ビットコイン相場と金融マーケット
16日の暗号資産(仮想通貨)市場。ビットコイン価格は、前日比-0.44%の442万円(40,080ドル)で揉み合っている。
17日午前3時にはFOMC(米連邦公開市場委員会)の発表を控えており、量的緩和縮小(テーパリング)に関する予備的な議論開始、及び米国債長期金利の再上昇シナリオも取り沙汰されることから、様子見基調となりやすいか。
もっとも、市場予想を下回った4月の雇用統計の結果などを受け、有識者らに本命視されているのは7月〜8月以降のFOMC、あるいは8月26~28日に開催予定の「ジャクソンホール会議(経済政策シンポジウム)」とされており、当面は警戒感が燻ることになりそうだ。
仮想通貨市場のセンチメントは改善傾向にあるものの、レジスタンスラインの重なる42,000〜43,000ドル付近では売り圧力が強まることが想定される。200日移動平均線も42,715ドルで推移しており、これを上抜けるには新たな”燃料”が必要との指摘も少なくない。いずれにせよ、強気トレンド再開のためには、43,000ドルを超えることは前提条件と言えるだろう。
ラウル・パルが資産配分に言及
元ゴールドマン・サックスのエグゼクティブであり、RealVisionのCEOであるRaoulPal氏は、CryptoInsightUKのインタビューで、時代の潮流に合わせて最適化したという「ポートフォリオ(資産配分)」について言及。メタバーストークンとソーシャルトークン、コミュニティトークンに関心を向けているとした。
メタバースとは、インターネット、拡張現実(仮想空間)、その他の共有エコシステムによって作成された仮想の共有スペースとして大まかに定義されるもので、非代替トークン(NFT)、仮想土地区画、その他のデジタルコレクションが含まれることから、市場規模の膨らむNFT市場との親和性も高い。
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パル氏率いるRealVisionは、週末に更新されたポートフォリオを発表した。
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新たに3.66%を割り当てたチリーズは、21年2月にサッカーの名門FCバルセロナやACミランと提携したほか、NFTマーケットプレイス事業においてコインチェックと連携。コインチェックはプレスリリースで、チリーズが提供する暗号資産(CHZ)やNFTを用いたファンコミュニティ形成のためのプラットフォーム「Socios.com」で利用できるNFTをコインチェックNFTで取り扱うことを検討するとしている。
CMC時価総額61位のチリーズ(CHZ)は、米最大手取引所コインベース・プロへの上場が材料視され、一時前日比+18%上昇した。
Inbound transfers for CHZ, KEEP & SHIB are now available in the regions where trading is supported. Traders cannot place orders and no orders will be filled. Trading will begin on or after 9AM PT on Thurs 6/17, if liquidity conditions are met. https://t.co/r2L6N477Uj
— Coinbase Pro (@CoinbasePro) June 15, 2021
イーサリアムのガス代を考察
2020年以降の分散型金融(DeFi)市場発展とともに、イーサリアムネットワークでは、トランザクション処理の遅延やガス代高騰が大きな問題となってきた。企業の提供するdApps(分散型アプリケーション)やNFTを使ったブロックチェーンゲームなどのサービス利用者が、数倍に高額化したネットワーク手数料ではまともにサービスを使えなくなるからだ。
The Blockの提供するオンチェーン・メトリクスデータによれば、イーサリアムブロックチェーンのトランザクション手数料を示す「ガス(Gas)料金」の7日間移動平均は、ピーク時の45ドル(約5,000円)近くから4.5ドルまで低下。過去1か月で90%近く下落した。
The Blockのレポートはこの点について、主に3つの理由を指摘した。
最も大きな理由は、高騰局面で跳ね上がっていた、分散型金融(DeFi)と非代替トークン(NFT)におけるETHのトランザクションが、仮想通貨市場の暴落により大幅減少したことだ。
イーサリアムネットワークにおけるガス価格の決定には、これまでオークション形式で、より手数料の高いトランザクションを優先させる形式が用いられてきたため、特に投機性の高いDeFi市場やNFTのオークション(入札)では、「ガス代を引き上げてでも、一刻も早く自己トランザクションを通したい」という強い競争原理が働き、ガス代高騰要因につながるジレンマに悩まされてきた。
2つ目の理由は、イーサリアムネットワークの代替として、「ポリゴン(Matic Network)」などレイヤー2スケーリングソリューションの使用率急増の影響が挙げられる。polygonscanのデータによれば、1日あたりのトランザクション数は約750万に達し、前月比30倍近くの大幅増を記録した。
3つ目の理由は、Flashbotsトランザクションの使用増加である。
「Flashbotsを使用すると、プライベートチャネルのようにオフチェーンのイーサリアムマイナーと通信してトランザクションを実行することが出来るため、チェーン上のスパムトランザクション数が減り、ガス料金が下がる」と指摘。今後「Optimistic Rollups」などより多くのスケーリングソリューションが稼働するため、ガス代は低く抑えられるのではないかと総括している。
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なお、イーサリアムのコア開発者は、ガスシステムについての改善案「EIP1559」の実装を決定しており、7月頃に予定される「ロンドン」アップグレードで導入される見込みだ。
イーサリアムのトランザクションについて、これまでのようにオークション形式ではなく、ネットワーク全体で標準化された手数料がアルゴリズムで設定されることになる。手数料の一部がバーン(焼却)されるためマイナー報酬が減少することになるが、イーサリアムの供給量が減ることで、希少価値に寄与することになると考えられる。