はじめての仮想通貨
TOP 新着一覧 チャート 学習-運用 WebX
CoinPostで今最も読まれています

「金融包摂でも大きな懸念」米仮想通貨ウォレット規制案にコインベースやクラーケンが猛反発

画像はShutterstockのライセンス許諾により使用

「パブリックコメント期間が短すぎる」

米財務省のFinCEN(金融犯罪捜査網)が発表した暗号資産(仮想通貨)ウォレットの規制強化案に対して、米国の大手仮想通貨取引所が次々に異議を唱えている。意見募集期間の短さや、金融包摂の面からも問題点が投げかけられた。

コインベースは、FinCEN長官に公開書簡を送付。パブリックコメント受付期間が非常に短いことに苦情を申し立てた。通常約60日間が設けられるのに対し、今回の受付期間は、クリスマスから年末年始の休暇にまたがるわずか15日間でのコメント提供を求めるもので、「これほど重要な変更案に対して、これほど性急な手続きが行われるのを見たことがない」とコメント。

またコインベースは、今回のことはトランプ政権の任期が終わる前に、急ぎの規則を完成させるため、必要な国民との協議を回避しようとしているだけだ、と指摘した。

コインベースが規制案を検討したところによると、その内容にレスポンスするためには、同社含め仮想通貨企業は、詳細な技術分析、広範なコスト評価、そして個人情報を政府機関に自動的に引き渡すことが引き起こすユーザーのプライバシー問題についても考慮する必要が生じる。

例えばFinCENは、提案されている報告要件に準拠するためにかかる費用や、それに加えて、報告のしきい値が変更され、すべての仮想通貨取引が規制対象となり、追加の本人確認が義務化された場合の見積もりも求めているという。

コインベースは、こうした事項を、今回提示されたコメント期間内で行うことは不可能だとしている。また、仮想通貨業界は、従来の金融とは重要な違いを持つ技術の上に成り立っているが、こうした点が規制案では十分に考慮されていないことも問題点とした。

新規制案の概要

規制案は、自己ホスト型ウォレットについてマネーロンダリング防止規則を強化する。

3,000ドルを超える引き出しに対してKYC(顧客身元確認)の強化が求められ、暗号資産サービスプロバイダー(VASP)は、その引き出しを行う顧客と、送金先の身元情報(名前や住所など)を確認しなければならない。さらに1万ドルを超える取引の場合には、FinCENへ報告する義務が発生する。

さらに、大きな取引を小さな取引に分割して報告義務を回避することを防ぐような方策も規定するものだ。

「貧困層から金融システムへのアクセスを奪う」

老舗仮想通貨取引所クラーケンも反対の声を挙げている。コメント期間の短さに加えて、規制案は銀行口座を持たない貧しい層から金融システムへのアクセスを奪うものだと指摘した。

案は仮想通貨の送金を希望する顧客に対して、受取人の氏名と住所を報告することを義務付けているが、顧客が受取人の住所を報告できない場合、金融機関は取引を拒否しなければならない。

クラーケンによると、ホームレスや難民など米国の人口の25%が銀行口座を持っていない状態にあり、既存の要件では、こうした人々のために金融機関が口座を開設することが原則的に禁止されている。規制案が施行されれば、取引所から仮想通貨ウォレットへ送金するという代替手段によっても、住所を持たない恵まれない人々に送金することが不可能になってしまう。

スマートコントラクトへの資金流入も阻害

それだけではなく、名前も物理的な場所も存在しない、DeFiプロジェクト含むスマートコントラクトに仮想通貨を送ることも禁止されることになる。この点についてクラーケンは以下のように申し立てた。

スマートコントラクトは、リスクや費用が高い中間業者を必要としないようにするために作られた、急速に進歩した技術だ。これらの中間業者を利用する必要性が、今日の金融システムから貧困層を排除している。提案されている規則は、この技術への資源の流れを阻害し、金融システムが排除的なものであり続けるようにする。

新ウォレット規制案については、仮想通貨業界だけではなく、共和党議員の中でも反対意見がある。Warren Davidson氏、Tom Emmer氏など四名は、財務長官に公開書簡を提出し、この動きを見直すように求めた。

