カンヌ映画祭のNFTコレクション
カンヌ国際映画祭の招待券が付随するNFT(非代替トークン)コレクションは、暗号資産(仮想通貨)イーサリアム(ETH)で5月2日から購入可能になっている。
5月17~28日に開かれるカンヌ映画祭の限定NFTの販売は、100か国で5億人以上の月間ユニーク視聴者を抱える動画ニュースプラットフォーム「Brut」と、世界的に有名なWeb3(ウェブスリー)アーティスト「pplpleasr」の提携により実現した。Brutはカンヌ映画祭とグローバルメディア公式パートナーとして3年契約を結んでいる。
カンヌ映画祭の75周年を祝って発行される75個限定のNFTコレクションは、pplpleasrが主導するWeb3型の映画配給プラットフォーム「Shibuya(渋谷)」で販売されている。
カンヌ映画祭のNFTコレクションは、ブロンズ、シルバー、ゴールドの3つのランクに分類され、1枚あたり5ETH(約180万円)~7ETH(240万円)に設定されている。ランクに応じて、参加可能なプレミア上映やレッドカーペットイベント、VIPパーティなどの特典が異なる。また、本NFTはイーサリアム上で発行されるが、譲渡不可能でありセカンダリーマーケットに流通しない仕様となる。
カンヌ映画祭のNFTに関連する収益はすべて、業界の女性映画製作者を支援するAnnenberg Accelerator Programに寄付される。
Web3型の映画配給プラットフォーム「Shibuya」
pplpleasr(本名Emily Yang)氏はUniswap(分散型取引所)の広告NFTをデザインしたことで知られる人物、同NFTは21年5月に約6,000万円(52.5万ドル)で落札された。映画VFX(視覚効果)の制作実績としても、バットマンvsスーパーマン、ワンダーウーマンといった長編作品に参画してきた。
pplpleasr氏は今年3月、映画制作の資金調達をより簡略化することを目的とする映画配給プラットフォーム「Shibuya」をローンチしていた。Shibuyaは資金調達にNFT(非代替性トークン)を使用し、独自の暗号資産(仮想通貨)を発行できるなどの特徴がある。
Shibuyaではクラウドファンディング参加者にIP(知的財産権)を紐づけることができ、ストーリー展開にサポーターの意見を組み込むインタラクティブな制作も可能だ。
例えば、現在資金調達が行われている短編映画「White Rabbit(白ウサギ)」の場合、専用の「プロデューサーパス」ランクNFTを購入したユーザーは、投票を通して作品のストーリー展開に影響力を発揮できる。さらに、同NFTをステーキングし、投票回数に応じてWhite Rabbitの所有権を表す仮想通貨WRABを取得できる。
現在のところ、収益の分配を含むWRABのユーティリティについては公表されていない。pplpleasrは「実験段階なので金銭的利益を保証できないが、将来的に利益はトークン所有者と共有される予定」と海外メディアDecryptに語っていた。
関連:イーサリアムの長編ドキュメンタリー映画 ヴィタリックも登場へ