米中銀関係者が講演
米連邦準備理事会(FRB)のラエル・ブレイナード副議長は7日の講演で、インフレ率が目標の2%に向かって下がっていると確信できるまで、利上げを継続する必要があるとの見解を示した。
暗号資産(仮想通貨)と株式などの資産との相関性が高まっている中で、現在は米国の金融政策の動向に対する注目度が一段と高まっている。今後の米国の金融政策を話し合うFOMC(連邦公開市場委員会)の開催が20日〜21日と迫っており、関係者のコメントに仮想通貨市場からも関心が集まっていた。
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レイナード副議長は今回、コロナウイルスの感染拡大にロシアのウクラナイ侵攻が続き、インフレ率が高い状況が続いているとの認識を共有。これからもインフレ対策に取り組み、物価上昇を抑制する必要があると話した。
目標の2%に向かっていると確信するには、インフレ率が下がっている状態が数カ月続く必要があると指摘。引き締めを継続することには副作用もあるが、歴史を見れば、利下げに転じる判断を誤って早くに行ってしまうことは避けなければならないとした。
連銀総裁も講演
昨日はクリーブランド連邦準備銀行のロレッタ・メスター総裁も講演を実施。現在の米経済にとって重要な課題は、許容できない高い水準までインフレ率が上昇していることだと語った。個人的な見解であると前置きした上で、メスター総裁もインフレ率がピークに達したと判断するのは時期尚早だと述べている。
目標値の2%に下げるには「しばらくかかる」とした上で、今年中には5%から6%の範囲までは下がるだろうと予想。その後は2年間かけて目標値に向かっていくとの見解を示し、今後もインフレ率を低下させるための対策を講じる必要があると語った。政策金利については来年初めまでに4%超まで上げ、その状態を維持する必要があると主張している。
ジャクソンホール会議後、初となるFOMCの開催を控え、米国では10日から、関係者が発言を控える「ブラックアウト期間」に入る。今回のFOMCでも0.75ポイントの利上げを行うか見方は分かれているが、ジャクソンホール会議でFRBのジェローム・パウエル議長は「次の利上げ幅はデータや経済的な見通しを見て判断する」と説明した。13日には消費者物価指数(CPI)の発表も控えている。
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ジャクソンホール会議とは
毎年8月にアメリカ・ワイオミング州のジャクソンホールで開催される年次シンポジウムのこと。主要国の中央銀行総裁や、財務大臣、学者、金融市場関係者らが集い、世界経済や金融政策について議論する。
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