2024年までのPoS移行を目指す
暗号資産(仮想通貨)Zcash(ZEC)の開発を行うElectric Coin Company(ECC)は19日、2024年までのロードマップを発表。公式ウォレットをリリースし、PoS(プルーフオブステーク)に移行する計画であると明かした。
発表によると、ロードマップで特に重要な項目は、以下の3つである。
- ECC公式ウォレット
- プルーフオブステークへの移行
- 相互運用性
Zcashとは
ゼロ知識証明という技術を用いて、「送信者、受信者、取引量」を非公開にしたまま、トランザクションの整合性を保つことを可能にする。その高い秘匿性から、匿名通貨とも呼ばれている。
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ECCは、まず2022年に公式ウォレット「ECCウォレット」を立ち上げることを目指す。ウォレットにより、Zcashのユーザーに新機能を迅速に展開することや、プロトコルに対応した新機能をテストすることが可能になるという。
ウォレットのコードをオープンソースにし、ECC以外の開発者のために、ソフトウェア開発キット(SDK)をリリースすることも予定している。
PoS移行のメリット
PoS(プルーフオブステーク)への移行については、時間と労力を集中させ、新たな人材を雇えば「3年以内に達成可能」とした。ロードマップの中では、2023年より移行を開始すると書き込まれている。
PoSへ移行することのメリットは、炭素排出量の削減、オンチェーン・ガバナンス・メカニズムを可能にすることなど様々なものがあるという。
ECCは、特に価格低下圧力を軽減できると期待。Zcashは現在、PoW(プルーフオブワーク)メカニズムを採用しているが、これは電力を多く消費するものだ。このため、ほとんどのZcashマイナーは、マイニングに費やした高額な電気代を支払うために、Zcashをすぐに売却している現状があった。PoSに切り替われば、こうした清算の必要性はなくなる。
さらに、相互運用性についてはコスモス(ATOM)などのプラットフォームを活用することも視野に入れているとした。
PoSを支えるために、コスモスなど、ブロックチェーン同士の相互運用性を可能とするプラットフォームを使用することで、そのプラットフォームに参加している他の開発者や組織が、Zcash関連のシステムを新たに構築することも容易になるとの考えだ。
ラップドトークンなどについて
ECCは、今回Zcashを使用したラップドトークン作成や、プログマビリティ(柔軟にプログラムできること)などについてはロードマップから除外したが、こうしたことについては、ECC以外のコミュニティメンバーが進めてくれることを期待するとした。ECCは、まず3つの優先事項に集中する姿勢である。
プログマビリティについては、イーサリアム(ETH)や、ソラナ(SOL)など他のスマートコントラクトプラットフォームと、相互運用性のあるブリッジを構築することがよい方策ではないかともコメントしている。
ラップドトークンとは
他の仮想通貨の価値と紐付けられた仮想通貨のこと。預けられたオリジナル資産を裏付けとしたトークンを作成することで、実質的に様々なブロックチェーンでそのトークンを活用できるようになる。一例としては、ビットコインをイーサリアム上で使えるようにしたラップドBTC(wBTC)が挙げられる。
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