南アフリカ共和国、仮想通貨規制を検討
南アフリカ共和国で、暗号資産(仮想通貨)への規制が検討されていることがわかった。ブルームバーグが10日に報じた。背景には南アフリカで増加する暗号資産関連詐欺があるとみられる。
南アフリカの金融セクター管理当局(FCSA)のUnathi Kamlana委員は金曜、ブルームバーグのインタビューに答えた。それによると、増加する詐欺被害や金融セクターにもたらすリスク等に対応するため、当局は2022年初頭にも具体的な規制を明らかにしたい考えだ。
FCSAが潜在的に危険な手口から投資家を保護するために、引き続き暗号資産の監視を強めていくとの考えも示している。
また、インタビューでKamlana委員は、南アフリカ準備銀行の計画するステーブルコインについて「イノベーションに対する最も責任あるアプローチである」と述べており、個人投資家にステーブルコインを待つことをアドバイスしている。
南アフリカではここ数年で2件の大規模な暗号資産詐欺が報告されている。そのうち2021年4月に報道されたAIトレーディング企業を謳うAfricyptoによる詐欺では、その被害額に議論の余地があるものの、一部報道では36億米ドル(約4,000億円)とされる(それよりはるかに少ないとする主張もある)。
当時21歳と17歳だったAfricyptoの創業者兄弟は外部からのハッキングを主張しているものの、盗まれたビットコイン(BTC)はミキシングサービス等により追跡が難しくなっており、議論が紛糾している。
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フラットな規制へ=ワーキンググループ
今年6月に、南アフリカ共和国の政府間フィンテックワーキンググループにある暗号資産規制ワーキンググループから、暗号資産に関するポジションペーパー(意見書)が公開された。ワーキンググループは政府等に対し、25の提案を行っており、これらは政府の規制フレームワーク確立に向けたロードマップを提供するものとされている。
ワーキンググループは、暗号資産の全面的な禁止はイノベーションによって得られる潜在的な利益を締め出す恐れや、アンダーグラウンドでの活動増加の誘発といった点から望ましくないことを挙げ、適切にリスクに対応していくことなどが意見として示された。
規制においては段階的なアプローチを提案しており、提案は大まかに「AML/CFTフレームワークの設置」、「クロスボーダー金融フローに対する監視フレームワーク」、「金融セクター法の適用」の3つに分けている。
このうち、AML/CFTフレームワークについては、既に暗号資産サービス業者を説明責任を果たす機関として法律の下、管理を行う方向で整備が進んでいるという。
クロスボーダーの決済については、南アフリカ準備銀行内の当局が監督すべきだとしたほか、金融セクター法の適用については、暗号資産を金融プロダクトとみなすことで、暗号資産サービス提供者が認可制のものになる見込みだ。