VPNとプライバシー
VPNは、オンラインプライバシー保護に不可欠なツールです。しかし、どのくらいの頻度でプライバシーソリューションを利用すべきなのでしょうか?いつVPNに接続すべきで、いつ接続を解除すべきなのでしょうか?常にVPNに接続しておくべきなのでしょうか?それとも、無防備にインターネット上のサイトを閲覧しても安全だと確信できる状況はあるのでしょうか?
最も安全なのは、常時VPNに接続しておくことです。しかしこれは、時と場合によっては、不可能または実用的ではない可能性があります。例えば、通信速度は、VPNユーザーが最もよく出くわす障壁の一つです。VPN遅延にはいくつかの理由がありますが、単純に多くの人が同時にインターネット上のコンテンツにアクセスすることにより、帯域幅に負担がかかりすぎていることが、最も可能性の高い原因です。
とりわけ、パンデミックの渦中にて、自宅で仕事、学習、および娯楽を享受する人口が増加したことにより、インターネット通信料が急増し、平均通信速度が世界的に遅くなっています。VPNにかかるコストもまた、実用的ではない理由の一つです。
本記事では、VPNを利用すべき時について最良の判断を下せるよう、様々なVPNのユースケース、およびそれらに伴うリスクについて概説します。
VPNが必要な時
個人の好み、趣向および基準にかかわらず、常にVPNに接続しておいた方がいいアクティビティがいくつかあります。このような慎重に行うべきアクティビティをVPNの保護なしに実施した場合、データが失われた、盗用された、または操作された場合、ユーザーは煩わしく、修復不可能かもしれない損害を被る可能性があります。
プライバシーを強化し、セキュリティを脅かす可能性のあるリスクから自身を保護するために、VPNが不可欠な主要分野の一つが、金融です。銀行業務は、私たちの生活、生計およびデジタルアイデンティティの基礎となっており、重要であると同時に、扱いに注意を払うべき機能です。個人の金融情報が漏洩および誤用されることは、私たちがオンラインで直面している脅威の中でも特に深刻なものであるため、利用できる全てのツールを利用し、自身のプライバシーを保護することが非常に重要です。
銀行業務にVPNを使用することは、動画のストリーミング、またはウェブサイト閲覧などのアクティビティにVPNを使用することとは異なっています。VPNを介してオンラインで銀行を利用する場合、私たちは単にCookie(クッキー)やファイアウォールを避けているだけではありません。
金融のように、特に注意を要する機能を利用する際にプライバシーツールを用いることにより、私たちはデータを積極的に保護しようとしています。VPNに接続することにより、パスワード、政府発行の身分証明書および個人の経歴を違法に入手しようとしている人たちから、そのような情報を守ることができます。
悪意ある人々は、常に機密情報へのアクセスを企てています。セキュリティの甘いパブリックWi-Fiネットワークには、特に目を光らせておくべき脅威が存在しています。犯罪者は、このようなネットワークを操作することにより、同じ時に同じネットワークにVPNなしで接続している人なら誰でも、簡単にハッキングしてしまいます。
だからこそ、パブリックまたはセキュリティ対策がとられていない、ワイヤレスのネットワークからインターネットへアクセスする際は、常にVPNを利用すべきなのです。強力なプライバシーツールを介したトラフィックは、ハッカーであっても簡単には解読できません。VPNを利用することにより、銀行口座の確認や機密のビジネス連絡など注意が必要なアクティビティを、空港やカフェなどのWi-Fiを介して行うことができます。
おそらく一般的にハッカーは、個人情報よりも職場の機密データをターゲットにしているでしょう。行政機関などの場合、国家機密が最もリスクに晒されており、データが盗まれてしまうと、法律面で複雑な影響が生じる可能性があります。大企業の場合、十分なプライバシー対策が講じられなければ、何百万ドルものお金、重要情報、および何年にもわたる努力が脅かされてしまいます。単にウェブサイトを何度も訪れたことにより怪しいと判断され、重要な調査の主題を、意図せずに漏洩してしまったジャーナリストもいます。
リスクがそこまで高くない状況
以上で見てきたように、金融および職場の機密データを取り扱う際や、セキュリティの甘いネットワークに接続する際など、強力なプライバシーツールなしでは、インターネットに接続すべきでない状況がある一方、VPNなしでもリスクがそこまで高くはない場合も存在しています。
メッセージ送信、道順の確認、およびショッピング等では、比較的危険度が低いと考えられています。これらのアクティビティでは、状況にもよりますが、VPNを使わなくてもそこまでリスクが高くありません。しかし、機密情報を共有する際に、絶対に安全ということはありません。例えば、クレジットカード情報を入力しオンライン決済を行う際は、常に細心の注意を払いましょう。
最後に、VPNなしでも基本的なプライバシー対策は実践すべきです。何よりもまず重要なのが、プライバシー保護に尽力しているウェブブラウザを利用することです。これに適した選択肢の一つが、MozillaのFirefoxです。FirefoxのHTTPS Everywhereというプラグインにより、ブラウザでは、通常暗号化されていないウェブサイトの暗号化が強制的に行われます。さらに、常にhttpsに接続することにより、最新のプライバシー基準に従っていることが保証されています。
自分のプライバシーは自分で守る
私たちは、プライバシーに関する決定権を持っています。広範囲に及ぶ監視、追跡およびデータ共有ができるよう、インターネットは最適化されてきました。このような情報収集は、アプリのダウンロードからメッセージ送信および送金に至るまで、想像しうる全ての側面で行われており、中には比較的被害の少ない場合もあるでしょう。
しかし、たとえリスクの低い状況においても、データが悪の手に渡ってしまった場合、私たちの情報は危険に晒されてしまいます。機密な金融または職務データなどを取り扱うインターネット上の行為においては、強力なプライバシー保護ツールを利用しない限り、絶対に安全とは言い切れません。
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