年金基金の仮想通貨投資を禁止
南アフリカの財務大臣は先日、政府広報の中で、同国の年金基金がビットコイン(BTC)など暗号資産(仮想通貨)へ投資することを禁じる法改正を提案している。
年金基金は「その他の資産」というカテゴリーに資産の2.5%までを投資可能で、これまで特に明記はされていなかったものの、仮想通貨に投資することも可能だと解釈されていた。
しかし今回、Enoch Godongwana財務大臣は、仮想通貨を明確に排除するように文言を修正することを提案。
政府公報に掲載された新規則案ては、「その他の資産」に関して「年金基金は、直接または間接的に仮想通貨に投資してはならない」という一文が加えられた形だ。
仮想通貨については、以下のように定義している。
仮想通貨とは、中央銀行が発行していないが、個人・法人が支払いや投資などの目的で電子的に取引、移転、保管することができるデジタル価値表現で、暗号化技術を用いて分散型台帳技術を使用しているものをいう。
この定義に関しては、NFT(非代替性トークン)などデジタル資産全般を含めることを狙いとしているのではないかとの見方もされている。
関連:大企業の関心集める「NFT」の魅力とは|主な特徴と将来性を解説
財務大臣は、修正案に対するパブリックコメント受付期限を11月12日としており、年内にこの変更を施行することも可能にした。
今回修正が提案されているのは、年金基金法に基づいてファンドの投資方法を規定している規則28だ。この規則は、「年金加入者の貯蓄に対する過度のリスクを軽減する目的で、退職基金が特定の資産に投資できる範囲を制限すること」を目的とするものである。
なお、他の国では、すでに仮想通貨に投資する年金基金が存在。例として米テキサス州の消防士年金基金、米バージニア州の年金基金などが挙げられる。
関連:米テキサスの消防士年金基金、ビットコインとイーサリアムに28億円投資
年金基金とは
雇用主と従業員から集められた資金を運用する退職年金プラン。例えば米国には企業や政府(州やローカル)が提供する年金基金があり、現在、カリフォルニア州職員退職年金基金は米国最大規模の公的年金基金だ。
▶️仮想通貨用語集
規制の整備に本腰
今、南アフリカ政府は仮想通貨規制を整えようとしているところだ。
Ronald Lamola法務大臣は6月、省庁間のワーキンググループが「仮想通貨の動向を注意深く監視する」ことを計画していると発表した。さらに、銀行規制当局である、同国の「健全性機構」も7月に、仮想通貨の規制枠組みを整えていく姿勢だと述べた。
こうした動きの一環としては、南アフリカの税務当局が7月、同国トレーダーのアービトラージ取引(裁定取引)を制限しようとしたものがある。
Moneywebの報道によると、南アフリカの仮想通貨トレーダーの一部は、国内外の取引所における仮想通貨の価格差から利益を得るアービトラージ戦略を取っている。
このためには、トレーダーは外国投資に関する承認を当局から得なければならない。これまでは一回申請すれば簡単に更新できたが、税務当局は、注文のたびに新たな申請が必要となるようにシステムを変更した。これにより、アービトラージ取引を毎日行うことは実質的に不可能になったという。