欧州中央銀行総裁、仮想通貨とデジタルユーロで見解

ECB総裁の見解

クリスティーヌ・ラガルド欧州中央銀行(ECB)総裁は、米タイム誌のインタビューで、暗号資産(仮想通貨)とデジタル・ユーロの今後に関する考えを明らかにした。

このインタビューは「世界の著名人百人の対話」シリーズの一環で、世界経済フォーラムのクラウス・シュワブ会長がラガルド氏に「分散型デジタル通貨(仮想通貨)は金融の安定に寄与するのか、それとも脅威なのか」と質問。ラガルド氏は、適切に仮想通貨を定義することが重要だと述べた上で、「すべての仮想通貨は通貨ではない。投機的な資産である。」と回答。さらに「通貨のように見せかけているが、実際はそうではない」と指摘し、金融業界と規制当局関係者全てがありのままの事実を述べるべきだと主張した。

また、ラガルド氏は「大手テクノロジー企業が発明した」ステーブルコインも同様に、「コインのふりをしている」が、実際の通貨と紐づけられており、価値はドルと一致しているものだと言及。一方、「最近の流れを振り返ると、準備通貨は常に利用できるわけではなく、意図された通りの流動性もなかった」と述べ、ステーブルコインの担保となる資産が、適切に検査、監視、規制される必要性を訴えた。

欧州中央銀行(ECB)とは

ユーロ通貨圏19か国の統一的な金融政策を担う中央銀行。1998年に設立され、本部はドイツのフランクフルトに置かれている。

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デジタル・ユーロについて

ラガルド氏は、中国人民銀行が過去7年間にわたりデジタル人民元の実験を行なってきたことに触れ、ECBは今後2年間の実験を経て、ユーロ圏における中央銀行発行のデジタル通貨「デジタル・ユーロ」を導入するかどうか、最終的な決定を下すと述べた。

ECBは7月、9ヶ月に及んだ調査と議論の第一段階を踏まえ、デジタル・ユーロのより具体的な設計を検討する、次の調査段階へとプロジェクトを移行させると発表した。今年10月から始動するという。

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ラガルド氏は、消費者が紙幣や現金ではなく、デジタル通貨を望むのであれば、その要望に答えるために、ECBが準備を整え、デジタル・ユーロの導入を支える技術が利用可能な状態にしておくべきだと強調。デジタル・ユーロが満たすべき要件を以下のように列挙した。

  • 欧州基盤のソリューション
  • 合理的な条件の決済手段として利用可能
  • 利用しやすいこと
  • 安価なコスト
  • 安全で堅牢なシステム
  • 現在の銀行システムに脅威をもたらさないこと
  • ユーロ圏以外の世界中でも受け入れられること

2年かけて、デジタル・ユーロが実際の需要に応えられるかを確認した上で、導入の決定を行うという。なお、現金については発行を維持すると同氏は明言した。この点では、デジタル・ユーロは「現金を補完するもので、現金に取って代わるものではない」と述べたECBのファビオ・パネッタ(Fabio Panetta)理事の立場を踏襲している。

民間との協力

デジタル決済が急速に進化する中、ECBは欧州全域における決済サービスを可能にする、新たな小売決済戦略を打ち出した。欧州決済イニシアチブは、即時決済を含むデジタル決済の市場ソリューションを開発しているが、その中には、現金の引き出し、実店舗やオンラインの決済、個人間の支払いにも利用できる支払いカードやデジタルウォレットが含まれるという。

このような動きと並行して、デジタル・ユーロは民間の決済企業と連携し、汎欧州的なソリューションや消費者への付加的サービスの提供を促進するように設計されると、ECBは説明している。

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