仮想通貨に関する捜査を強化か
米財務省の金融犯罪取締ネットワーク(FinCEN)は、暗号資産(仮想通貨)について助言を行う「チーフ・デジタル通貨アドバイザー」という職位を創設した。最初にこの職務に選ばれたのは、米司法省でもデジタル通貨分野の顧問を務めていたMichele Korver氏である。
公式発表によると、Korver氏はFinCENで内外のパートナーと協力しながら、違法な金融活動や資金調達を抑止するための革新的なソリューションの開発を主導。また、それにより、FinCENの仮想通貨分野におけるリーダーシップを高めていくことになるという。
デジタル資産を専門とするアドバイザーという職位を今回創設したことからも、FinCENが仮想通貨に関連する捜査を強化する姿勢が窺える。
FinCENのMichael Mosier局長代理は次のようにコメントした。
Korver氏は、デジタル通貨についての豊かな専門知識をFinCENにもたらし、FinCENが不正金融のリスクを最小限に抑えながら、金融分野の拡大による革新的な可能性を支えていく上でリーダーとなる。
初代チーフ・アドバイザーの経歴
Korver氏はこれまでに、米司法省刑事部門のデジタル通貨担当顧問、米財務省金融安定監視委員会(FSOC)の顧問、国際的な金融規制機関である金融活動作業部会(FATF)の米国代表など、様々な政府部門で活躍してきた。
司法省では、仮想通貨関連の裁判における起訴戦略を支援するために、政府の弁護士に助言していた。またFSOCでは、仮想通貨の差し押さえに関する政策や法律を策定している。
それ以前は、コロラド州の連邦検事局で、国際的な犯罪組織によるものも含め、マネーロンダリングやダークネットでの麻薬密売の捜査・起訴を行っていた。
局長代理はChainalysisでの職歴も
FinCENは、4月に前局長が退任し、Mosier氏が局長代理を務めているところだ。Mosier氏は、政府機関の他、大手ブロックチェーン分析企業ChainalysisでCTC(最高技術顧問)を務めていた経歴もある人物。
Mosier氏が局長代理に就任したことも、FinCENが仮想通貨の規制や監督に注力する動きとみなされている。
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6月30日付けでFinCENは、反マネロン・テロ資金調達対策(AML/CFT)における優先事項の更新を発表した。「サイバー犯罪」も、最優先事項の一つに挙げられており、これに関して「サイバーセキュリティや仮想通貨についての考慮」を行うことにも言及されている。