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フィリピン中銀総裁、CBDCに対する新たな取り組みを発表

画像はShutterstockのライセンス許諾により使用

CBDCに対する考えを公開

フィリピンの中央銀行(BSP)総裁のBenjamin Diokno氏は、2月28日に開催された知識交換プログラムKX3にて、CBDC(中央銀行デジタル通貨)に対する新たな取り組み「Project CBDCPh」を発表した。

CBDC(中央銀行デジタル通貨)とは

CBDCとは「Central Bank Digital Currency」の略である。仮想通貨との大きな違いは、CBDCはデジタル上の法定通貨であること。通貨の管理や決済等においてコスト削減や効率性向上が期待できる一方で、個人情報やプライバシーの保護、セキュリティ対策、金融システムへの影響など考慮すべき課題は多い。

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BSPは、2020年にCBDCの専門委員会を立ち上げ、2021年よりCBDCの性質や金融システム全体の影響について調査を開始。国内決済システムの安全性、回復力、効率性を高めることを目的とする、企業や自治体、機関投資家向けのCBDCの活用事例などを特定してきたという。

関連:フィリピン中央銀行、デジタル通貨(CBDC)の専門委員会を設立 実現可能性などの調査を開始

今回発表された「Project CBDCPh」は、これらの次のステップに当たるもので、「CBDCの設計、アーキテクチャ、技術、政策に関する組織と実践的な知識を構築するための試験的なプロジェクト」として位置づけられている。現時点で、具体的なプロジェクト内容は公開されていない。

同氏は、CBDCのメリットとして「決済システムの効率化」や「経済における潜在的な影響の大きさ」、「現金で行っている支援プログラムの効率的な実施」、「国境を越えた送金」などを挙げ、金融包摂の分野で大きく活躍する可能性があることに言及した。

金融包摂とは

金融包摂とは、経済状態や居住地などに関わらず、誰もが必要な金融サービスを利用できるようにすること。

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一方で、金融包摂の障壁を「インフラ、社会経済、文化、行動といった多次元的なもの」として、「横断的かつ十分に調整された政策的介入が必要」だと指摘。フィリピンの法律の場合、BSPが一般市民にCBDCを直接配布することが想定されておらず、法的な問題が想定されるとした。

また、「金融当局や規制当局は、CBDCのリスクを効果的に実施・管理するために、スキルや技術的能力が必要」として、各機関の体制を強化する必要があるとした。

同氏はKX3での発表の最後に、スティーブ・ジョブズ氏の「イノベーションとは、変化を脅威ではなく、チャンスとしてとらえる能力である」という言葉を紹介し、BSPがCBDCに対して慎重に調査を進めていることを評価した。

各国のCBDC動向

CBDCは、そのポテンシャルから、世界各国で調査・検証が進められている。

アメリカでは、米連邦準備制度理事会(FRB)のラエル・ブレイナード理事が「金融の安定化を促進するためにCBDCが果たす役割を検討することなどが大切」と言及。研究と政策の立案が「不可欠」だとしている。

関連:米連銀副議長、CBDCの研究・政策立案は「不可欠」

また日本では、日本銀行の黒田東彦総裁が、衆議院予算委員会において、中央銀行デジタル通貨(CBDC)の発行の可否についての質問に「個人的には2026年までに判断できると思う」と解答。ECB(欧州中央銀行)やFRBの動向に触れ、「引き続き各国の動向を注視するとともに内外の関係者と密接に協力しながら様々な知見を自らの検討に生かしていきたい。」とした。

関連:日銀総裁「デジタル円の発行可否は2026年までに判断可能」

一部の銀行では、既に商業利用・実証実験のフェーズに突入しており、今年1月には、ブロックチェーン推奨で知られるスイスの中央銀行にあたるスイス国立銀行(SNB)が、5つの商業銀行との実証実験委に成功したことを発表している。

関連:スイス中銀、ホールセール型CBDC決済の実証実験に成功、商業銀行5行が参加

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