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日銀総裁「デジタル円の発行可否は2026年までに判断可能」

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日銀総裁が踏み込んだ回答

日本銀行の黒田東彦総裁は28日、同日開催された衆議院予算委員会において、中央銀行デジタル通貨(CBDC)の発行の可否についての質問に「個人的には2026年までに判断できると思う」と回答した。

1月28日に開催された衆議院予算委員会で立憲民主党の中谷一馬議員は、黒田日銀総裁や牧島かれんデジタル大臣にCBDC(中央銀行デジタル通貨)やWeb3.0に関する質問をした。

CBDCについて

中谷議員は、CBDC発行の主なメリットとして「現金に関わるコストの軽減」「決済など金融分野の効率化と安定性の確保」「キャッシュレス化を含む経済社会のデジタル化・イノベーション」の3点を挙げた。

また、米FRBが20日にデジタルドルに関する初の報告書を公表し、パブリックコメントを募集していること、パウエル議長もデジタルドルについて優先度の高いプロジェクトと述べていることを指摘しつつ、こうした世界の潮流についてどのように考えているか黒田日銀総裁に問うた。

黒田日銀総裁:

ECB(欧州中央銀行)では2年間の調査フェーズを開始し、その結果を踏まえてデジタルユーロの発行の是非を判断する方針を明らかにしている。また、日本銀行では昨年1月にCBDCに関する取り組み方針を発表し昨年4月から実証実験を開始した。

ご指摘のFRBの報告書はCBDCの潜在的な利点やリスク、政策上の検討事項を整理したものであるが、今後米国でも様々な経済主体との対話が進められていくと認識している。

もちろんCBDCの具体的な位置づけ、検討の進め方は国や地域によって様々だが、デジタル社会にふさわしい安定的・効率的な決済システム構築を目指している点では同じ。日銀としても引き続き各国の動向を注視するとともに内外の関係者と密接に協力しながら様々な知見を自らの検討に生かしていきたい。

関連:米FRB、中央銀行デジタル通貨についての協議書を発行

続いて、中谷議員はデジタル人民元について、中国が来月開催予定の北京オリンピックに照準を合わせて利用を展開するとみられており、これにより米中関係の緊張が顕著になると指摘。「日本においてもデジタル人民元が持つ潜在的な可能性は、経済安全保障上、非常に大きな脅威となると考える」とし、鈴木財務大臣にデジタル人民元の発行についての見解を尋ねた。

鈴木財務大臣:

CBDCの開発について、中国がリードしていることは承知している。経済安全保障や米ドル基軸通貨体制の安定について考えるのは重要。

デジタル通貨が通貨として広く利用されるには流動性・安全性の観点から通貨としての高い利便性を有する必要性がある。デジタル人民元が経済安全保障や米ドル基軸通貨体制にもたらす影響については中国の資本規制、例えば外資の中国法人が中国本国に送金する場合、上限規制がかかっているなど人民元の利便性に及ぼす影響がどうなっていくのかも考えなくてはならない。

いずれにせよデジタル人民元の動向を注視していきたい。

鈴木財務大臣の答弁に対し、中谷議員は「認識として甘い部分があるのではないか」と述べ、中国が自国の仕様を国際標準とする中期目標(中国標準2035)を掲げていることから、「CBDCの主権、基盤システムの標準化を中国が先行するようになった場合、極めて大きな脅威となる」と警鐘を鳴らした。

こうした状況を踏まえれば、デジタルユーロやデジタルドルなど様々な研究や実証実験が進んでいるなか、欧米と連携して「CBDCの国際標準について主導権を持って進めていく必要がある」と主張し、日本におけるCBDCの戦略についてどのような見解を持っているかと尋ねた。

黒田日銀総裁:

CBDCの検討を進めるにあたり重要なことはそれぞれの中央銀行が自国の決済システムの安定性・効率性を確保、改善すること。そのうえで、CBDCのクロスボーダー決済への活用の可能性を確保することを踏まえ、各国の動きをフォローしつつCBDCに関する情報技術の標準化に取り組む必要がある。

