シリーズBで約74億円を資金調達
不正検知プラットフォームのSardineは20日、シリーズB投資ラウンドで約74億円(5,150万ドル)を資金調達したと発表した。米著名VCアンドリーセン・ホロウィッツ(a16z)が主導している。
a16zの他には、ING Ventures、ConsenSys、Cross River Digital Ventures、Visa、Eric Schmidt、Google Venturesなども出資した。
今回調達した資金は、マーケティングの強化、販売の拡大、国際的な事業展開のために使われる予定だ。
Sardineは2020年に設立された。CEOで共同創業者のSoups Ranjan氏は、暗号資産(仮想通貨)取引所コインベースのリスク対応部門や、金融アプリRevolutの仮想通貨・リスク対応部門の責任者を務めていた経歴がある。
同社は、仮想通貨を含め、企業が各種決済で不正防止と法的遵守を行えるインフラを提供。個人が銀行送金や銀行カードを使って仮想通貨やNFT(非代替性トークン)を購入できる決済プラットフォームもリリースしている。
不正防止と法的遵守では、企業が使えるアプリケーション・プログラミング・インターフェース(API)を提供。
銀行口座の履歴など従来の金融データセットと、ユーザーアイデンティティ、行動、デバイスの情報などを分析してリスクに対応する。また、KYC(顧客身元確認)、AML(マネロン対策)、制裁措置、取引監視なども提供し、口座開設や継続的な取引における不正を減らすものだ。
決済面では、法定通貨によるNFT決済サービスを立ち上げたところだ。NFTプラットフォームのAutographとも提携している。
NFTとは
「Non-Fungible Token」の略称で、代替不可能で固有の価値を持つデジタルトークンのこと。ブロックチェーンゲームの「デジタルアイテム」交換などに用いられるのみならず、高額アート作品の所有権証明や、中古販売では実現の難しかった「二次流通市場」における権利者(クリエイター)への画期的な還元手段としても注目を集める。
▶️仮想通貨用語集
Ranjan氏によると、Sardineはすでに135社以上の顧客を擁しており、その中には、FTX、Blockchain.com、Braveなど、仮想通貨業界の大手企業も含まれている。
不正防止サービスの必要性
Ranjan氏は、不正防止サービスの必要性が高まっているとして次のように説明した。
決済の高速化は、不正行為の高速化も意味している。即時決済サービスの普及に伴い、消費者は高額なものを買わせたり、詐欺に投資させたりする不正な攻撃にますます弱くなっている。
また、金融機関はユーザーが例えばイーサリアム(ETH)やUSDコイン(USDC)を購入したことは把握できるが、その後資金がどうなったかは知らない。必要なのは、購入時のユーザーの行動を深く観察し、その後の資金の流れを含めて考えあわせる新しい詐欺防止の方法である。Sardineが構築したのはそうしたものだ。
Ranjan氏は「フィンテックや仮想通貨技術に精通した起業家であるほど、立ち上げ時点で不正行為の問題を解決しなければ、会社が生き残れないことに気付く」とも述べている。
2月にも調達
Sardineは、2月にa16z主導で約28億円(1,950万ドル)のシリーズA資金調達ラウンドを完了したばかりだ。
Ranjan氏は資金調達を短期間で再び行った理由について「市場の低迷を予測していたため、バランスシートにキャッシュを多く持ち、市場シェアを拡大し続けられるよう準備した方が良いと考えた」と説明している。