DeFi領域に注目
オランダに本拠を置く大手金融グループ「ING」のブロックチェーン事業を統括するMariana Gomez de la Villa氏は、分散型金融(DeFi)の魅力を「新たな資産クラスを創造するために、イノベーションを呼び込む機会」と表現し、その仕組みに注目していると述べた。
同グループは、DeFi領域から学ぶことが多いと公言しており、先月、DeFiの特性を分析した「分散型金融の教訓」(”Lessons Learned from Decentralised Finance”)と題した論文を発表している。
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DeFiの特性
de la Villa氏は、DeFiには中央集権型銀行の課題解決にも役立つ特性があると指摘。規制のない環境で、新しいビジネスモデルを作り出し、イノベーションを引き起こすことができた事実は、INGが注視している点だと述べた。
具体的には、「各要素の組み立てが可能なこと(composability、構成可能性)」を、DeFiにおけるイノベーションの触媒として取り上げ、どのようにモジュール式の要素を導入するかなど、DeFiから、より柔軟なインフラ構築の方法を学ぶ事ができると同氏は主張した。
相互学習の機会
前出の論文では、ケーススタディとして、スマートコントラクトを活用した分散型レンディング・プラットフォーム「Aave」を取り上げている。
de la Villa氏は、Aaveとの交流を通して、サービスの種類やセキュリティ面のアプローチなど、INGが学ぶことも多かった反面、Aave側も、INGの長年の経験から学んだ点として、企業としてのシステム構築の設計思想(エンタープライズ・アーキテクチャ)とその導入方法、また不正の防止方法などがあったと指摘。DeFiとCeFi(中央集権的金融)はお互いの経験から学び合い、両者ともにシステムを強化することが可能だとした。
DeFiと資産クラス
DeFiの革新技術を取り入れた金融分野の一つが、Aaveのような融資サービスだが、INGは、現在「DeFi空間を観察している」段階にあり、具体的に担保となる資産クラス(不動産など)の選択などについて、コメントするには時期尚早だとde la Villa氏は述べている。
一方、具体例はあげなかったものの、INGのような機関が「大きな役割を果たすことのできる資産クラスについては、多くの革新がみられるだろう」と同氏は主張。これまで多くの消費者にとってアクセス不可能だった資産クラスに、アクセスできるようになることも考えられると、DeFiの今後の展開に期待を寄せた。
仮想通貨分野に注力するING
INGは暗号資産(仮想通貨)分野に積極的に関わってきた金融機関の一つで、機関投資家向けのカストディソリューションの提供や、デジタル資産のマネロン防止対策などにおいて、主導的な役割を果たしてきた。
英ロンドンに拠点を置く、デジタル資産の普及推進を目指す業界団体、グローバル・デジタル・ファイナンス(GDF)の諮問委員会のメンバーでもある。なお、同諮問委員会には、米取引所最大手のコインベースをはじめ、イーサリアム(ETH)開発企業ConsenSys、大手コンサルタント企業EYなども名を連ねている。
今月、新たに最高技術責任者 (CTO)を任命を発表し、一層デジタル領域への進出を強化する構えをみせている。
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