「Crypto UK」が、FCAに公開書簡
英国の暗号資産(仮想通貨)自主規制業界団体「Crypto UK」が、金融行為規制機構(FCA)に公開書簡を提出した。FCAによるライセンス登録の審査が遅れていることを指摘し、業務に支障が生じていると訴えるものである。
2020年1月10日から、英国ではFCAがマネーロンダリング及びテロ資金供与対策(AML/CTF)の監督機関になっており、マネーロンダリング防止のために、仮想通貨企業がライセンス登録し準拠する制度を設けた。
当初、登録期限は2021年1月10日だったが、昨年12月にFCAは条件付きで期限を延長しており、12月16日までに申請を行なっていた企業の場合にのみ、2021年7月9日まで事業継続できるとしている。
この際、延長理由としてFCAは「登録手続きの複雑さ」と「新型コロナの影響」を挙げていた。後者については、感染拡大により企業訪問が難しくなったという。
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これは昨年12月のことだったが、それから約3ヶ月が経過する今も、審査は遅滞しているようだ。
Rishi Sunak財務大臣に宛てられた公開書簡によると、現在までに約200件のライセンス申請が行われたが、承認されたのは4件(Gemini Europe Services Ltd、Gemini Europe Ltd、Ziglu Limited、Archax Ltd)のみだ。
また、このライセンス制度はマネーロンダリング防止を狙いとするものであるはずだが、申請手続きはその範囲をはるかに超えた厳しいもので、多くの企業が審査過程での困難さを感じているという。
さらにFCAからの連絡は非常に限られたもので、申請書を提出してから、全く回答を得られていない企業も多い。2020年夏の段階で申請書を提出したにもかかわらず、いまだに担当者が割り当てられていない企業もあるようだ。
様々な要因が影響か
Crypto UKは「既存の企業が法的に取引を停止しなければならない7月の期限が迫っている」と懸念。数多くの新規事業者についても「申請を進めるのに何ヶ月も待たされ、その間に人件費や間接費がかさんでおり」、一方で事業を開始して収益を得ることもできないと訴える。
遅延には、昨年にFCAが挙げた「手続きの複雑さ」「パンデミックの影響」も引き続き影響しているのかもしれない。また公開書簡によれば、人事異動によりFCAにおける仮想通貨チームの人員が不足している可能性もあるようだ。
書簡は、FCAの現役スタッフから昨年末に仮想通貨監督チームの人員が新しく入替ったと報告を受けたことにも触れている。このため経験を積んだスタッフが他部門に移り、仮想通貨チームは人員不足の状態ではないかという。
審査の厳格な基準とスタッフの対象分野に対する知識不足から、ますます手続きが遅延しているのではないかと推測する格好だ。
Crypto UKは、規制当局が「新たに登場した、急速に進化する業界」に直面していることや、事前予想を上回る申請数であったことなどについて理解を示しつつ、英国経済とフィンテックに悪影響を与えかねないとする。
書簡の結論部分では、英国がフィンテックの国際的な中心地の一つであり、その立場を活用できることを指摘。仮想通貨関連のイノベーションからも、投資、税収、雇用といった財政面での利益が期待できるとして、状況の改善を求めた。