ETH:初めてバーン量が採掘量を超過
暗号資産(仮想通貨)イーサリアム(ETH)は、24時間でETHのバーン量が初めて発行量を上回った。デフレ資産性が高まる一つの進展となった。
ultrasound.moneyの観測データによると、過去24時間のETHバーン量は14,296ETHで、同期間の発行量(採掘量)は12,956ETH(6,478ブロックx2ETH)だった。日本円にすると、一日でネットワークから排除されたイーサリアムは約62億円に相当する。(執筆時の基準)
また、最もバーン(焼却)が発生した経済活動は、NFTマーケットプレイスOpenSeaで、1,959ETH(約8.4億円)だった。
直近、NFTの取引市場が再び活気を見せており、代表的なNFT市場であるOpenSeaでは、過去24時間で『Loot』という新規NFTプロジェクトが一位の出来高を記録し、11,927ETH(約51億円)にも達している。このような出来高は、取引所の現物出来高のグローバルランキングで10位内に入る水準にもなる。
ETHのバーンとEIP-1559
イーサリアムのバーン機能が実装されたのは8月5日で、大型アップグレード「ロンドン(London)」における手数料モデル変更の改善案EIP-1559に盛り込まれた。
バーンとは
仮想通貨のバーンは、株式の「自社株買い」に近い供給量を減らす仕組み。自社株買いをする企業は、発行している株式を自分たちのお金で買い戻す。買い戻されると市場に流通する株数が減少することで一株あたりの価値が向上し、株主に対してプラスの影響を与える。バーンをすることで、需要と供給の影響で、流通するETHの一枚あたりの価値が高まることになる。
▶️仮想通貨用語集
EIP-1559が実装されたことによって、従来のイーサリアム手数料は、「ベース・フィー(基本手数料)」+「チップ(プライオリティフィー)」となり、基本手数料がバーンの対象に、プライオリティフィーがマイナーの収益の一部となる。
イーサリアムの考案者であるヴィタリック・ブテリン氏はEIP-1559のメリットについて、マイナーが意図的にガス代を釣り上げることが困難になることに伴い、①想定以上の手数料高騰の抑制や、②手数料バーンに伴うデフレ資産性へ近づく点があると挙げている。
しかし、基本手数料はネットワークの混雑状況に応じてアルゴリズムで決定されるため、特にNFTブームなどネットワークの需要自体が高まる状況下では、依然として高水準の手数料基準まで高騰する傾向が確認されている。
イーサリアムはビットコイン(BTC)と異なり、発行総数(キャップ)があらかじて定められていないため、これまではインフレ資産としての側面が強かったが、基本手数料バーンの規模が拡大し、今回のように発行量を超過する事例がでることで、将来デフレ資産性への注目度も高まる可能性も出てきた格好だ。