BifinityとEQONEXが提携
大手暗号資産(仮想通貨)取引所バイナンスが新たに設立した決済企業「Bifinity」は7日、米ナスダック上場の仮想通貨企業EQONEXと戦略的パートナーシップを締結したと発表。同時に、この契約を通して、BifinityがEQONEX に3,600万ドル(約4億1,600万円)の転換ローンを提供することが明らかにされた。
公式発表によると、BifinityはEQONEXの最高経営責任者、最高財務責任者、最高法務責任者をBifinity内部から命名する権利を持つとともに、EQONEXの取締役会のうち2名を指名することが可能。規制当局の承認を前提に、合併の可能性も探るという。
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2020年にシンガポールで設立されたEQONEXは、仮想通貨取引所EQONEX、仮想通貨ヘッジファンド「Bletchley Park Asset Management」、及び仮想通貨カストディ会社「Digivault」を運営している。
両社が戦略的パートナーシップで重点的に取り組む事業の一つが、英金融行動監視機構(FCA)に正式に認可されたDigivaultの活用だ。この点に関して英金融行動監視機構(FCA)は7日、バイナンス傘下のBifinityが、Digivaultの「受益権所有者となった可能性がある」として、懸念を表明した。
英金融当局の懸念
FCAは両社の提携に関して、契約完了前に「新しい受益者の適性及び妥当性、または支配権の変更を評価する権限」がなかったと指摘。昨年6月、公式にバイナンスに対する懸念を表明した事実に触れた。
「Binance Markets Limited」英国でが運営するにあたって、FCAは厳しい規制要件を課しており、書面によるFCAの同意により「限定された活動のみ」が可能となっている。この要件は、「Binance Marketsが効果的に監督される能力がない」とFCAが判断したことから課されたものだという。
FCAはグローバルに事業を展開するバイナンスグループは、「消費者に大きなリスクをもたらす、複雑で高リスクな金融商品を提供している」と主張。FCAの規制下にある企業、もしくはその「受益権の所有者」が適切であると確信が持てない場合、同機関は、仮想通貨事業の登録の停止または取り消し措置を講ずることができると警告した。
さらにマネーロンダリング規制の遵守などが適切でない場合をはじめ、他のさまざまな理由でも登録を取り消す権限があると付け加えた。
Binance Markets以外で、バイナンスグループには英国で登録または認可を受けた事業体は存在しないとFCAは強調している。
仮想通貨関連詐欺の多発
FCAは3日、消費者と投資市場に関するデータ公開の一環として、300件以上の詐欺の可能性がある仮想通貨事業者を調査したことを報告した。昨年4月から9月の間に受けた詐欺に関する問い合わせ16,400件のうち、最も多かったのが仮想通貨に関するものだったという。
FCAは詐欺が多発している状況を踏まえて、投資リスクの詳細や詐欺対策専用のサイト設置などの「ScamSmart」、また投資初心者に向けたより良い投資判断を支援する「InvestSmart」という、二つのキャンペーンを開始した。
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