コインベースなどが改正案の問題点を指摘
米暗号資産(仮想通貨)取引所コインベースは28日、早ければ31日にEU議会が議決予定の暗号資産(仮想通貨)規制法案についてブログ記事を発表した。
法案は、自己管理型デジタルウォレットへの送金を新たに規制するものだが、この問題点を指摘した。
EU議会は、経済通貨委員会で、仮想通貨のマネロン防止に関する改正案を投票予定。これには、自己管理型デジタルウォレットへの仮想通貨送金について、少額のものについてもマネーロンダリング防止規則による監視対象とする内容が盛り込まれている。
ブログ記事で、コインベースのPaul Grewal最高法務責任者は、「改正案が採択されれば、取引所に対する監視体制が徹底的に強化され、自己管理型ウォレットへの送金を全面的に禁止する可能性さえ浮上する」と懸念している。投票前に、仮想通貨コミュニティからの声を議員達に届けようと呼びかけた。
改正案の問題点
DeFiプロジェクトunstoppable Financeの戦略責任者を務めるPatrick Hansen氏も、コインベースと同様の点について注意喚起している。
1/ I hate to ring the alarm bell again, but the EU Parliament leaves us no choice 🚨🚨
— Patrick Hansen (@paddi_hansen) March 26, 2022
This time it concerns a crackdown on unhosted wallets in the upcoming crypto AML regulation (TFR).
The ECON committee vote is on Thursday and the draft includes some absolute red flags 👇
Hansen氏によれば、現在の草稿において問題となるのは主に次の点だ。
- 自己管理型ウォレットの送受信を行う者に関する情報の正確さを検証することが要求される
- 1,000ユーロ(約13万円)を超える仮想通貨送金のたび、取引所などが当局に通知することを義務付ける
- 将来、自己管理型ウォレットの送受信に関するリスクについて追加措置が検討される
まず一点目についてHansen氏は、仮想通貨企業が、どのように情報を検証すべきか規定されていないと指摘。その結果、多くの仮想通貨企業は、法を遵守するために、自己管理型ウォレットと取引しなくなる可能性があるとしている。
二点目については、マネーロンダリングの兆候や疑いがない比較的少額の取引でも、当局に報告しなくてはならないことについて「プライバシー権の侵害」であると述べた。
三点目について、Hansen氏は草案の一部を引用。その内容は、規則改正の施行から12か月後に「制限の導入を含め、自己管理型ウォレットの資金送受信リスクを軽減するために、追加の特別措置が必要かどうか評価すべきである」とするものだ。
また、「自己管理型ウォレットの所有者に関する情報の正確さを確認するためのメカニズムについて、その実効性や適切さを評価する」ことも掲げられた。
Hansen氏は、この内容について「自己管理型ウォレットの資金送受信が完全に禁止される可能性もある」と懸念している。
包括的規制案は次の段階へ
EU議会では14日、仮想通貨の包括的規制法案「MiCA」が委員会投票で承認されたところだ。次のステップとしてEU議会、委員会、評議会の3者協議にかけられる予定である。
MiCAでは当初、環境に与える影響からPoW(プルーフオブワーク)銘柄を禁止とする条項が含まれていたことで波紋を広げていたが、この条項は投票で非承認とされた。