時価総額ランキング上位の仮想通貨は
国内暗号資産(仮想通貨)取引所で取り扱われている銘柄の中で時価総額上位位置するビットコイン(BTC)、イーサリアム(ETH)、XRP(リップル)のそれぞれの特徴や、初心者が投資する銘柄を選ぶ際のポイントについて解説します。
時価総額上位の銘柄を紹介
国内取引所で取り扱われている銘柄のうち、時価総額上位の通貨についてそれぞれ概要を紹介します(参考:Coin Market Cap)。
なお、時価総額とは「該当銘柄の現時点での市場価格×発行数」で算出される数値であり、人気の度合いを測る指標として使用されます。
価格が上昇したり発行枚数が増えたりすれば時価総額も上昇します。時価総額が高いということは、それだけ投資家によって取引が盛んに行われているということであり、信用度が高い銘柄であると言えます。
ビットコイン
ビットコインは、2008年に「サトシ・ナカモト」を名乗る正体不明の人物(もしくは団体)により世界で初めて発明された仮想通貨で、その時価総額は100兆円近く(2021年8月時点)もあります。
大きな特徴として、国が管理する「中央銀行」のような発行主体が存在せず、非中央集権型のシステムで成り立っているという点が挙げられます。オープンソースソフトウェアとして公開され、第三者を介することなく、個人間決済を行えるようにすることを目的に開発されました。
一定時間ごとに、世界中で行われている取引履歴を1つのまとまり(ブロック)にして記録していき、それぞれのブロックをつなぎ合わせていくことで全ての取引履歴を管理する、ブロックチェーンという技術に支えられています。
また、法定通貨でいう「米ドル」と同じように、世界各国の仮想通貨取引所ではBTC建ての「基軸通貨」としての立ち位置で採用されており、それゆえアルトコインの大半は、ビットコインの価格変動に大きな影響を受けやすいと言えます。金(ゴールド)と同じように代替資産性を持つことから、「デジタル・ゴールド」と呼称されることもあります。
イーサリアム
イーサリアムは、ビットコインに次ぐ時価総額で、アルトコインの代名詞的な存在です。 ロシア出身のヴィタリック・ブテリン氏がビットコインの技術を応用して19歳の時に考案しました。
イーサリアムの特徴は、分散型アプリケーションを構築するためのブロックチェーンプラットフォームであることです。このプラットフォームを利用することで、分散型アプリケーションの構築と「ERC-20」と呼ばれる独自トークンの発行を簡単に行うことができます。
また、スマートコントラクトという契約の自動執行機能が実装されており、条件を満たした際にプログラムが走って自動的に契約が実行されます。
2020年に注目を集めたDEX(分散型取引所)やレンディングサービスなどに代表されるDeFi(分散型金融)も、そのほとんどがイーサリアムのブロックチェーン上に展開されています。
イーサリアムでは現在、利用者の急増に伴うガス代(ネットワーク手数料)の高騰やトランザクションの遅延といったスケーラビティ問題を抱えていますが、レイヤー2と呼ばれる技術の台頭や大型アップグレード、合意形成アルゴリズムがプルーフオブワークからプルーフオブステークに変更されることで、解消を目指しています。
XRP(リップル)
米Ripple社が開発したXRP(リップル)は、「RippleNet」という国際送金プラットフォームで活用されている仮想通貨です。一般的な銀行を利用しての国際送金は、送金に数日を要し手数料も高額です。その点、XRPを利用した国際送金ではものの数秒で送金が完了し、手数料も少額しかかかりません。
また、ビットコインやイーサリアムなどがパブリックチェーン(誰もが自由にネットワークに参加できるブロックチェーン)と呼ばれているのに対し、リップルはプライベートチェーン(ネットワークへの参加に承認が必要なブロックチェーン)と呼ばれています。誰でもネットワークに参加できるわけではなく、リップル社によって信頼できると見なされた「バリデーター」と呼ばれる参加者たちによってトランザクションの検証が行われます。
Ripple社は20年12月、米証券取引委員会(SEC)からXRPの有価証券問題を巡り提訴され、裁判で争っています。(*21年8月時点)
関連:米SECが提訴したリップル社裁判の進展と今後のスケジュールまとめ
仮想通貨を選ぶ際の3つの目安
仮想通貨を購入する際に留意すべき点について、信頼性・流動性・上場先という3つの観点で解説していきます。
1. 信頼性
2017年はの仮想通貨バブルでは、ICO(イニシャル・コイン・オファリング)での資金調達が流行して投機的な値動きが急増。詐欺的なプロジェクトが横行しました。コインチェックがハッキングされ、数百億円規模の仮想通貨が不正流出したことも社会問題となりました。
当時は新しい資産クラスに対して、理解や法規制が追いついていない国も多かったのですが、この教訓を活かして日本国内でも金融庁を中心に顧客保護が強く規制され、セキュリティが伝統金融市場と同等レベルまで強化されるようになりました。コインチェックも東証1部上場企業のマネックスグループの傘下に入り、国内屈指の金融ノウハウを享受しています。
日本国内の仮想通貨取引所では、金融庁認可の自主規制団体「JVCEA(日本暗号資産取引業協会)」が認めた「ホワイトリスト」の銘柄しか取り扱いができません。17年4月に施行された「改正資金決済法」によって定義され、そう呼称されるようになりました。国内で取扱のある通貨は、海外と比較しても大変厳しい基準で審査されており、信頼性は高いと言えるでしょう。
2. 流動性
流動性とは、一定時間内でどれくらいの量の通貨が取引されているかを表す指標のことです。
流動性が高い銘柄ほど取引が成立しやすくなり、取引量が少なく流動性が低い銘柄だと価格変動が激しく、希望した価格で売買することは困難です。
流動性は、取り扱いのある取引所の規模やコインの時価総額と比例しており、時価総額の高いビットコインやイーサリアムなどの通貨は流動性も高く、時価総額の低い通貨は、流動性も低く価格変動性(ボラティリティ)が激しく安定しにくいといえます。
時価総額ランキングは、価格追跡ウェブサイトの「Coinmarketcap(CMC)」などで確認することが可能です。
3. 上場先
仮想通貨取引所によって、取り扱っている銘柄(金融商品)はさまざまです。
購入しようと思っている仮想通貨が複数の取引所で取り扱われている場合、開示されている運営企業の規模やセキュリティ対策、利用ユーザー数(口座開設数)の多さや口コミの評判など、複数の観点で選ぶと良いでしょう。
国内大手の取引所では、マネックスグループの運営するコインチェックやbitFlyerは、最も歴史が長い老舗であり、利用者の多い取引所として知られています。
まとめ
ひと口に仮想通貨と言っても、その成り立ちや用途は多種多様です。
信頼性・流動性・上場先などに留意した上、しっかり精査して選んでいきましょう。