仮想通貨の規制方針について
英国議会の暗号・デジタル資産議員グループは4日、英国の暗号資産(仮想通貨)業界について調査を開始すると発表した。仮想通貨企業、規制担当者、業界や政府の専門家などから意見を募集する。
同グループは、2021年12月に超党派で設立された団体。仮想通貨セクターについて議論する場を提供している。
同グループのリサ・キャメロン議長は、今回の調査の背景について次のように語った。
仮想通貨やデジタル資産を所有する人が増えるにつれ、英国の仮想通貨部門は、消費者や規制当局からの関心を集めている。また、世界の政策立案者らも、仮想通貨へのアプローチや規制方針を見直しつつあるところで、現在この分野にとって重要な時期が訪れている。
こうした状況を背景に、仮想通貨分野への規制の必要性について、2022年9月5日まで関係者からの文書の形で意見を募集するという。主なトピックは次の通りだ。
- 仮想通貨投資のグローバル拠点としての英国
- 仮想通貨規制に対する英国の現在のアプローチ
- 中央銀行デジタル通貨(CBDC)
- 消費者保護と経済犯罪
具体的には、「英国で仮想通貨に関してどのようなチャンスやリスクがあるか」、「現在の規制アプローチは、英国を仮想通貨投資の世界的中心地にするという政府の姿勢に適合しているか」といったものが挙げられた。
その他に、CBDCの潜在的な採用事例やリスクに関する意見、消費者保護や金融犯罪についての措置が充分かなどについても見解を募っている。
暗号・デジタル資産議員グループは今後数か月の間に、主要な利害関係者から意見を聞く会合も開催する予定だという。さらに、そうして得た提言を組み込んで報告書を作成し、その結果を英国政府および英財務省特別委員会と共有することも計画中だ。
暗号・デジタル資産議員グループとは
正式名称はCrypto and Digital Assets All Party Parliamentary Group。英国議会の超党派グループであり、国会議員や規制当局、政府、業界が仮想通貨セクターに関して可能性や課題、規制を議論する場を提供している。
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ステーブルコイン規制法案
英国では、同国を「世界的な仮想通貨技術のハブ」とする計画を発表したリシ・スナク前財務大臣や、同様に仮想通貨に前向きだったジョン・グレン前財経済担当大臣が7月に辞任したことで、仮想通貨業界で懸念が浮上していた。
しかし現在のところでは、両氏の方針はある程度継承されている模様。英国財務省は7月、ステーブルコインを規制する計画を含む金融サービス・市場法案を発表した。
イノベーションを促進するために、ある種類のステーブルコインを英国で決済手段として規制することを可能にするもので、金融市場における規制サンドボックスの創設を可能にする内容も盛り込んでいる。
サンドボックスとは
実験を行うことのできる「砂場」の意味。特に、規制上のサンドボックスとは、当局の監督の下で革新的な商品やサービス、ビジネスモデルをテストできるようにする制度のこと。現行法などが限定的に緩和された環境の中で、革新的な企業によるイノベーションを育成することが可能となる。
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