英法律委員会、スマートコントラクトの法的取扱いを説明

柔軟なコモン・ローの体系

英国における法体系の一つであるイングランドとウェールズ(以下、E&Wと表記)の法律委員会(The Law Commission)は25日、同地域における現行法は、スマートコントラクトへの適用に十分対応できると発表した。

「法典編纂委員会」とも訳される法律委員会は、法の改革を推進する目的で、1965年に設立された法定独立機関。時代遅れとなった不必要な法律や変則の廃止、類似した規則の削減などにより、法律の成文化を促進する。また法律の公正性、シンプルさ、現代の様式に見合っているか、また費用対効果等について調査や協議を行い、議会へ提言する役割を担っている。

法律委員会は英国のコモン・ローには柔軟性があるため技術開発にも対応可能と分析。E&W司法区域では、法令の改正なしに「ビジネスとイノベーションのための理想的なプラットフォーム」を提供できるとの判断を示した。

コモン・ローとは

コモン・ローとは一国に「共通する法律」の意味で、英国で生まれた法的概念。裁判所の判断に基づき判例の報告を積み上げた一般的な慣習法の体系として認識されている。

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司法特別委員会の結論

法律委員会はスマートコントラクトの中でも特に、法的拘束力のある契約義務を「スマート・リーガル・コントラクト」と呼び、分析の対象を当該コントラクトに限定している。

今回の同委員会の判断は、2019年に英国の司法特別委員会が発表した「暗号資産とスマート・コントラクトに関する法的声明」で示された結論に基づいているという。同声明では、現在の法的枠組みが、「スマート・リーガル・コントラクトの使用を促進し支援するために、十分な堅牢性と適応性を備えている」と立証していた。

なお法律委員会は、コードの性能に関するリスクなど、スマート・リーガル・コントラクトへの法的取扱いには不確実性もあるため、特定の問題を提示しつつ、その対処の方法について明示的な条項を含めることを当事者に奨励している。

一方、スマート・リーガル・コントラクトが普及するにつれて、市場では交渉や作成プロセスを簡略化する慣例やモデルが開発されるだろうと、同委員会は予想。市場には多くのチャンスがあると指摘した。

スマート・リーガル・コントラクトの特徴

法律委員会はスマート・リーガル・コントラクトの特徴を以下のようにまとめている。

  1. 契約上の義務の一部または全てがコンピュータプログラムによって自動的に実行されること(「自動性」)
  2. 契約が法的に執行可能であること

ユースケース

スマート・リーガル・コントラクトのユースケースとして法律委員会は、以下のような例を取り上げた。

  • DeFiの促進
  • サービス契約の監視
  • 不動産取引
  • 保険
  • 航空機への燃料補給
  • サプライチェーンの管理

英国政府も期待

英法務省のDavid Wolfson政務次官は法律委員会の調査報告に対し、政府はスマート・リーガル・コントラクトを含む新たな技術がもたらす変革の可能性について期待していると述べた。

我々は、世界をリードする法的サービス部門を望んでいるが、それが意味するところは、英国法が未来のテクノロジーに対応できるようにすることだ。法律委員会の調査結果は、スマート・リーガル・コントラクトを利用を望む人々にとって重要な法的確実性を提供するものだ。

今後の課題

同時に法律委員会は、既存の法律をスマート・リーガル・コントラクトに適用する際の課題も提示した。

更なる作業が必要な分野として、紛争が起きた場合、適用される主な法律やどこで裁定が下されるべきかという問題を特定。デジタル世界と現実の場所を呼応させ対応する難しさを指摘した。

そのため、政府と同委員会は、スマート・リーガル・コントラクトとデジタル資産を含む新興技術に適用される法の抵触に関して規則や改革の必要性を検討することで合意に達したという。

法律委員会はこのプロジェクトを2022年半ばにも開始したいとしている。

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