ビットコイン需要拡大の影響
米セントルイス連邦準備銀行のJames Bullard総裁は16日、米大手メディアCNBCの経済番組「Squawk Box」で、ビットコイン(BTC)が米ドルの地位を脅かすことはないとの見解を示した。
最近ビットコインに対する関心が高まっていることは承知しているが、準備通貨としての米ドルの地位に影響はなく、深刻な脅威とは考えていないと説明。今後も世界的に米ドルの経済圏が維持されると語った。
2008年から同連銀の総裁を務めるBullard氏は経済学者でもある。以前から暗号資産(仮想通貨)に対しては否定的な立場をとっており、2019年には「種類が多く、米国を統一性のない通貨システムへと導いている」と主張した。
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コロナ禍の経済対策で法定通貨の供給が続いており、最近ではインフレヘッジ手段としてもビットコインの需要が高まっているが、Bullard氏は今回、「ゴールド(金)やビットコインの価値が上がっても下がっても、米ドルの地位に影響はない」と語った。
今回の発言は、PayPalやマスターカードといった大手企業が仮想通貨決済の導入を発表していることなどが背景にあると見られる。米電気自動車メーカーのテスラが、ビットコインに総額15億ドル(1,600億円相当)を投資したことと合わせ、ビットコインを製品購入の支払い手段として導入する計画を立てていることも最近では注目を集めた。
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Bullard氏は米国には南北戦争の前に各銀行が統一性のない通貨を発行していた歴史があるが、結局は消費者が複数の通貨が利用されている状況を好まなかったと今回も説明。ビットコインも同様であると主張し、以下のように語っている。
例えばスターバックスに行って、米ドル以外にビットコイン、イーサリアム(ETH)、XRP(リップル)といった統一性のない通貨で人々は支払いをしたいとは思わないだろう。
我々には南北戦争を機に誕生した統一通貨がある。
そして仮想通貨の普及が拡大しても、通貨の争いは何世紀も続いていることで何も新しいことはないと主張し、投資家も安全で価値の安定した通貨で投資を行いたいと考えるはずだと語った。
ユーロや円といった価値のある法定通貨でも米ドルと置き換わることはできず、民間発行の通貨が米ドルの役割を果たすのは非常に困難だとの見解を示している。