CoinPostで今最も読まれています

EU議会、自己管理型ウォレットに関する規制採決へ 業界からは不適切だと懸念の声も

画像はShutterstockのライセンス許諾により使用

コインベースなどが改正案の問題点を指摘

米暗号資産(仮想通貨)取引所コインベースは28日、早ければ31日にEU議会が議決予定の暗号資産(仮想通貨)規制法案についてブログ記事を発表した。

法案は、自己管理型デジタルウォレットへの送金を新たに規制するものだが、この問題点を指摘した。

EU議会は、経済通貨委員会で、仮想通貨のマネロン防止に関する改正案を投票予定。これには、自己管理型デジタルウォレットへの仮想通貨送金について、少額のものについてもマネーロンダリング防止規則による監視対象とする内容が盛り込まれている。

ブログ記事で、コインベースのPaul Grewal最高法務責任者は、「改正案が採択されれば、取引所に対する監視体制が徹底的に強化され、自己管理型ウォレットへの送金を全面的に禁止する可能性さえ浮上する」と懸念している。投票前に、仮想通貨コミュニティからの声を議員達に届けようと呼びかけた。

自己管理型ウォレットとは

取引所などではなく、自分で秘密鍵を管理して資産を保有するために使用するウォレットのこと。「自己ホスト型」や「セルフカストディ型」などと呼ばれることもある。

▶️仮想通貨用語集

改正案の問題点

DeFiプロジェクトunstoppable Financeの戦略責任者を務めるPatrick Hansen氏も、コインベースと同様の点について注意喚起している。

Hansen氏によれば、現在の草稿において問題となるのは主に次の点だ。

  • 自己管理型ウォレットの送受信を行う者に関する情報の正確さを検証することが要求される
  • 1,000ユーロ(約13万円)を超える仮想通貨送金のたび、取引所などが当局に通知することを義務付ける
  • 将来、自己管理型ウォレットの送受信に関するリスクについて追加措置が検討される

まず一点目についてHansen氏は、仮想通貨企業が、どのように情報を検証すべきか規定されていないと指摘。その結果、多くの仮想通貨企業は、法を遵守するために、自己管理型ウォレットと取引しなくなる可能性があるとしている。

二点目については、マネーロンダリングの兆候や疑いがない比較的少額の取引でも、当局に報告しなくてはならないことについて「プライバシー権の侵害」であると述べた。

三点目について、Hansen氏は草案の一部を引用。その内容は、規則改正の施行から12か月後に「制限の導入を含め、自己管理型ウォレットの資金送受信リスクを軽減するために、追加の特別措置が必要かどうか評価すべきである」とするものだ。

また、「自己管理型ウォレットの所有者に関する情報の正確さを確認するためのメカニズムについて、その実効性や適切さを評価する」ことも掲げられた。

Hansen氏は、この内容について「自己管理型ウォレットの資金送受信が完全に禁止される可能性もある」と懸念している。

包括的規制案は次の段階へ

EU議会では14日、仮想通貨の包括的規制法案「MiCA」が委員会投票で承認されたところだ。次のステップとしてEU議会、委員会、評議会の3者協議にかけられる予定である。

