取得することは必須となるという。OSLのサービス範囲はこれらの条件に当てはまった。
ルールでは、ライセンス付きの取引所は、「プロ(適格)投資家」のみにサービスを提供できることや、顧客の資産と会社の資産の分離管理および顧客資産に保険をかけることなども規定されている。
なお先月、SFCのAshley Alder最高経営責任者は、フィンテックイベントにて「有価証券トークンの取扱いの有無を問わず、仮想通貨を取り扱う取引所のすべてにライセンス登録の規制を導入する」と発表した。背景には、BitMEXなどをはじめとするグローバル向けの取引事業者に対する規制強化の目的がある。