昨年同時期を上回る規模
暗号資産(仮想通貨)およびブロックチェーン企業の資金調達額が2022年上半期だけで175億ドル(約2.4兆円)に到達したことが投資データ企業Pitchbookの統計で明らかになった。
Web3企業の資金調達額は2021年度全体では269億ドル(3.6兆円)だった為、2022年の上半期だけで見れば昨年を上回るペースで資金調達が進んでいることが伺える。
地域別では、北米地域での資金調達が最も活発で、全体の半数近くの114億ドル(1.5兆ドル)を占めた。また、強気相場だった2021年には北米地域における仮想通貨系企業の資金調達総額は156億ドル(2.1兆円)だったため、市場の低迷に左右されず出資のペースが衰えていない。
また、欧州での資金調達事例も依然として健在で、22億ドル(3,000億円)の出資額を記録。米国全体では2022年のVC活動は昨年の1,582億ドル(21.5兆円)から1,442億ドル(19.6兆円)へと減少しているため、ロシアによるウクライナ侵攻や各国の金利引き上げを皮切りにした世界的なインフレで金融市場全体が低迷する中でもクリプト業界が上昇を続けている。
仮想通貨相場は5月のテラ(LUNC)UST急落騒動やセルシウス、3ACなどを筆頭に直近数ヶ月は多数の企業が連鎖的に債務不履行・破産に追いやられる事例が多発しているが、長期的に見ると現在も大規模な資金調達が続けていることが伺える結果となった。
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2Qの資金調達はペース鈍化
上半期では目まぐるしいペースでの資金調達が目立つ一方で、2Q(第2四半期・4月〜6月)に入ってはさすがに資金調達の熱狂が冷めつつある。
CoinPost提携メディアThe Blockの統計によれば、四半期別の仮想通貨企業のVC資金総額は2年ぶりの減少を記録した。Q2の資金調達総額である97.68億ドル(1.3兆円)は半年ぶりに1,000億ドルの大台を下回っていた。
また、資金調達額が5,000万ドル(67億円)を超える大型出資の事例も2020年2Q以降、連続して増加していたが、こちらも2年ぶりに減少する形となっている。