はじめての仮想通貨
TOP 新着一覧 チャート 学習 WebX
CoinPostで今最も読まれています

BIS「将来の通貨システムは仮想通貨の技術を活用すべき」

画像はShutterstockのライセンス許諾により使用

CBDCを通貨システムの基盤に

国際通貨基金(IMF)は3日、その基幹誌「Finance & Development」(金融と開発)で「信頼の基盤」と題し、将来の通貨システムのあり方についての議論を発表した。中央銀行のための中央銀行と言われる国際決済銀行(BIS)のAgustín Carstens理事会議長や、BISの要職についているメンバー二人が執筆した内容だ。

未来の通貨システムはどうなるのか?仮想通貨の技術力と中央銀行の信頼性を融合させた豊かなエコシステムについて、Agustín Carstens氏らがF&Dで執筆

Carstens氏はこれまでに「ビットコイン(BTC)投資はリスクが高い」と発言するなど、暗号資産(仮想通貨)に懐疑的な姿勢をとることで知られている。この記事でも仮想通貨には「構造的な欠陥がある」と指摘した。一方、仮想通貨に使用されている技術に関しては「イノベーションの可能性に出会わせてくれた」と評価している。

そのため、将来の通貨システムは、仮想通貨によって実証された革新技術を活用しつつ、中央銀行が提供する信頼性に立脚すべきであると主張。中央銀行デジタル通貨(CBDC)こそが、「公益に叶う革新技術をサポートする、豊かで多様な通貨エコシステムの基盤となり得る」と述べた。

関連:「ビットコイン投資はリスクが高い」国際決済銀行ゼネラルマネージャーの指摘

BISとは

BIS(国際決済銀行)は、スイスのバーゼルに本部を置く、63ヵ国・地域の中央銀行をメンバーとする組織。加盟国の中央銀行間の協力を促進し、中央銀行からの預金の受入れ、金・為替の売買などの業務も行う。また、国際金融問題についての各国中央銀行間の討議機関としての役割も担い、国際金融の統計資料の公表も行っている。

▶️仮想通貨用語集

仮想通貨の構造的欠陥とは

Carstens氏らは「社会に貢献する通貨システム」の要件として、以下の点を挙げた。

  • 安全で安定している
  • 国民に対して説明責任を負う参加者が存在する
  • 効率的かつ包括的である
  • ユーザーは自身のデータを管理し、詐欺や乱用を防止する
  • 変化する需要に対応可能なシステムである
  • 国際的な経済統合を支えるために、国境を越えて開かれていること

パーミッションレスの分散型台帳技術は、新たな需要に対応可能な技術的機能を持ち、「国境をこえた解放性」を可能にする一方で、仮想通貨には「重大な構造的欠陥」があると、著者らは主張している。

まず第一に、仮想通貨は「名目上の健全なアンカー」が欠落していると指摘。そのため、米ドルなどの法定通貨に対して一定の価値を維持するステーブルコインなどに依存していると説明した。しかし、ステーブルコインは「中央銀行が発行するリアルマネーから、信用を”借りよう”とするもの」であり、中央銀行の貨幣の存在なしには成り立たないと述べた。

次に、仮想通貨は断片化を誘発すると主張。その理由として、仮想通貨の「分散型の性質」は、匿名の検証社に対する手数料などのインセンティブに依存しているため、ネットワークの混雑を引き起こし、スケーラビリティを阻害すると指摘。その結果、イーサリアムネットワークのユーザーの多くが他のブロックチェーンに移動し、分散型金融はますます断片的になってきているとした。

以上のような「欠点」から、仮想通貨は安定的でも効率的でもないと総括した。

さらに、仮想通貨はほぼ規制されていない分野であり、その参加者は社会に対し説明責任を負っていないと指摘。詐欺や盗難事件などが頻発し、市場の整合性に対し深刻な懸念を提起していると付け加えた。

中央銀行のビジョン

著者らは、中央銀行が通貨システムにおいて、法廷通貨の発行者として、また決済システムを円滑に機能させる監督者として重要な役割を果たすと強調。通貨システムを木に例えるなら、中央銀行はその「堅固な幹」であり、一般市民や企業にサービスを提供する銀行や民間金融事業者は、その枝 であると形容した。

幹としての中央銀行は、仮想通貨の革新技術を活用し、銀行など「信頼できる機関」で使用されるホールセール型のCBDCを提供する。世界レベルでは、「信頼できる関係者に限定された」許可型の分散型台帳技術により、中央銀行がホールセール型CBDCを連携させ、銀行や決済プロバイダーが複数の法廷通貨で直接取引を行うことが可能になるとした。

10行の中央銀行との共同実験により、BISのイノベーションハブは、より迅速で安価、かつ透明性の高いクロスボーダー決済が実現可能なことを実証したいう。

またリテールレベルでは、中央銀行運営の小売高速決済システムの果たす役割がリテールCBDCに類似していると指摘。民間企業がリテールCBDCのサービスを一般消費者や企業に提供するケースを想定しているようだ。

デジタル技術は、通貨制度に明るい未来を約束するものである。

BISの幹部は以上のようなビジョンを示したが、「中央銀行の通貨が提供する信頼の核を受け入れること」が前提であるようだ。そのような条件のもとでこそ、「民間部門が最良の新技術を採用し、豊かで多様な通貨エコシステムを育成することができる」のだと述べた。

