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世界経済フォーラムと米ペンシルバニア大、共同レポートでDeFiの利点と課題を解説

画像はShutterstockのライセンス許諾により使用

WEFと米ウォートン校、DeFiレポート公開

米名門校ペンシルベニア大学ウォートン校のブロックチェーン・プロジェクトと世界経済フォーラム(WEF)は、DeFi(分散型金融)に関するレポートを公開した。レポート内で、DeFiに関する大まかな仕組みや関連サービスを解説したほか、政策立案者向けにDeFi・ツールキットも公開予定であることが示唆された。

レポートを発行したのは米アイビーリーグ大学の一校であるペンシルベニア大学ウォートン校の「Wharton Blockchain and Digital Asset Project」。ウォートン校は米国でも屈指のビジネス校で、同プロジェクトでは分散型台帳技術(DLT)をビジネスと規制の観点から分析した。

国際機関の世界経済フォーラム(WEF)もレポート発行で連携しており、近々政策立案者向けに「Decentralized Finance Policy-Maker Toolkit」公開予定であることも示唆。過去には中銀デジタル通貨(CBDC)に関して同様のポリシーメイカー向けのツールキットを発表した経緯がある。

また1月に開催されたダボス会議でも暗号資産(仮想通貨)やブロックチェーン技術は議題として挙げられた。

DeFiとは

レポートでは、DeFiがステーブルコインや取引所、レンディングなど分散型で、パーミッションレスなサービスや事業関係を含む総称であると紹介。ブロックチェーン同様、支持者や批判層を抱え、金融包括や透明性の向上などの利点がある反面、まだ初期段階にあることからリスクとリターンが混在するため、業界や政府関係者は十分や情報とニュアンスのある理解が必要だと呼び掛けた。

レポートではDeFiについて、ブロックチェーン技術やスマートコントラクトを活用し、オープンかつトラストレスな形によって、仲介者を要さない手法でプログラム可能な金融サービスであると説明。さらに大半が何らかのインセンティブ設計を有し、プラットフォーム上の流動性や堅牢性を保っているとした。

また、DeFiには2008年の金融危機以降、懸念が高まってきた既存の金融システムに効率化をもたらすポテンシャルがあると評価。21年1月でも投資アプリ「ロビンフッド」上でゲームストップのショートスクイズ騒動の際、一時投資家の取引が制限されるなど、これまでの金融インフラの脆弱性を補う可能性があるとした。

しかし金融市場の効率化や透明性の向上、金融包摂につながる利点を可能にする一方、度重なる不正手法や攻撃、など課題も多く残っており、規制当局がDeFiのもたらす機会とリスク、そして課題を深く理解することが重要であると強調した。

DeFiサービスの種類

DeFiという総称には、様々なサービスが含まれるものの、代表的な例として以下を取り上げた。

  • ステーブルコイン
  • 取引所
  • クレジット(レンディング等)
  • デリバティブ
  • 保険
  • 資産運用

ステーブルコイン

ステーブルコインはDeFiサービスで多く利用されると説明。仮想通貨の流動性に左右されないデジタル資産として重宝されていると述べ、主に以下の3種類に分けられると解説した。

  1. カストディアン型
  2. 資産裏付け型
  3. アルゴリズム型

カストディアン型のステーブルコインはUSDCやフェイスブックのDiemのように、法定通貨や流動性の高い資産をリザーブとする中央集権型のステーブルコイン。カストディアンへの信頼性が必要とされるため、厳密には分散型の性質は持っていないものの、DeFiサービスで用いられることが多い。

資産裏付け型はスマートコントラクトを用いて、流動性の有る担保を仮想通貨にする手法。アルゴリズム型のステーブルコインは価格の変動に応じてトークン供給量を増減することで価値の一定を保とうとするステーブルコインで、後者2種はカストディを要さず、分散型でトラストは最低限しか要されないため、ステーブルコインそのものがDeFiサービスとなっている。

取引所

またDeFiでは取引所も提供可能となっている。 従来の株式取引所のナスダックやコインベースのような中央集権型の取引所では、DeFi領域で活用される仮想通貨の取引を提供することは可能であるものの、このような取引所はカストディ型でプログラムされていないと解説。

対照的に、分散型取引所(DEX)はスマートコントラクトやAMM(自動マーケットメイカー)を活用するほか、仮想通貨をロックアップすることで利回りを受け取ることができると説明した。ロックアップされた仮想通貨は取引所の流動性担保や、セキュリティの保証に用いられる。

ただ、レポートではDEXではセキュリティや反応時間、スケーラビリティ、手数料など課題も多く残っている現状もあると説明している。

クレジット

他にもDeFiサービスの代表例としてはレンディングや借用などのクレジットサービスがあると紹介。一般的には仮想通貨を担保することで、資産を受け取ることができ、スマートコントラクト上でローンが確保できるため、従来のローンで必要な 査定などの手順を省略化できると説明した。

デリバティブ

また、レポートは従来の伝統金融では証券保管振替機構などの第3者仲介機関を必要とするデリバティブ取引も、DeFiプラットフォームでは、株式やコモディティ、仮想通貨の価格をベースに新たな市場を容易に開拓できると説明。

デリバティブに限らず、DeFiでは、インセンティブプールを担保に売り手と買い手を直接つなげることができる点が特徴的だと解説した。

さらにレポートはDeFiプラットフォーム上における万が一の資産流出の際、資産の保証を提供する保険や、プールなどに仮想通貨を預け入れる資産運用などの機能を紹介。他にも様々なサービスが続々と頭角を現していることから、現在もDeFiプロトコルの事業形態は発展中だと述べた。

期待や課題も両方存在するDeFiという新領域において、規制当局を初め、個人投資家やトレーダー、そして機関投資家はニュアンスのある理解が必要であると言及。開発者も日々脆弱性の修正を目指したり、新たな仕組みが導入されるなど、現在も発展を続けるDeFi。最終的にはオープンな金融プラットフォーム上でも、高い信頼性を保てるかが鍵を握ると考察した。

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