- リップル社、約83億円のXRP売却
- 米リップル社は、第2四半期に7553万ドル(約83億円)相当のXRPを売却した。その内、約18億5570万円はMSB(マネーサービスビジネス)の登録およびライセンスを得ており、リップル社の子会社であるXRP II, LLCが直接売却し、残りの約62.3億円はプログラム売却されている。
- マーケットコメンタリー
- 2018年第2四半期は、他の通貨同様、XRPの価格と取引量は下落が見受けられた。しかし、多くの通貨の価格と取引量に強い相関が見られるのは、仮想通貨市場がまだ初期段階であることを示しており、成熟していくと、本当に価値のある通貨が見極められていくと考察されている。
米リップル社、7553万ドル相当のXRPを売却
リップル社は低ボラティリティの中、第2四半期に7553万ドル(約83億円)相当のXRPを売却した模様です。
1687万ドル(約18.5億円)は、MSB(マネーサービスビジネス)の登録およびライセンスを得ており、リップル社の子会社であるXRP II, LLCが直接売却し、残りの5666万ドル(約62.3億円)はプログラム売却されました。
リップル社のプログラム売却量は、世界の取引量の0.125%に相当します。
2018年Q2 | 2018年Q1 | |
---|---|---|
直接売却 | 18.5億円 | 18.2億円 |
プログラム売却 | 62.3億円 | 166.2億円 |
総売却量 | 83億円 | 184.4億円 |
XRP総取引量 | 453億 | 1600億 |
総取引量に対するプログラム売却量 | 0.125% | 0.09% |
総取引量に対する売却量 | 0.162% | 0.10% |
2018年第2四半期のXRPのボラティリティは低く、XRPの価格は-9.0%下落しています。
勢いのない市場の中でも、リップル社の売却量は総取引量に対してわずかな量に留まりました。
エスクロー
2017年第4四半期にリップル社は、暗号化学的に保証された、エスクロー(商取引の際に信頼の置ける第三者を仲介させて取引の安全を担保する、第三者預託)アカウントに550億XRPをロックアップ。これにより、リップル社は全体流通量の13%のみにアクセスできることになりました。
2018年第2四半期、XRPは再びエスクローから1ヶ月に10億ずつ、計30億XRPがエスクローからリリースされており、その後、27億XRPは新しいエスクロー契約に返却されています。
残りの3億XRPは、エスクローではなく、XRPのエコシステムをサポートするため様々な用途で使われるようです。
新たな参加者
第2四半期では、XRPエコシステムへの新たな参加者が現れました。
例えば、Stefan Thomas氏が率いるベンチャー企業”Coil”が、様々なマイクロペイメントのアプリにXRPを利用するようです。
また起業家として、またSBプロジェクトの創設者として有名なScooter Braun氏は、アーティストが自身の作品をマネタイズし、管理する能力を向上させるために、XRPを活用するプロジェクトに取り組んでいます。
これら2つの事例は、XRPエコシステムの構築に取り組んでいる起業家が運営する会社やプロジェクトと共同で機能する”Xpring”からの支援も受けています。
マーケットコメンタリー
2018年始めの仮想通貨全体の時価総額は6037億ドル(約66兆4070億円)で、今年の内に数百ものICOコインが発行されたにも関わらず、2547億ドル(約28兆170億円)まで落ち込みました。
第2四半期は、前年の第4四半期と今年の第1四半期と比べ、価格と取引量の両方の観点では目に見えてスローダウンしています。このスローダウンは、世界各国の規制に対する懸念によるものだと考察されます。
6月にSEC(米国証券取引委員会)が、イーサリアム(ETH)を有価証券とはしないと発表したにも関わらず、XRPも含む仮想通貨の価格や取引量の上昇に繋がりませんでした。
大半の仮想通貨の価格と取引量は減少し、多くの通貨と強い相関が見られました。
強い相関は、市場がまだ初期段階にあることを示しています。トレーダーは、主要な通貨でさえ本質的な価値を区別しきれていません。
次第に市場が成熟し、どの通貨が有用で価値があるかを判断できるようになると、通貨同士の違いを見極めれるようになるはずです。
個々の通貨を掘り下げて見てみると、些細な違いが見て取れます。
XRPとBitcoinは、どちらも価格が下落しており、強い相関がありますが、幅広く取引されているEtherやBitcoin Cashは各14.8%、9.3%上昇しており、アウトパフォームしました。
もう一つ言及しておかなければならないことが、この四半期は米リップル社の契約した顧客数は、過去最大になったにもXRPの価格は他の通貨と同様に下落しているということです。これは、XRPがリップル社から独立したことを明確にしています。
また、市場の失速は、韓国の取引量が影響していると指摘されています。
韓国は、他国を寄せ付けない取引量を誇っており、日によっては総取引量の70%を占めていました。その韓国が第2四半期の終わりには、世界のシェア第4位にまで落ちていました。
そのほか、仮想通貨の主要取引所が大規模なハッキングを受けたことや、中国など国際的な規制強化などに伴う、トレーダーの全体的な活気の喪失が下落に起因しています。
このような状況の中、2017年の第4四半期では、投機的なトレーダーがボラティリティを13.8%まで押し上げていましたが、2018年の第2四半期には、リテール投資が失速、XRPのボラティリティも5.7%まで落ち込み、この数字は2016年第4四半期以来となっています。
ボラティリティの低下は取引量の低下を伴うもので、鶏と卵のジレンマ状態です。
ゴールドマンサックスやJPモルガンなどの大手金融企業が立て続けに、仮想通貨業界への参入意思を示したにも関わらず、取引量は低いままでした。
また、大企業の動きはまだ発表にとどまっており、これらの企業が機関投資家を仮想通貨業界へ参入させているわけではありません。
しかし、これらは大手の金融機関が仮想通貨への関心を示している証拠になります。
さらに、これらの金融機関が仮想通貨部門を創設しはじめ、目の前の好機を活かすために技術的解決策を構築しはじめていることは明らかです。