カナダ、仮想通貨企業への規制枠組み
カナダ証券管理局(CSA)と投資業規制機構(IIROC)が共同で、暗号資産(仮想通貨)関連企業への規制ガイダンスを公表した。
カナダ証券管理局は各州の証券取引委員会からなる国家レベルの組織。そして、投資業規制機構は自主規制機関だ。両機関は29日に、仮想通貨マーケットプレイス(取引所等)、ディラーなど市場関係者に対する規制ガイダンスを公式ページに掲載した。
カナダでは直近、仮想通貨市場が活発になりつつある。特に、今年に入ってすでに3つのビットコインETF(上場投資信託)が承認されトロント証券取引所に上場したことが業界に注目され、カナダの承認事例を受け、隣国である米国ではビットコインETFの申請事例が増えている。フィデリティやNYDIGなどによる申請がその一例だ。
今回ガイダンスの制定に動いた背景に、ビットコインETFの上場加速があったかどうかは明確ではないが、CSAは、ビットコインへの市場関心拡大がデジタル資産の普及を加速させていると指摘。
このガイダンスはカナダにおける初めての業者向けのガイダンスではない。2019年にも、CSAとIIROCは規制ガイダンスの提案を提出した経緯がある。
ガイダンスの詳細
ガイダンスでは、有価証券法や既存の登録制度がどのように適用するか規定が以前より明確化されている。
まず、仮想通貨のディラーとして運営しているかどうかによって異なる登録制度が採用される。ディラーとみなされる条件には、セキュリティトークンの分配(ディストリビューション)およびセキュリティトークンの取引、仮想通貨契約取引の反対売買などがある。
ディラーとして運営する場合、CSAとIIROCに登録していなければ、レバレッジとマージン取引を提供してはならないと規定。また、それぞれの登録免除の目論見書における条項をもとに、ディストリビューションもしくはセキュリティトークンの取引を促進する場合は、マーケットディラーとして登録する必要はないという。
また、イノベーションを促進するために、仮想通貨取引所・ディラーに対しては「暫定的アプローチ」を採用。このアプローチでは、仮想通貨契約を取引するディラープラットフォームが「限定ディラー」として登録することができる。条件は、レバレッジとマージン取引を提供しないことだ。
特に、オンタリオ州やケベック州などの州で運営するディラーは一定の期間内でCSAとIIROCに登録する必要があり、「インベストメントディラー」として登録する準備期間(2年)を付与。登録制のバッファーゾーンに相当するものと見られる。
準備期間内では、企業の透明性に関する報告やアセットの価格ディスカバリー、カストディ、保険、リスク管理などの分野もCSAとIIROCの審査対象となるという。
一方、取引におけるクリアリングとセトルメントのプロセス、及びOTC取引に関しては今回のガイダンスでは規定しておらず、今後規約などの詳細を公開する予定があるとした。