北京にデジタル資産取引所の開設を検討
中国の国務院は、首都北京に、デジタル資産取引所を開設することを検討している。ブルームバーグなどが報道した。
首都での金融サービスを強化する計画の一環であり、中国の中央銀行デジタル通貨(CBDC)である、デジタル人民元(e-CNY)の利用を促進する役割も担うという。
国務院は、計画中のデジタル資産取引所の詳細については発表していない。内閣は、デジタル人民元をより迅速にテストするため、大手銀行にデジタル人民元の運用体制を構築するようにも促しているところだ。
デジタル人民元(e-CNY)とは
中国の中央銀行である中国人民銀行(PBoC)が開発を進めるCBDCのこと。日本や欧米と比較して、中国はCBDCの開発が先行している。デジタル人民元の大きな利点の1つは、決済と外貨為替への変換がリアルタイムで同時に完了することだとされている。
▶️仮想通貨用語集
仮想通貨への取り締まりはさらに強化
デジタル資産取引所の詳細は明かされなかったが、中国が取り締まりを強化していることを考えると、ビットコイン(BTC)など民間の暗号資産(仮想通貨)が扱われる可能性は低い。
Wu Blockchainによると、デジタル資産は「著作権、データなど」を指すもので、仮想通貨とは全く関係ないという。
Beijing announced that it will establish a digital asset exchange, but it should refer to copyright, data, etc., and has nothing to do with cryptocurrency. https://t.co/kx2S1rS5e3
— Wu Blockchain (@WuBlockchain) November 26, 2021
中国は、CBDCを推進する一方で仮想通貨の禁止措置を取っている。今年5月より仮想通貨マイニングファームが次々と閉鎖に追い込まれ、9月にはさらに、最高裁判所や警察など9つの国家機関と中国人民銀行が共同声明を出し、仮想通貨取引およびマイニングを全面的に禁止すると発表した。
また、先月、中国の司法当局が仮想通貨関連活動を有罪とするための法的解釈を探っていると報道されている。DeFi(分散型金融)ビジネスについても取り締まり対象となる可能性が浮上している模様だ。
関連:中国、仮想通貨関連活動が有罪となる可能性 当局が司法解釈を準備
デジタル人民元にも不正リスク
当局は仮想通貨について、マネーロンダリングや不正行為のリスクを指摘していたが、デジタル人民元にもそうしたリスクが付随することが最近の事件で示唆されている。
2日にはデジタル人民元を利用した初のマネロン事件が摘発された。カンボジアとの間でデジタル人民元を利用して資金洗浄を行ったとして11人が逮捕されたものだ。また、17日にも警察になりすまして被害者のデジタル人民元口座を聞きだし、約530万円を詐取した疑いで容疑者が逮捕された。
こうした事件を受けて、中国の当局は、消費者に注意喚起を行っている。
当局は、デジタル人民元のプライバシー保護や偽造防止機能を改善し、今後はこのような事件を防いでいくとの姿勢を示した。
中国人民銀行のYi Gang総裁は9日、フィンランド銀行が開催したイベントに出席した際「今後、我々はより慎重にデジタル人民元の研究開発を進め、その設計と利用を改善していく」と述べている。
不正防止の他には、CBDCについて既存の決済ツールとの相互運用性を高めること、国の金融政策や金融市場に与える影響のテストも開始することに言及した。