ゲンスラー委員長の見解
米SEC(証券取引委員会)のゲンスラー委員長は投資家保護の観点から仮想通貨を含む様々な新興技術における犯罪等の問題に対して法的措置を取る考えを示した。
FINRA(金融業規制機構)のバーチャルカンファレンスに出席したゲンスラー委員長は、SECおよびFINRAは、マーケットゲーミフィケーション(市場操縦等)・クリプト(仮想通貨)・サイバー(ハッキング等)・フィンテックに関する問題については、提訴を含む法的措置に動く心構えを持つべきだとした。
「バッドアクター(有害な市場参加者)」が労働者たちの貯金を弄べないよう我々はよりアグレシッブかつ一貫したルールを施行しなくてはならない。
どんな時でも投資家を保護できる体制を整え、法律を執行する使命がある。
ーゲンスラー委員長
具体的な「バッドアクター」事例について、私募ファンドによる詐欺行為、会計詐欺、インサイダー取引、市場操作、消費者の利益を優先しない行為など具体例をあげて、対応の必要性を説いた。
委員長が示した方針は、仮想通貨関連だけでなく、金融市場全体を指すものだが、以前のゲームストップ株やDOGEコインの乱高下の事例なども踏まえた上で発表したSECの行動方針となる。
今回はより具体的な内容に言及したゲンスラー委員長だが、拡大する仮想通貨•金融市場を背景に投資家保護の強化を掲げた意見を発信する機会を増やしている。
仮想通貨については先日、ゲンスラー委員長は現在連邦政府レベルでは、仮想通貨取引所を監督する統一的な体制が整っていないと指摘。「投機性を理解した上で投資したい人々がいる限りは、さらなる投資家保護が必要だ」などと発言した。
また、今月開催された議会の公聴会では、「賛同が得られれば議会と協力して、仮想通貨投資家を保護するための統一的な制度を導入したい」と規制強化の意欲を示している。
当時、著名人によるSNS発言が仮想通貨・株式市場に多大な影響を及ぼしている現象にも触れて、米国憲法で約束された「表現の自由」を損なわない範囲と前置きを述べた上で、SNSなどの新しい技術を用いて有識者などが人々に誤解を抱かせたり、市場操作したりできないように現行のルールを更新する必要があると明言した。
ゲンスラー氏は4月よりSECの委員長に正式に就任したが、明文化された規制の方針は未だ発表しておらず、今後どのようにSECの舵を取るか注目されている。