この点、日米欧の7つの主要中央銀行から成る共同研究グループにおいて、CBDCの国際標準の在り方が主要な検討課題の一つに挙げられている。日銀としてはこうした議論に積極的に参画することを通じ、CBDCの国際標準の取り組みが我が国にとっても適切な形で進むよう、特に欧米と共通するような国際標準を確立する必要がある。

鈴木財務大臣:

日米欧で連携して国際的な主導権を取る必要があるとは思っており、G7を中心にこれまでも緊密に連携してきた。昨年10月、G7ではプライバシ―や、国際的な利用に伴う波及効果などCBDCに係る幅広い公共政策上の課題について、G7内外において各国が検討する際の原則を取りまとめて公表した。

引き続き中国を含め各国のCBDCをめぐる動向を注視しつつ、重要なのはG7や国際機関と連携してG7の原則に沿った取り組みを各国に促すことなどについて今後もしっかり対応していきたい。

黒田日銀総裁や鈴木財務大臣は、中谷議員が指摘する「中国のデジタル人民元が国際標準化の主導権を握ることの脅威」については直接言及こそしなかったものの、日本が欧米諸国と連携してCBDCの仕様の標準化を主導してく必要があるとの認識を示している。

また、黒田日銀総裁が、日本ではCBDC(デジタル円)を「現時点で発行する計画はない」との従来の立場を示し、発行の具体的なスケジュールは未定であると答弁。

これに対し、中谷議員が、デジタル人民元は今年リリースされる可能性が高いこと、デジタルユーロが最短で2026年には発行される見込みであることを引き合いに出し、「日米欧で連携していくには少なくとも2026年くらいまでには能否の判断はできるのか」と迫ると、黒田日銀総裁は肯定する答弁をした。

黒田日銀総裁:

個人的にはそう思う。日銀の中でも、政府との調整でも、国際的な標準化の動きにも変動があり得るため確約はできないが。

日銀総裁がCBDCの発行時期に関して言及したのはこれが初めて見られる。

これまでCBDC発行に関しては慎重な発言が多かった日銀も「世界各国で真剣な検討が進む中で、発行しないということも大きな決断になってきている。現状維持はあり得ない」「いざ発行が必要になったとき、準備ができていないということでは話にならない」との見解を示すようになり、やや前向きな姿勢が見られ始めている。

デジタル通貨の発行を巡っては、民間の大企業なども参入し始めている。2021年11月、暗号資産(仮想通貨)取引所の運営などを行うディーカレットが事務局を務める「デジタル通貨フォーラム」は、日本円のデジタル通貨「DCJPY」の概念実証(PoC)を、2021年度内に開始する計画を発表した。

関連:日本円のデジタル通貨、今年度内に概念実証開始へ

Web3.0について

中谷議員は、Web3.0(分散型ウェブ)について「ブロックチェーン技術を活用したインターネットの新たな手法」であると解説。Web時代についてどのようにとらえているかを牧島デジタル大臣に問うた。

牧島デジタル大臣:

ご指摘の通り新しい技術に対してアンテナを張ることは重要と考える。Web3.0については、インターネットの在り方を変えていく可能性があるとする期待がある一方でどのような抽象的な概念が広がっていくのか懐疑的な見方もあると受け止めている。いずれにせよ、日々変化する技術トレンドを把握し注視する姿勢でいたい。

関連:デジタル庁とは?設立の背景や組織形態など分かりやすく解説

ブロックチェーンの政策への活用に関して踏み込んだ答弁はなかった。

一方で、自民党内ではブロックチェーンやNFTをめぐるポジティブな動きがみられる。

自民党のデジタル社会推進本部は19日、元内閣府副大臣などを歴任した平将明議員を「NFT(非代替性トークン)特別担当」に指名したことを発表。平議員は、「基本路線は成長戦略」であることを強調し、現状の課題にある海外への人材・企業流出に懸念を示し、投資資金を呼び込むため、税制改正の提言も視野に進めていく方針を明らかにした。

また、26日には「NFT政策検討プロジェクトチーム(PT)」の設置を発表し、ブロックチェーンやNFTの関連事業を成長戦略に含めるべく、政策提言を視野に議論を進めていく方針を示した。

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