CoinPost App DL
厳選・注目記事
注目・速報 市況・解説 動画解説 新着一覧
12/30 火曜日
14:00
米カリフォルニア州の超富裕層への「5%資産税」に業界猛反発 仮想通貨起業家流出の懸念も
米カリフォルニア州で純資産10億ドル超の富裕層に5%課税する提案が行われ、Kraken創業者やBitwise CEOをはじめとする仮想通貨・テック業界リーダーが強く反発し、警告を発した。株式、不動産、仮想通貨などを対象とし、未実現の含み益にも課税される点が問題視されている。
14:00
コインベース・ベンチャーズが注目する2026年の仮想通貨4大トレンドとは
米最大手コインベースの投資部門コインベース・ベンチャーズが2026年に積極投資する4分野を発表した。RWA永久先物、専門取引所、次世代DeFi、AIとロボット技術など、次のブレイクアウトが期待される仮想通貨領域について紹介。
12:32
ビットマイン、イーサリアム買い増し 独自のステーキング・インフラも準備中 
ビットマインの仮想通貨イーサリアム保有量が411万枚に到達した。年末の価格下落を好機と捉え買い増しを行っている。2026年には独自ステーキング基盤も公開予定だ。
10:00
2025年の仮想通貨市場を重要ニュースから振り返る
2025年は仮想通貨を支持するドナルド・トランプ氏が米大統領に就任し、相場は米国の動向から大きな影響を受けた。本記事では、ビットコインの最高値更新など1年間の重要ニュースを振り返る。
09:50
仮想通貨投資商品、先週700億円超の純流出 XRP・ソラナは好調維持=CoinShares
仮想通貨投資商品から先週700億円超が流出した。CoinSharesは投資家心理がまだ完全に回復していないと分析した。一方で資産別ではXRPとソラナへの流入は好調だった。
12/29 月曜日
14:23
ビットコインは持続的上昇局面に?4年サイクル論争と機関投資家の影響力
Bitwise CIOマット・ホーガン氏が「ビットコインの4年サイクルは終焉し、持続的上昇局面に入った」と主張した。ハーバード大学など大手機関がBTCを保有し、個人投資家から機関への資産移転が進行。ボラティリティ低下の理由と、「階段を上りエレベーターで降りる」値動きパターンを専門家2人が詳しく解説。
13:35
AIや仮想通貨のショッピング活用進む Z世代が牽引か=Visaレポート
決済大手ビザの調査で、ショッピングにAIツールや仮想通貨を利用する消費者が増加していることが判明。特にZ世代が牽引していた。ステーブルコイン送金への関心も高まっている。
09:44
スベルバンク銀、ロシア初の仮想通貨担保ローン発行
ロシア最大の銀行スベルバンクが同国初の仮想通貨担保ローンを発行した。ビットコインマイニング企業に融資し、デジタル資産担保の仕組みを検証している。
12/28 日曜日
14:00
今週の主要仮想通貨材料まとめ、MTGOXハッキング容疑者関連のBTC送金やearnXRPローンチなど
前週比で振り返る仮想通貨市場の最新動向。ビットコインやイーサリアム、XRP、ソラナといった主要銘柄の騰落率や注目材料を一挙紹介。市場トレンドと関連ニュースを詳しく解説する。
11:30
ビットコイン年末相場、値頃感から買い戻し期待も|bitbankアナリスト寄稿
今週のビットコインは方向感に欠け1400万円周辺で推移。26日のオプションカット通過後の動向が注目される。底入れには12月高値9.4万ドルの回復が条件だが、割安感から買い戻されやすいとbitbankアナリストが分析。
11:00
週刊仮想通貨ニュース|Bybitの日本居住者向けサービス終了発表に高い関心
今週は、大手仮想通貨取引所Bybitの日本居住者向けサービス終了の発表、仮想通貨市場の調整局面、日銀の植田和男総裁の講演に関する記事が関心を集めた。
12/27 土曜日
14:00
ジーキャッシュのシールドプール供給シェアが23%で安定、プライバシー採用が定着
仮想通貨ジーキャッシュのシールドプール供給の市場シェアが2025年初頭の約8%から23%前後で安定している。プライバシー採用指標は依然として安定しておりプライバシー保護取引への持続的な関心を示している。
13:25
金融庁、仮想通貨ETFの導入に向けた税制改正──暗号資産取引の課税見直しと新たな可能性
金融庁が2026年度税制改正の資料を公開した。暗号資産取引を総合課税55%から申告分離課税20%へ変更することに加えて、ETF解禁や繰越控除などについても挙げられた。
11:10
KLab、ビットコインとゴールドを購入開始 「岐路に立つBTC」と分析
東証プライム上場のKLabが25日にビットコインとゴールドの購入を開始。AIを活用した市場分析レポートの不定期発刊も開始した。
10:05
ミームコイン市場は2025年に60%下落、「TRUMP」発行から始まった一年を振り返る
ミームコイン市場は2025年に60%下落した。トランプ氏による独自仮想通貨「TRUMP」発行や、ドージコインETF誕生など変化の激しかった一年を解説する。
通貨データ
グローバル情報
一覧
プロジェクト
アナウンス
上場/ペア
重要指標
一覧
新着指標
一覧