仮想通貨への課税法案2つを否決
ポルトガル議会は25日、暗号資産(仮想通貨)に課税するという法案2つを否決した。地元メディアなどが報道した。
これらの法案は、少数政党(Bloco de EsquerdaとLivre)の2党が、別々に提案したものだったが、2022年の予算をめぐる議会の投票で、両方とも否決された格好だ。
Livre党の法案は、「ポルトガル政府が仮想通貨のキャピタルゲインについて約68万円(5,000ユーロ)から課税することを視野に入れて、課税申告義務を確立するために動いていくこと」を規定するものだった。
投票に先立って、仮想通貨課税を強く唱えるBloco de Esquerda党のMariana Mortágua議員は、これまでポルトガル政府が仮想通貨に課税してこなかったことを批判した。Mortágua議員は、次のように述べている。
将来に他の仮想通貨規制も必要とはなるが、それは別にしても、この不適当な状況を終わらせるためには、従来のキャピタルゲインに適用されるのと同じレートの税金を仮想通貨にも当てはめることが必要だ。
ポルトガル政府は課税の意向示す
背景として、ポルトガルの税務当局は2019年に、仮想通貨の取引や決済は非課税であると発表しており、付加価値税(VAT)や所得税を免除してきた。このため、ポルトガルをビットコイン(BTC)の「タックスヘイブン」だと例える向きもある。
今回、2つの課税法案は否決されたものの、ポルトガルが近い将来に仮想通貨へ課税を始める可能性は依然として残されている。
ポルトガルのフェルナンド・メディナ財務大臣は13日、課税を推奨する発言を行った。
メディナ大臣は、議会の公聴会で「資産の取引に関するキャピタルゲインが課税されないような抜け道」があってはならないと述べており、これから仮想通貨への課税モデルを模索し、法律や税制に修正を加える方針だとしている。
同時にメンドンサ・メンデス財政問題担当国務長官も、仮想通貨に関しては、所得税に加えて、付加価値税(VAT)や印紙税(IS)などの税金を課すことも検討していると説明した。
メディナ大臣やメンデス長官は、具体的な法改正などの日取りについては言及していないが、政府内に、課税を開始する意向があることは確かである。
ビットコインによる不動産購入
idealistaの報道によると今月、ポルトガルでは初めて仮想通貨のみで住宅購入の取引が行われた。
ブラガにある3ベッドルームの住宅で、3ビットコイン(BTC)で購入されたという。
以前は、住宅を購入する場合には、まず仮想通貨をユーロに変換して手続きを行う必要があったが、4月に発表された公証人協会の新しい規則により、仮想通貨と不動産の権利を直接交換することが可能になった。
ただし、マネーロンダリング防止のために、資金の出所やデジタルウォレットのアドレスを知らせるなど、複数の追加手続きが必要となる。