テザー社、USDT準備金に関する証拠提出命令について見解示す

USDT準備金に関する裁判所命令

ステーブルコイン「USDT」などを発行するテザー社は21日、米国ニューヨーク州地裁によるUSDT裏付け資産に関する証拠提出命令は、「慣例的」な開示命令であると述べた。原告の主張を立証するものではないとする形だ。

裁判の経緯

この訴訟は2019年に投資家グループがテザー社と暗号資産(仮想通貨)取引所Bitfinexの親会社であるiFinexに対して起こしたものである。

原告は、ビットコイン(BTC)などの仮想通貨の価格をつり上げるためにテザー社が裏付けのないUSDTを発行していたと申し立てている。

また、テザー社とBitfinexがステーブルコイン市場を独占して仮想通貨市場を操作し、「仮想通貨市場におけるバブル」の発生を引き起こす一因になったと主張。この件について米ニューヨーク南部地区裁判所のKatherine Polk Failla判事は2021年9月に、「被告が市場を独占していたという原告の主張は、不十分なものである」と述べている。

この際、テザー社側は最終的に原告の訴えは「仮想通貨のエコシステム全体に害を及ぼそうとする、金銭目当ての試みであったことが明らかになるだろう」とコメントしていた。

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ステーブルコインとは

価格が常に安定している(stable)仮想通貨を指す。ステーブルコインは暗号資産の一種で、BTCやETH、XRPなど変動性のある資産とは異なり、米ドルなどに裏付けられその価値($1)を保つことが目的だ。米ドルの裏付けによるステーブルコイン(USDT・USDC)のほか、DAIやUSTといったアルゴリズムを利用するステーブルコインもある。

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広範な証拠書類を提出へ

今回、Failla判事は20日、原告の要請を認めUSDTの米ドルによる裏付けを評価する上で重要な文書を提出するようテザー社に命じた。「ステーブルコインを完全に裏付けする準備金を維持している」という同社の主張を立証するために必要だと判断した形だ。

この命令によりテザー社は、同社資金に関する銀行などの口座明細書や、総勘定元帳、貸借対照表、損益計算書、キャッシュフロー計算書などを提出することになる。

テザー社側の弁護士は、「ステーブルコインまた他の仮想通貨についてすべての取引記録および関連情報の提出を強制する原告の要求」は過度であり負担が大きく「正当な理由を示していない」と主張していたが、裁判所はこの申し立てを却下した格好だ。

テザー社は命令を受けて、次のように公式声明を発表した。

私たちは、USDTの裏付けとなる準備金を立証するのに十分な文書を提出することに既に合意しており、今回の申し立ては単に提出すべき文書の範囲に関わるものである。

原告による根拠のない訴えを今後払拭することを楽しみにしている。

米ニューヨーク司法当局と和解

テザー社とBitfinexは、2021年2月に別の裁判で米ニューヨーク司法当局(NYAG)と和解していた。

この裁判で、NYAG側は「少なくとも、2017年6月1日〜2017年9月15日の間、USDTはテザー社の銀行口座において1:1で裏付けられていなかった」と指摘。一方で、テザー社側はNYAGの指摘は「特定の開示性質とタイミングに限られる」もので、その主張に根拠はないとしている。

テザー社側は、不正行為は認めなかったものの約19億円を支払って和解した。この際に、透明性向上のため裏付け資金に関する四半期レポートを開示することに合意しており、8月にも最新の財務レポートを公開したところだ。

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また、大手資産管理企業VanEckの戦略アドバイザーを務めるGabor Gurbacs氏はツイッターで「テザー社はUSDTの準備金に完全にバックされており、準備金の構成は公式サイトで確認できる。実は多くの金融機関よりも透明性が高い。彼らを攻撃するのは時間と資源の無駄だと思う」とコメントした。

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