金融機関の仮想通貨参入を容易に
シンガポールの決済ソリューション企業Niumは25日、金融機関が暗号資産(仮想通貨)を扱えるようになる一連のサービス「Crypto-as-a-Service(CaaS)」を提供開始すると発表した。
金融機関は、NiumのAPIを統合することで、ユーザーに仮想通貨投資を提供できるようになるという。このサービスは、2021年に米国でスタートし5つの仮想通貨に対応、さらに2022年には、35カ国で20銘柄の通貨に対応する予定だ。
APIとは
「Application Programming Interface」の略で、アプリやソフトウェア同士をつなぐ役割を果たすもの。APIを提供することで、第三者が開発したアプリやソフトウェアが機能を共有できるようになる。
▶️仮想通貨用語集
Niumは、「仮想通貨市場の時価総額は合計で2兆ドル(約230兆円)以上に達しており」、世界で経済規模の大きな国のGDPにも匹敵するとして、高い需要を指摘している。
様々な仮想通貨サービスを可能に
顧客となる金融機関は、そのプラットフォームにNiumのAPIを適用するだけで、仮想通貨の購入、販売、保持の機能を組み込むことも可能。さらに、こうした機能については、NiumがKYC(顧客身元確認)、規制などコンプライアンス面の監視、仲介機能、カストディなど様々な処理をサポートするという。
最初は、ビットコイン(BTC)、イーサリアム(ETH)、ライトコイン(LTC)など5銘柄を扱い、米ドルに紐付けされるステーブルコイン「Pax Dollar(USDP)」もサポート。エンドユーザーはステーブルコインと他の仮想通貨をスムーズに交換することができる。
将来的には、ステーブルコインのウォレットや仮想通貨決済の受け入れなど、新たなサービスの追加も計画されているという。
NiumのPrajit Nanu CEOは、次のように語った。
様々な国の顧客は、革新的なフィンテックサービスでそのサービスを差別化する方法を求めている。
当社の金融ソリューションは、あらゆる企業のイノベーションへの道を加速するものだ。Niumは、APIを土台として、これまでに決済やカード発行などを可能にする金融テクノロジーを提供してきた。今回は仮想通貨機能を可能にする。
ユニコーン企業Nium
Niumは7月、Riverwood Capitalを中心とする投資家が参加する資金調達ラウンドにより、2億ドル(約230億円)の新たな資金を獲得。ユニコーン企業(評価額が10億ドルを超えるベンチャー企業)となったところだ。
また、今後一年半から二年の間に、米ニューヨークで上場することも視野に入れ、米国での存在感を高めようとしているとも報道されている。
Niumは今回、米国で完全な「Banking-as-a-Service(BaaS)」ソリューションを展開することも発表。BaaSは一般的に、従来は銀行などの金融機関が提供してきたサービスを、APIにより様々な企業が提供することを可能にするものだ。
Niumは、100以上の法定通貨による190カ国への支払いをサポート。また、東南アジア、英国、香港、シンガポール、オーストラリア、インド、米国など27の市場で資金受け取りを可能にしている。カード発行事業も、欧州、英国、オーストラリア、シンガポールなど33カ国で提供中だ。