MiCAでは当初、環境に与える影響からPoW(プルーフオブワーク)銘柄を禁止とする条項が含まれていたことで波紋を広げていたが、この条項は投票で非承認とされた。

関連EUの仮想通貨規制法案「MiCA」、次の段階へ

CoinPost App DL
注目・速報 相場分析 動画解説 新着一覧
07/27 土曜日
08:10
マスク氏のX(旧ツイッター)、ビットコインなどの仮想通貨絵文字表示を削除か
イーロン・マスク氏がオーナーのX(旧ツイッター)は、ビットコインなどの仮想通貨絵文字表示を削除した。ドージコイン擁護のためか。
07:35
BitwiseのETH現物ETFの横断幕、NYSEに掲揚
仮想通貨運用企業Bitwiseのイーサリアム現物ETFの横断幕が、ニューヨーク証券取引所に掲げられた。同社は、取引終了のベルを鳴らすことも報告している。
07:05
野村傘下のレーザーデジタル、利回り提供のイーサリアムファンド販売予定か
野村ホールディングスの仮想通貨資産子会社であるLaser Digital(レーザーデジタル)は、イーサリアム現物ETFの代替商品の導入を計画しているようだ。
06:40
米SEC、グレースケールのミニ版ビットコインETFを承認
仮想通貨投資企業グレースケールが提供するGBTCは手数料(1.5%)が最も高く資金流出は続いていたが、新商品を導入し0.15%という業界最安の手数料設定で競争力を高める狙いだ。
06:20
ビットコイン価格が21年後に最大で75億円に到達か、マイケル・セイラー氏の強気予想
ビットコインを最も保有する米上場企業マイクロストラテジーのマイケル・セイラー氏はカンファレンス「ビットコイン2024」で、BTCの今後の強気予想のプレゼンテーションを行った。
07/26 金曜日
17:10
「米大統領選で価格変動 トランプやハリス由来のミームコインの買い方
トランプトークンの概要 ドナルド・トランプ前米大統領とその「Make America Great Again」(アメリカを再び偉大に)というスローガンからインスピレーションを得…
17:10
ヤマハ発動機が初のVTuberコラボNFTを発行、Yamaha E-Ride Baseを訪れて進化可能
ヤマハ発動機が初のNFTデジタルステッカーを発行。横浜のYamaha E-Ride Baseで進化するダイナミックNFTを体験し、限定グッズをゲットできる。
15:13
ビットフライヤーがFTX Japan買収完了、カストディ事業展開へ
株式会社bitFlyer HoldingsはFTX Japanの株式100%を取得し、完全子会社化を発表。8月26日までに社名を変更し、クリプトカストディ事業を展開予定。法制度整備後の暗号資産現物ETF関連サービス提供も視野に入れている。
14:43
Neo Xメインネットが正式稼働 EVM互換でネオのエコシステムを拡張
Neoは高性能EVMベースのサイドチェーン「Neo X」のメインネット正式稼働を発表。クロスチェーンブリッジで流動性と互換性が向上し、エコシステムの可能性が広がる。
14:15
カマラ・ハリス氏のミームコインが過去最高値を記録、大統領候補指名の期待受け
PolitiFiと呼ばれる政治パロディのミームコインが、仮想通貨領域で独自のジャンルを形成しており、カマラ・ハリス副大統領のパロディコイン「 Kamala Horris(KAMA)」が急騰し話題となっている。
12:55
アルトコインETFの未来、ブラックロックが語る現実と可能性
ブラックロックのデジタル資産責任者は、イーサリアム現物ETFが承認されていても他のアルトコインETF誕生には困難があると話した。
12:14
仮想通貨相場反発、ビットコイン・カンファレンスのトランプ登壇に関心集まる
昨日までの大幅下落とは打って変わり暗号資産(仮想通貨)相場は反発した。強気シグナルのハッシュリボンが点灯しているほか、今週末にはビットコインカンファレンスに米国のトランプ前大統領が登壇予定であり、投資家の関心が集まる。
11:00
トランプ前大統領の陣営、4〜6月期で仮想通貨で6億円の寄付金調達
トランプ前大統領は、ビットコインなど仮想通貨で6億円以上の選挙資金を調達。「ビットコイン2024」でもさらに資金を集める予定だ。
10:30
BTCが290万ドルに到達するシナリオ、VanEckが公開
仮想通貨ビットコインが2050年までに290万ドルに到達するシナリオをVanEckのアナリストが公開。このシナリオを実現するための条件を説明している。
10:00
ソラナ初事例、パラオ共和国がデジタルID発行
主権国家が仮想通貨・ブロックチェーンであるソラナ上で、法的アイデンティティを発行する初めての事例となった。

通貨データ

グローバル情報
一覧
プロジェクト
アナウンス
上場/ペア