関連:米財務省、仮想通貨ウォレット規制案を正式発表
CoinPost App DL
厳選・注目記事
注目・速報 市況・解説 動画解説 新着一覧
12/01 月曜日
18:34
日経グループQUICK、ビットコイン指数の算出開始
QUICKは12月1日、円建てビットコイン指数の本格公表を開始した。試験運用から更新頻度を毎日に引き上げ、12月22日からはリアルタイム指数も提供する。暗号資産ETFなどでの利用を想定。
17:07
イーロン・マスク氏「エネルギーこそ真の通貨」、ビットコインは基づくと主張
テスラCEOのイーロン・マスク氏が「エネルギーこそ真の通貨」と主張し、ビットコインはエネルギーに基づいていると説明。一方、著名経済学者やピーター・シフ氏は「本質的価値がない」と批判を続けている。
17:01
政府・与党、暗号資産の分離課税導入を検討へ 調整開始─NHK報道
政府・与党が暗号資産投資の分離課税化を巡り調整に入ったとNHKが報道。現行は最大55%の総合課税で、制度見直し議論が年末の税制大綱へ進む見通し。
16:26
「チェーンリンク」の将来性は?トークン化市場に必須インフラ
チェーンリンク(LINK)の将来性を解説。2030年に16兆ドル規模が予測されるトークン化市場で、既存金融とブロックチェーンを接続するオラクルとして80%超のシェアを獲得。SWIFT・J.P.Morganとの提携事例も紹介。
16:00
スイ(SUI)のステーキングで高利率なのは?自分で行う方法と取引所比較
SUIのステーキング方法を徹底解説。取引所(年利最大4.28%)、ウォレット、リキッドステーキングの3つの運用方法を比較表付きで紹介。初心者向けのOKCoin Japanから、Slushウォレットでの自己管理、Haedalでの高度な運用まで、リスクと利回りを考慮した最適な選択をサポート。
15:55
ワールドコインの本人認証方法|マイナンバーカードでWLDを受け取る手順を解説
ワールドコイン(WLD)がマイナンバーカードでの本人確認に対応。World Appでの認証手順を画像付きで解説。所要時間約5分で完了し、Orb認証済みの方も追加のWLDを獲得可能。受け取ったWLDの現金化・運用方法も紹介。
15:43
ソニー銀行、米ステーブルコイン事業化に向けBastionと業務提携 子会社設立も視野に
ソニー銀行が米Bastionと業務提携し、米ドル建てステーブルコインの事業化を推進。日経報道によると2026年度の発行を計画し、ソニーグループの「経済圏」での決済活用を目指す。米国子会社設立とOCC銀行免許取得も視野に。
15:35
Ginco、Babylon Labsと提携「BTCFi 2.0」を推進
GincoがBabylon Labsと提携し、第三者への預託なしでBTCを活用できる「BTCFi 2.0」を日本で推進。業務用ウォレットGEWからBTCステーキングが可能に。
14:26
カザフスタン中銀、仮想通貨投資を計画 最大約470億円規模
カザフスタン国立銀行(中銀)のティムール・スレイメノフ総裁は、金・外貨準備ポートフォリオの一部として、仮想通貨へ最大3億ドルの投資を検討していると発表した。
11:47
テザー社CEO、S&PによるステーブルコインUSDT格下げに反論 余剰資本を強調
テザー社CEOがS&PによるステーブルコインUSDTのドルペッグ機能評価の格下げに反論した。余剰資本や米国債利回りを考慮していないと指摘している。
11:07
ヤーン・ファイナンスのyETH製品に攻撃、約4億5000万円相当が流出
イールド・ファイナンスのyETH製品が攻撃を受け、約4億5000万円相当のETHが流出。攻撃者は無限ミントの脆弱性を悪用し、約1,000ETHをTornado Cashに送金。V2・V3ボールトは影響を受けず、yETH保有者は安全に引き出し可能に。
09:15
中国人民銀行、仮想通貨取引の厳格取締を改めて要請、ステーブルコインも警戒対象
中国人民銀行が仮想通貨取引の取締強化を改めて各当局に要請した。仮想通貨関連活動の再活発化が背景にあるとみられ、ステーブルコインも警戒対象としている。
09:03
コインシェアーズ、XRP・ソラナ・ライトコインのETF申請を取り下げ
欧州大手のコインシェアーズが、XRP・ソラナ・ライトコインのETF申請を取り下げた。米国市場での大手運用会社への集中により、差別化や利益率確保が困難になるとの懸念を示し、ナスダック上場を控え、仮想通貨関連株式やアクティブ運用戦略など新商品の投入を計画している。
11/30 日曜日
14:00
今週の主要仮想通貨材料まとめ、金持ち父さん著者キヨサキのBTC売却やソラナとXRPのETFの好調など
前週比で振り返る仮想通貨市場の最新動向。ビットコインやイーサリアム、XRP、ソラナなど主要銘柄の騰落率や注目材料を一挙紹介。市場トレンドと関連ニュースを詳しく解説する。
12:00
DeFiで株式市場はどう変わる? Progmat齊藤達哉氏が語るオンチェーン金融の未来|独占インタビュー【後編】
Progmat齊藤達哉氏インタビュー後編。議決権付きトークン化株式で日本が世界初となる理由、2028年施行を目指すトークン化法のロードマップ、DeFi・AIエージェントを見据えた将来ビジョンを聞いた。
通貨データ
グローバル情報
一覧
プロジェクト
アナウンス
上場/ペア
重要指標
一覧
新着指標
一覧