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分散型融資プロトコルSolendで大口ポジションの清算懸念、SOL市場への影響は?

画像はShutterstockのライセンス許諾により使用

Solendの大口ポジションのリスク

ソラナ(SOL)ネットワークの分散型融資プロトコルSolend上で、あるクジラ(大口投資家)の保有するロングポジションの清算リスクが危惧されている。19日にはリスク緩和を図りたいDAO(分散型金融)による緊急提案「SLND1」がスピード可決され、論争の的となった。

プロトコルがユーザーポジションを調節するという中央集権的な内容と、提案が可決されるまでのプロセスの不公平性が問題視された。20日には「SLND2」が提出されており、SLND1の取り消しと大口ポジションの対策のやり直しに向けて投票が進められている。

事の発端は、大規模なアカウント(クジラ)がSolendとそのユーザーに負担をかけるほどのポジション清算の危機に直面していることにある。

該当アカウントは、Solend Labsに570万 SOL(1億7000万ドル)を預け入れ、1億800万ドル相当の米ドル・ステーブルコイン(USDCとUSDT)を借り入れている。この額はSolendのTVL(預入総額)の25%に相当する。

クジラポジションによる影響は主に2つあるとされる。

まず、プロトコルが不良債権を負うリスクへの懸念から、多くのユーザーがステーブルコインを出金した結果、主要ステーブルコインであるUSD Coin(USDC)とテザー(USDT)の利用率が100%まで急騰。逃げ遅れた流動性提供者の資金は拘束され、USDCやUSDTを担保にした債務ポジションも清算できない状態に陥っている。

ステーブルコインとは

ボラティリティ(価格変動性)の大きな暗号資産市場において、米ドルなどの法定通貨に価値を連動させることで価格の安定を図るように設計された暗号資産。米ドルの裏付けによるステーブルコイン(USDT・USDC)のほか、DAIやUSTといったアルゴリズム型ステーブルコインも存在する。

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そして、さらなる市場の急落により仮にソラナ(SOL)の価格が22.30ドル水準まで下落すると、このアカウントは借り入れ総額の最大20%(2,100万ドル)を流通市場で清算する。約27億円(2,100万ドル)もの売り圧力は流通市場で吸収しきれる規模ではなく、SOLのさらなる急落につながり、グローバルマーケットであらゆるポジションが連鎖的に清算されるリスクがあるという指摘だ。

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SLND1

「Mitigate Risk From Whale(クジラによるリスクの緩和)」と名付けられた最初の提案「SLND1」の要旨は、Solend全体のTVLの20%以上を占める大口ポジションに対して、35%の清算上限を特別に設置するもの。

さらに、スマートコントラクトの更新により、Solend Labsにクジラのアカウントを一時的に引き継ぐ「緊急権限」を付与し、OTC(相対取引)で清算を行うことでリスク軽減を図ろうとする。

クジラによる最終アクションは12日前、運営によるポジション調整の要請には一切応じずポジションは放置されたまま。そのため、この提案と投票が19日に突如立ち上がり、97%の賛成率で可決した。

OTCでの処理は、SOL価格への影響を抑えられる利点と引き換えに、スマートコントラクトでプログラム化されたプロトコルを侵害する行為でもある。

Solendが顧客のウォレットを調節することは、中央管理者が必要ない「DeFi(分散型金融)の精神が否定されるだけでなく、そもそも違法である」と、Delphi Digitalの法務役員は指摘する。

Ava Labsの創設者兼CEOであるEmin Gün Sirer氏は、SLND1を通過するためだけに DAOが急遽設置され、見せかけの投票プロセスが取り繕われたことを批判した。投票率は1.13%で定足数1%をかろうじてクリアしたに過ぎず、その賛成票の大半が1人に依存している。

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SLND2

Solendは20日、「Invalidate SLND1 and Increase Voting Time(SLND1を無効にし、投票時間を増やす)」と題した提案「SLND2」の投票を開始した。クジラウォレットの危機に対して緊急付与権なしの別の解決策を再検討するとしている。また、スピード可決したSLND1への批判を考慮して、SLND2は今後の解決策の投票時間を「24時間」とするよう提起している。

SolendのRooter共同創設者は以下のように述べている。

SLND1について多くの方から批判を頂き、その方法を検討してきた。

SOLの価格は(現時点では)着実に上昇しており、より多くの意見を収集し、代替案を検討するための時間を得ることができた。我々は、1日という投票期間がまだ短いことを認識しているが、システミックリスクと通常のユーザーがUSDCを引き出すことができないという事実に対し、迅速に行動する必要がある。

執筆時点でSLND2は最少限度の出席者数である「定足数」に達しておらず、残り1.5時間で投票が終了する。前回の提案では、1つのアカウントが参加したことで定足数をクリアして可決された。

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